2015/10/30 13:30
2014年に佐藤しのぶが初主演したオペラ「夕鶴」の再演が決定し、演出の市川右近、指揮の現田茂夫、衣装の森英恵、つう役の佐藤しのぶが製作発表会を行った。
本作は木下順二の戯曲が原作となっており、オペラ化する際、團 伊玖磨に対して「一字一句変えてはいけない」という厳しい条件が設けられた。ところが、オペラには戯曲にはない「いつとも知れない物語、どことも知れない雪の中の村」というト書きが加えられている。演出の市川は「ここに、團先生が目指すところがあると感じました。時代を越え国境を越えて、人間と自然界の付き合い方や、普遍的な平和の理念を表すオペラとして、世界に発信したかったのでは」と述べた。
佐藤は、2014年の初演時には「團先生は褒めてくださるだろうか、それともこれじゃ駄目とおっしゃるだろうか」と不安でたまらなかったと明かした。そして初演を終え、周りの方々から「(演じてくれて)ありがとう」という言葉をもらった時には心の底からほっとしたと言い、「一生懸命頑張りますので、よろしくお願いします」と笑顔を見せた。
本作では子供達が重要な役どころで登場するが、会場にあわせて各地の児童合唱団が登場する。ステージは、歌舞伎とオペラを融合し、傾斜のついた廻り舞台という非常に演じづらい状態だったにも関わらず、指揮の現田は「子供達の順応性が素晴らしかった。この作品は、子供の合唱で始まるんですが、その一言で僕たちを夕鶴の世界に引きこんでくれた」と振り返った。
本プロダクションでは、時代や世界を限定させないために鍋や釜などの小道具を一切排除し、つうも着物ではなく洋服を着ている。衣装の森は「この作品は、原作から出演者まで全て日本人によるメイド・イン・ジャパン。それを表現するスタッフとして関われることは、とても嬉しい」と述べた。来年の再演に向けて佐藤は、福島の方言である“真手(までい)”を挙げ、「真手とは、真心を込めて両手で愛するように丁寧にという意味。観終わった後、この言葉が皆さんの心に浮かぶような歌が歌えたら」と意気込みを述べた。
◎公演情報
オペラ『夕鶴』
2016年
2月14日(日)神奈川県民ホール
2月18日(木)福岡シンフォニーホール(アクロス福岡)※予定
2月21日(日)長崎・アルカスSASEBO
2月27日(土)長野・上田市交流文化芸術センター大ホール
3月1日(火)金沢歌舞伎座
3月5日(土)大阪・フェスティバルホール
3月9日(水)アルファあなぶきホール(香川県県民ホール)大ホール
3月12日(土)愛知県芸術劇場大ホール
3月19日(土)熊谷文化創造館 さくらめいと太陽のホール
3月24日(木)東京文化会館
3月27日(日)東京文化会館
作:木下順二 作曲:團伊玖磨
指揮:現田茂夫
演出:市川右近
美術:千住 博
照明:成瀬一裕
衣装:森 英恵
つう:佐藤しのぶ
与ひょう:倉石真/渡辺 大(熊谷公演)
運ず:原田圭
惣ど:高橋啓三
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