2016/03/01
90年代以降、R&Bシーンの代表格として君臨する、ブライアン・マックナイトの新作『ベター』が3月2日にリリースされる。
1992年アルバム『ブライアン・マックナイト』でデビューを果たし、1999年リリースの4rdアルバム『バック・アット・ワン』で初のTOP10入り(最高位7位)を果たすと当時に、タイトル曲がミリオンセラーとなり、後のシンガーたちにも受け継がれる名曲として殿堂入りした。卓越したセンスと硬軟自在に熟す滑らかなヴォーカルワークは、誰にも真似できない業といえるだろう。90年代以降のR&Bシーンを語る上では、欠かすことのできない存在だ。
2000年以降も勢力的に活動し、これまで13作のアルバムをリリースし、5枚のTOP10ヒットを放っている。しかし、近年ではデジタル・サウンドを無理に起用してみたり、「女性器を学ぶ」という内容の曲をアップしたりと、迷走が目立つような活動をしていたことで、お茶を濁されたファンもいるだろう。彼の歌声に魅了されたリスナーにとっても、もどかしい気持ちにさせられたものだ。それだけに、本作『ベター』の完成度にはため息、誰もが納得する仕上がりになっていると、太鼓判を押す。
生音重視のバンド・スタイルをバックに、ギターが唸るロック・テイストな「アイ・キャント・テイク・イット」や、ブライアン節のロマンティック・メロウ「ベター」、お得意のスロウ・ジャム「ライク・アイ・ドゥ」、学生時代に結成していた、ジャズ・バンドの経緯もチラつかせる「ウー・オー・フィーリング」、レゲエ・テイストの「グッバイ」、ラテン調の「イナフ」まで、ジャンルの垣根を超えたバラエティな楽曲陣。冒頭の「ストラット」から、ラストの「エヴリシングス・ゴナ・ビー・オールライト」まで、隙のない音作りが完璧なアダルト・コンテンポラリー・トラックが並んでいる。
自身曰く「バック・トゥ・ベーシック(原点回帰)」と断言しただけはあり、初期のアルバムを愛聴するファンにも、納得も納得の出来栄えだろう。特に暖かさが増す、これからのシーズンには、最適のサウンドだ。R&Bに親しみがなくとも、耳障りにならない。酒のお供に、ドライブのバックサウンドに、部屋でリラックスするのに…様々なシーンにおいて、大人の演出をしてくれるアルバムだろう。本作なくして、2016年のR&Bは語れない。
Text: 本家 一成
◎リリース情報
『ベター』
ブライアン・マックナイト
2016/3/2 RELEASE
2,700円(plus tax)
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