2016/05/10
5月4日、新木場コーストにて“大人のための音楽フェス”、【WORLDWIDE SESSION 2016】が開催された。
この日は15時からのデイイベントということもあり、快晴の新木場には様々なフードのブースで開場前からすでに大賑わい。ファミリーやカップル等、世代を問わないファン層が印象的だった。イベントは、松浦俊夫のDJで幕開け。ステージアクト1番手には、これまでにスティーヴィー・ワンダーやフライング・ロータス、そしてケンドリック・ラマーなど、ジャンルを超えた数多のミュージシャンと共演し、絶大な信頼を得ているマルチ楽器奏者ミゲル・アトウッド・ファーガソンが登場した。本公演は、ミゲル・アトウッド・ファーガソン・アンサンブル名義での初来日でもあり、誕生日でもあるという彼にとって記念すべきステージ。しっとりとした演奏にはアンビエントの要素もあり、柔軟なバンドの演奏とファーガソンのバイオリンがとても上質な時間を与えてくれた。
続いてのステージアクトは、半世紀以上の歴史を持つバンド、サン・ラ・アーケストラ。今年92歳を迎えるジャズレジェンド、マーシャル・アレンが率いる13人のステージは衣装も煌びやかで、演奏はブルース、ラテン、エキゾチックの要素が感じられ、電子音楽まで加わるとその空間はまさに「宇宙」だ。アレンの指示による即興で実験的なステージは、今までに見たことのない演奏の連続で、目の前で繰り広げられることに、ただただ圧倒される。さらに、ホーン隊の一人がダンスを始めたり、終盤ではステージから降りて客席を練り歩くなど陽気なグルーブで満たされており、音楽がその場で生まれ紡がれることの楽しさが伝わってきた。サン・ラの意思をしっかり引き継いでいるアレンは、私たちを音楽の未来に連れて行ってくれるに違いないと確信させられるようなステージだった。
DJブースの後半戦には、ジャイルス・ピーターソンが登場。会場が一体となって音に体を委ね、ジャイルスもまたこの日を存分に楽しんでいる様子が伝わってくる。そしてステージアクトのトリを務めたのは、今回スペシャルコラボレーションを果たしたSOIL&“PIMP”SESSIONSと日本が誇るトランペット奏者・日野皓正だ。SOILのメンバーたちが挨拶代わりとも言わんばかりにソロ回しなどで会場を沸かせると、日野が登場。SOILのトランペット・タブゾンビは、さぞかし日野を隣に緊張しているだろうと思いきや、日野はどんどんタブゾンビとサックスの元晴を煽りまくり、ホーンの3名に刺激された各奏者も凄まじい演奏を見せ、圧巻の爆発力を見せた。中盤では、日野が熊本の復興を願い書き下ろしたという「くまもんブルース」を初披露。最後は松浦が感謝の言葉とともに「僕らは僕らでいるべき場所をここから作っていきましょう」と述べ、イベントは幕を閉じた。
今回のプロデューサーであるである松浦とジャイルスの二人が「究極のラインナップ」だと自信を持っていた通り、奇跡のような光景の連続。音楽が生まれるその場所にいられることの幸せと、ジャズの醍醐味を改めて感じることができる1日だった。
Text:神人 未稀
◎イベント情報
【Gilles Peterson presents WORLDWIDE SESSION 2016】
日時:2016年5月4日(水・祝)15:00開演
会場:新木場Studio Coast
主催:フロンティアインターナショナル、FMヨコハマ
出演者:サン・ラ・アーケストラ、ミゲル・アトウッド・ファーガソン・アンサンブル、SOIL&"PIMP"SESSIONS、日野皓正
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