2015/12/22 17:00
先月行われた【Hostess Club Weekender】で、11月22日公演のトップバッターをつとめたUK出身のSSW、ドーニク。今年の8月にデビュー作となるセルフタイトル・アルバム『ドーニク』をリリースした彼は、ジェシー・ウェアやディスクロージャーも所属する英<PMRレコード>の急先鋒であり、ディアンジェロへのUKからの回答、そして両親の影響で好きになったというマイケル・ジャクソン&プリンスという80s音楽の筋金入りの愛好者でもある。
今回はそんな彼へインタビュー。デビュー作『ドーニク』についてはもちろん、来たるべきセカンド・アルバムのアイデアについても話を聞いた。「今年どんな作品があったかな?」とつい振り返りたくなるこの季節、ぜひUK音楽の新鋭の言葉に目を通してみて欲しい。
◎教会音楽ってすごくヘヴィなハーモニーで大好きなんだ
――『ドーニク』を聴いて、すごく良いフックの沢山ある“ソングライター・アルバム”だと感じました。
ドーニク:ありがとう! でも、ソングライティングについてはまだまだ学んでる途中なんだ。特に1stアルバムはそうだったと思う。次のアルバムではもうちょっと成長した姿が見せられると思うけど、ソングライターとしてはまだまだこれからだね。
――アルバムを聴いていて、ドラムから曲を書き始めているんじゃないかなという印象を受けたんだけど、実際はどう?
ドーニク:そうだね。コードから書いている曲も何曲かあるけど、やっぱりドラムから作ってる曲が多いね。自分にとってはドラムやリズムが一番自然に出てくる要素だし、音楽家としての強みもやっぱりそこにあると思うな。
――あなたがジェシー・ウェアのバンドのドラマーだったのは有名ですが、そもそも音楽家としてのキャリアはどこからスタートしたんですか?
ドーニク:教会で演奏していたのが一番最初だね。その後セッション・ドラマーとしてUKの友達のバンドとかでドラムを叩いていて。その後ジェシーとやることになったんだ。
――教会で演奏してたのはゴスペル音楽とか?
ドーニク:そう、ゴスペル。でも、僕が行ってた教会は結構いろんなスタイルの音楽をプレイするところで、内容としてはゴスペルなんだけど、ラテンをやったり、ファンキーな演奏をしたり、ロックっぽい曲をやったりと幅広くプレイしたよ。当時は歌はあくまでプライベートな趣味って感じで、人前では歌ってなかったんだ。
――アルバムを聴いている時に、多層的なコーラスが印象的な部分がすごく多かったけど、それとゴスペルで育ったことは関係あると思う?
ドーニク:うん、それはすごくあると思う。教会音楽って合唱だし、父親も合唱隊で歌っていて、それを近くで見てきた影響もあると思うな。教会音楽のすごくヘヴィなハーモニーって大好きなんだよね。
◎ラスの仕事場に遊びに行ったら、そこにディアンジェロも居てさ
――もう一つ、あなたの音楽にはマイケル・ジャクソンとかプリンスのような80sの音楽の影響があると思うんだけど、そうした音楽とはどうやって出会ったの?
ドーニク:両親を通じてだよ。両親とも音楽が好きで、よく家で音楽を聴いていたんだけど、その中に2人もいたんだ。2人ともまさにキング! 天才だよ。
――プリンスと言えば、『ドーニク』にミックスで参加しているラッセル・エレバードはディアンジェロの作品にも参加してるよね。
ドーニク:うん。ディアンジェロは僕もすごく尊敬してるよ。彼も天才だし、作品も素晴らしい。ラス(ラッセル)とは実はこのミックスをやってもらう1年前に知り合っていて。その時は僕はジェシーのバンドでツアーしていたんだけど、たまたまピノ・パラディーノを通じて、NYでラスのスタジオを訪ねるチャンスがあったんだよね。それでラスの仕事場に遊びに行ったら、そこにディアンジェロも居てさ。彼とも会えたんだ。
で、その1年後くらいに自分のアルバムを作るってなった時にレーベルからたまたまラスの名前が候補に挙がってさ。もちろん最初に会った時も「自分も歌をやってるんです」くらいのことは話したけど、まさか「自分の作品をやってくれ!」なんて遠慮して言えなかったんだ。でも、レーベルが繋げてくれるならぜひやってみたい! と思ってさ。それで連絡したらラスの方も僕のことを覚えてくれていて、すごく嬉しかったよ。
――実際に仕事してみてどうでしたか?
ドーニク:今回はミックスの作業だけだったんだけど、僕も立ち会ったよ。今回はボーカルも事前に録ってたし、アルバム中3曲は他の人にミックスして貰ってたんだけど、次のアルバムでは録音からラスにやってもらいたいと思ってるんだ。
◎次のアルバムでは、そこにメッセージ性も加えたい
――『ドーニク』はデビュー作だけど、逆に本人として思い通りにならない部分とかはあった?
ドーニク:あの時はあれが自分のありのままの姿だったと思うんだけど、中には4年も5年も前の曲も入ってるから、自分にとっては過去のものだっていう気も少しするんだ。今の自分は少し違う位置にいるから、その自分を見て貰いたくてたまらないんだよね。
僕はリズムと同時にメロディもすごく重要視してるんだけど、次のアルバムでは、そこにメッセージ性も加えたいと思っていて。あと、最初のアルバムの段階ではライブ経験がほとんど無かったから、アルバム後に積んだライブの経験やミュージシャンシップも表現したい。いま、次のアルバムでやりたいところが次々と出てきているところなんだ。
――メッセージというのはどんな?
ドーニク:人生経験ってことかな。1stアルバムの曲を書いた頃って、僕もまだ10代だったし、大した人生経験もなくて、まだ世の中のことを何も知らなかったんだ。今度のアルバムは、その後自分が経験したことも踏まえて、主張をしたいことも出てきているから、それをみんなに聴いてもらいたいんだ。
――じゃあ、政治的なメッセージというより、パーソナルな体験に基づくものなんですね。
ドーニク:うん。現時点では個人的な自分の想いをこう表現したい、出したいっていうのが強いね。でも、最近は世界情勢もクレイジーなことがいっぱい起こっているから、それを見て言いたいことが出てくるかも知れない。逆に、自分が何を言いたいって感じるようになるのか、自分で楽しみにしているような状態かな。来月にはツアーも一段落するから、少しまとめ始めようと思うよ。
――じゃあ、そんなに遠くないうちに聴けそうですね。楽しみにしています。ありがとうございました。(写真撮影へ)
◎おまけ:写真撮影中
――(壁に)ホステスのアーティストがたくさん写ってますけど、誰か好きなアーティストはいますか?
ドーニク:うーん、FKAツイッグスはクールだね。すごいダンサーだし。レディオヘッドもグレイトだ。50セントも1stアルバムは好き。あとはブロック・パーティも好きだな。
通訳:アラバマ・シェイクスは素晴らしいよ!
ドーニク:アラバマ・シェイクスっていうんだ? チェックしてみるよ!
***
◎リリース情報
『ドーニク』
2015/10/23 RELEASE
HSU-19158 2,268円(tax in.)
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