2015年12月4日、神奈川県・横浜アリーナにてロック・バンド、X JAPANがライブを行った。現在、バンドにとって約20年ぶりとなる国内ツアー【X JAPAN JAPAN TOUR】を開催中の彼ら。この日はバンドにとって初となる横浜アリーナ4days公演の最終日となった。
チケッド・ソールドアウトとなったこの日、開演前から「We Are X」の掛け声や、アリーナ、スタンドを巻き込んだウェーブが起こるなど会場のボルテージは最高潮。この日にかけるファンの気持ちが伝わって来る。ステージは段差のある2段構成となっており、その一段上がったところにYOSHIKIの透明のドラムがセットされている。そんな中、開演予定時刻を20分ほど過ぎてライブがスタートした。
まずはX JAPANがこれまで行ってきたワールド・ツアーから、ニューヨークやロンドン、パリなど各地でのライブの模様がバック・スクリーンに映し出される。そんな中、白いガウンを羽織ったYOSHIKI(ドラム、ピアノ)が、まるで絶対神のようにドラムセットの上に仁王立ちして登場。ファンから大きな歓声が起こる。
そして映像が終わると同時にYOSHIKIがイスに構え、ステージに明かりが点くと他の4人、ToshI(ボーカル)、PATA(ギター)、HEATH(ベース)、SUGIZO(ギター、バイオリン)が登場。一曲目の「JADE」から演奏をスタートした。YOSHIKIの高速ドラミングも含め、タイトな演奏で聴かせる部分と、メロディアスなサビを行き来する大胆な構成のこの曲、特に後半の大サビでは大合唱が起こり、早くもバンドとファンの一体感を見せつけた。
バンドは2曲目「Week end」、3曲目「I.V.」とパワフルな演奏を立て続けに披露。その後、ステージ上はToshIとYOSHIKIの二人だけに。ここでToshIが「YOSHIKIがちょっと怪我しちゃったみたいなんだけど…」とMC。当のYOSHIKIは「(WEEK ENDの)詞の通り、“血の海にまどろむ”(笑)」と冗談めかしたものの、スクリーンを観ると指に血がにじんでおり、ファンからは悲鳴が漏れた。だがそんなアクシデントも意に介さず、ライブを続行。続いて、現在バンドが新アルバムのレコーディング中であることが明かされ、バンドはその新曲「Kiss The Sky」のためにファンの合唱を録音したいと申し出た。ToshIは「お前たちが世界デビューするってことだよ!」とファンに呼びかけ、ファンも歓声で応える。YOSHIKIの提案で、念のため一回だけ練習を行い、その後、ToshIの歌唱も交えYOSHIKIのピアノのみを伴奏に「Kiss The Sky」を一通り演奏。複雑な構成の曲だが、ファンもしっかり自分のパートをこなし見事レコーディングは成功、その達成感をファンとメンバーが分かち合った。
その後、2014年に『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』のためにYOSHIKI feat. Katie Fizgerrald from Violet UK名義で発表された新曲「HERO」を演奏。PATA、HEATH、SUGIZOの3人も戻り、再びパワフルなバンド演奏で魅せた。演奏後にはそのまま切れ目なくPATAのギター・ソロのコーナーへ。ここから各メンバーがソロを披露する流れとなる。PATAのワウワウを駆使したギター演奏の後は、HEATHがメタリックな響きで見せるベース・ソロを披露、そしてそのまま二人のセッションへ突入する。バンドの演奏面を支える二人の演奏での掛け合いに、客席も大いに盛り上がる。そして最後はToshIが合流、バックに打ち込みのドラムも入り、3人で「Drain」の演奏を披露した。
続いてはSUGIZOのコーナー。不穏でアンビエントなトラックに合わせて優美なバイオリン・ソロを聴かせ、ファンをうっとりとさせた。さらにToshIのコーナーに移るとアコースティック・ギターの弾き語りで「ROSE OF PAIN」を披露、それまでのエレクトリックなショウから一転、爽やかなムードを演出した。
そしていよいよYOSHIKIのコーナー。YOSHIKIは優美なピアノ・ソロ、そして激しいドラム・ソロの二本立てでファンを魅了する。特に、ドラム・ソロのコーナーでは演奏中にYOSHIKIのドラムがステージからさらにせり上がり、およそ地上30mほどの高さでドラミングを魅せるダイナミックな演出を披露。ラストはステージに花火も打ち上がり、YOSHIKIが再びの仁王立ちを見せるなど、圧巻のコーナーとなった。
YOSHIKIが一度ステージを去ると、再びToshIが登場。アカペラで「Forever Love」を歌い始める。その後、YOSHIKIも含めバンドがその演奏に演奏が加わると、スクリーンにはX JAPANの昔の写真が映し出される。その中に映った故・HIDEの姿に、観客からも「HIDEー!!」と大きな叫びが上がった。
その後、YOSHIKIのピアノとSUGIZOのバイオリンの調べから、人気曲「紅」の演奏へ。客席から大きなシンガロングが起きる中、銀テープのバズーカやツイン・ギターの絡み合いで会場を大いに盛り上げた。さらに「Born To Be Free」、そして定番ナンバーである「X」の演奏へ。「X」の中盤ではYOSHIKIが自ら花道へ出て観客のを煽り、10分近くに渡る「We Are X」のコール・アンド・レスポンスを経て、本編のラストを激しく閉じた。(余談だが、退場際、客席にペットボトルを投げ入れる場面でSUGIZOが驚異的な強肩を発揮し、ファンの驚嘆を呼んだ。)
アンコール前、客席で「We Are X」コールやウェーブが途切れることなく起きる中、再びスクリーンに映像が。来年公開予定のドキュメンタリー映画『X JAPAN Film』の予告映像が流れ、ファンの期待感を加速する。そして、もう一度バンドが登場し、HIDEやTAIJIも含めたメンバー全員の名前がアナウンス。その後、シンセサイザーのアルペジオから、人気曲「Rusty Nail」の演奏へと移った。バンドの演奏はもちろん、ここでも客席から大きなシンガロングが起き、ファンのX JAPAN楽曲への思い入れが伝わってくる。
その後、ステージはYOSHIKIとToshIの二人に。YOSHIKIは「今だから言えるけど、最初は俺たち4daysなんてできるのかなと思ってて」とライブに臨む前の心境を吐露。さらに「(売れる前、各地のライブハウスを回って)公園で寝たりとか蚊に刺されたりとか、そういう何でもないような日々が、すごく懐かしく思います」と、かつての自分たちの活動を涙声交じりに振り返った。そして最後に「感謝の気持ちを込めてこの曲を送ります」と述べ「Endless Rain」を演奏。スクリーンには、かつての【THE LAST LIVE】の映像が流れ、時の流れを経て“X JAPAN”が共演した。
最後はYOSHIKIのピアノを殴りつけるようなソロ演奏から、もう一度バンドが合流し、「Art of Life」の演奏でセットリストを終了、約3時間に及ぶ長丁場となったステージを締めくくった。演奏後、客席が明るくなった後も、メンバーが花道を練り歩きファンへ感謝の気持ちを伝えたX JAPAN 。最後はステージ上で5人が手をつないで深々とお辞儀をして挨拶した。なお、今後ツアーは大阪、福岡、広島、名古屋と続く予定。ファンは今後のライブも引き続き注目しよう。
◎ツアー情報
【X JAPAN JAPAN TOUR】
2015年12月4日(金)神奈川県 横浜アリーナ(終了)
2015年12月7日(月)大阪府 大阪城ホール
2015年12月9日(水)福岡県 マリンメッセ福岡
2015年12月11日(金)広島県 広島グリーンアリーナ
2015年12月14日(月)愛知県 日本ガイシホール
2015年12月15日(火)愛知県 日本ガイシホール