2016/02/12
2014年に佐藤しのぶが初主演したオペラ、團伊玖磨作曲「夕鶴」の再演が、2月14日神奈川県民ホールで開幕する。九州、関西、名古屋などをまわり千秋楽の東京公演まで全11公演の全国ツアーだ。
日本オペラの金字塔であるオペラ『夕鶴』は、木下順二の戯曲に團伊玖磨が作曲をした、誰もが知る鶴の恩返しの物語だ。2014年の公演で、歌舞伎界の市川右近が演出、日本画家の千住博が美術をつとめ、衣装は森英恵という豪華スタッフが集結し話題呼んだ。主役を務める佐藤しのぶは生前の團伊玖磨と親交が深く、何度も“つう役”を望まれての初挑戦だった。
日本の民話から発しているが『いつともしれない物語、どこともしれない雪の中の村』とト書き最初に團伊玖磨が書き記した通り、時代も空間も超えた深い白さの世界観の中、4人の登場人物と子供達の歌声によって愛するということ、そして欲するということを描いている。
舞台には真っ白な回り舞台と風景だけが広がり、極限に削った小道具は、鶴の羽ひとつと織物が登場するのみ。視覚情報の少なさがかえって、人物モティーフの旋律を立体的に組み合わせたオーケストレーションや、ハープと打楽器の音が象徴的に立ち現れる機織りの音響効果を最大限に引き立て、雄弁に鶴の心中を語りかけてくるのがわかるだろう。
本ツアーは3月24日・27日の東京文化会館公演まで全国9カ所で行われる。美しい舞台と普遍的な愛の物語を味わいに、近くの会場へ足を運びたい。text by yokano / photo by 三浦 興一
◎公演情報
オペラ『夕鶴』
2016年
2月14日(日)神奈川県民ホール
2月18日(木)福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)※予定
2月21日(日)長崎・アルカスSASEBO
2月27日(土)長野・上田市交流文化芸術センター大ホール
3月1日(火)金沢歌舞伎座
3月5日(土)大阪・フェスティバルホール
3月9日(水)アルファあなぶきホール(香川県県民ホール)大ホール
3月12日(土)愛知県芸術劇場大ホール
3月19日(土)熊谷文化創造館 さくらめいと太陽のホール
3月24日(木)東京文化会館
3月27日(日)東京文化会館
作:木下順二 作曲:團伊玖磨
指揮:現田茂夫
演出:市川右近
美術:千住 博
照明:成瀬一裕
衣装:森 英恵
つう:佐藤しのぶ
与ひょう:倉石真/渡辺 大(熊谷公演)
運ず:原田圭
惣ど:高橋啓三
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