2016/05/17
2016年、日本デビュー5周年を迎え、アルバム『ラ・カンパネラ~革命のピアニズム』をリリースした金子三勇士。本作のコンセプトは、クラシック音楽やピアノの知られざる魅力を、より伝えるというものだ。より多くの人にクラシック音楽の良さを伝えるため、ジャケットのデザインや曲目も、手に取りやすさを意識した。そして、今まで数多く演奏されてきた作品だからこそ、作曲家と作品の原点を見つめ直し、責任を持って新たな解釈で演奏することにチャレンジした。
アルバムのタイトルでもあるリスト「ラ・カンパネラ」は、少しゆったりと物悲しい音色で始まる。「カンパネラとはイタリア語で“鐘”という意味。ヨーロッパでは、広場のからくり時計から可愛い鐘の音が聞こえてきます。ただ、この曲は長調ではなく短調で書かれています。可愛い鐘というだけではない、すごく切ない思いが込められているのではないかと考えました」
そして、ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ 第14番<月光>」は、決然とした空気を纏いつつ淡々とした演奏が印象的。「7曲目に収録しているドビュッシーの「月の光」は、まさに月の光をイメージして作られましたが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番は月光をイメージして書かれたものではなく、本人の死後、ある詩人によって「月光」というタイトルが付けられました。なので、こちらも原点に立ち返り、月の光の美しさや静けさを払拭して演奏しました。ただ、この作品は「月光」という名前とともに愛され続けてきた作品。どう演奏するのか本番当日まで葛藤が続きましたが、大賀ホールとホールを取り囲む美しい自然を見ると、そんな悩みが吹き飛んでしまって。自然に身を任せて弾くことができたと思います」
9月18日には、5つのソナタ作品をテーマにしたリサイタルを開催する。「リストのメンタリティにも表れていますが、僕が育ったハンガリーの音楽教育には“様々な時代の作曲家と向き合う”という特徴があります。なので、5周年の“5”をキーワードに、音楽を通じて国や時代を越えた旅ができればと思いました。同じピアノ・ソナタでも、200年以上離れた時代の作品を聴き比べる機会は、あまりありません。これをきっかけに、様々な時代の作曲家に興味を持っていただければ嬉しいですね」
日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれ、6歳で単身ハンガリーに渡るなど、ハンガリーと日本を舞台に活動を続けてきた。そんな金子にとって、ハンガリーの作曲家を紹介するということは、人生の課題でもあり宿命でもある。「将来は、リストを弾くピアニストとして語られるようになりたいです。そして、自分のアイデンティティである日本とハンガリーで土台が固まったら、より多くの国で活動をしていきたいと思っています。日本から活動をスタートし、そこからヨーロッパへと幅を広げていくということは、並大抵のことではできませんが、日本とヨーロッパの間に生まれた自分であれば闘っていけると思っています」text by 高嶋直子 / photo by Ayako Yamamoto
◎リリース情報
金子三勇士『ラ・カンパネラ ~革命のピアニズム』
2016/3/30 RELEASE
UCCY-1062 3,240円(tax in)
◎公演情報
【日本デビュー5周年記念 5大ソナタに挑む! 金子三勇士ピアノ・リサイタル】
日時:2016年9月18日(日)15:00開演
会場:東京オペラシティ コンサートホール
More info:http://goo.gl/6arWZT
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