2015/09/14 12:22
新シングル『EGG』(TBS系ドラマ『37.5℃の涙』挿入歌)をリリースしたばかりの木村カエラ。9月9日、今作の購入特典として渋谷公会堂フリーライブ【GO!SHOW TIME】が開催された。
<木村カエラ×ヒイズミマサユ機 間違いなく後世に語り継ぐべき名バトル>
木村カエラのライブと言えば、渡邊忍(g)、堀江博久(key)、4106(b)、柏倉隆史(dr)といったデビュー当時から彼女のステージを支え、もはや「木村カエラ」とはバンド名なのではないか? と思わせるほどの鉄壁のバンドアンサンブルを創造。どんなに屈強なライブバンドと対バンしても負けず知らず、日本のロックシーン最強のバンドとして日本中を熱狂させてきた。しかし、この日は『EGG』のカップリング曲「SHOW TIME」「オバケなんてないさ」のアレンジャー H ZETT Mの(本人曰く)友人・ヒイズミマサユ機が結成したスペシャルバンド(Kent Kakitsubata(g)、なかむらしょーこ(b)、航(dr)、 DJ Mass(dj)、ヒイズミマサユ機(key))がサポート。
ヒイズミマサユ機と言えば、PE'Zや初期の東京事変(最近は椎名林檎のバックバンドも)で変態的とも言える超絶鍵盤プレイを繰り広げてきた天才。他のミュージシャンも荘錚々たる実力者だが、前述の慣れ親しんだバンドアンサンブルに熱狂してきたファンからすると、新バンドのグルーヴには当然ながら違和感を覚えたことだろう。単純に以前はギターが前面に出るパートで鍵盤が前になる等、そうした分かりやすい変化に体が反応しづらかったし、心なしか序盤は木村カエラも各サウンドとのバランスを取るのに苦戦している印象を受けた。のっけからティンカーベルのように自由に歌い踊り、拳を振り上げただけで眼前の世界が熱狂の渦に変わる……といったあのライブモンスターとしての覇気がやや弱い。
しかし、前述した通り、ヒイズミマサユ機は天才である。そして木村カエラも代わりのいない最強のポップスターである。その強烈な個のぶつかり合いは、徐々に攻撃性とスケールを増していき、そこにカエラのライブ史上初となるストリングス隊も加わり、いまだかつてないスリリングなグルーヴを完成させていき、オーディエンスはその展開に息をつく暇もなく熱狂していく。特に終盤「Yellow」における思わず笑ってしまうぐらいのヒイズミの高速超人プレイに対し、カエラがエモーションの限りを尽くして応戦するくだりは、間違いなく後世に語り継ぐべき名バトル、そして木村カエラのライブアプローチの可能性を大きく広げた名シーン(映像化or音源化希望)と言えた。無論、眼前の世界は熱狂の渦と化していた。
<はち切れんばかりの声で「また明日から頑張ってねぇ!!!!!」>
そんな手に汗握る場面も満載だった同公演だが、思わず涙が込み上げるような切ないほどに優しい気持ちをくれる場面も多々あった。ヒイズミの穏やかなグランドピアノと披露した大名曲「Butterfly」はもちろん、暗闇の中で眩く回転する光の群れの中で「ひび割れた隙間から差し込む小さな光り浴びて」「私しか出来ない あなたを守るのは 寄り添う力に変えてくの 私しか気づけない あなたからのサイン どんな時だって側にいるよ」といった「EGG」のフレーズたち、そして世界を見渡す限りの笑顔で埋め尽くしてみせた魔法の音楽「Magic Music」の後に披露した「Sun shower」。この曲の涙腺に対する破壊力は尋常じゃなかった。
「皆さん、今日は来てくれて本当にありがとうございました。最後にこの曲を歌いたいと思います。今は天気が悪いけど(この日は台風接近で豪雨だった)この曲のタイトルは天気雨「Sun shower」です。この曲も「EGG」と同じように、大事なものを温めたいから、転んでも立ち上がらなきゃ! っていう歌です。大事なものをちゃんとしっかり温めたら、素晴らしいものが生まれてくる。「Sun shower」もそれと同じように、温かい愛が入った歌です。この曲を聴いてみんながちょっとでも「晴れた!」「気持ちがラクになったな」って思えるように、そして明日から良いことがたくさん起こるように、想いを込めて、気持ちを込めて歌いたいと思います」
優しさで構成されたストリングス、リズム、ギター、ピアノが、愁いを帯びながらも光射し込んでくるメロディーの上で、楽しげにダンス。カエラはとても女性的で母性溢れる声で、僕らが生きる上で大切なことを歌い届けていく。「きっと なくしたものや きっと 失ったものは ずっと 君の近くで 形を変えて側にある きれいに」そうしたハッとさせられる言葉が愛のもとに放たれると、客席には涙を堪えきれない人が多数見受けられた。もちろん、自分もその中のひとりである。そして全てを歌い終えたカエラは大喝采を浴びながら、マイクを通さずに「今日はどうもありがとうございましたぁ!!!!!」「また明日から頑張ってねぇ!!!!!」とはち切れんばかりの声で叫んだ。
<木村カエラの曲を聴けばいい。木村カエラのライブに行けばいい>
「最近何やっても上手くいかないなぁ」「どうしてあの人は分かってくれないんだろう」「もう何もかもイヤになってしまった」そんな一人では消化しきれない想いに苛まれることがあったら木村カエラの曲を聴けばいい。木村カエラのライブに行けばいい。僕らが不安だったり、孤独だったり、苛立ったり、息詰まったりしたとき、いつだって彼女の音楽は本領発揮する。と、改めて思わせてくれるライブだった。
なお、木村カエラは、12月25日 昭和女子大学 人見記念講堂にてクリスマススペシャルライブを開催する。本人曰く「カエラサンタのクリスマスライブ」、これは何があっても必見である。
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:川田洋司&小境勝巳
◎ライブ【GO!SHOW TIME】
9月9日(水)渋谷公会堂 SET LIST:
01.TODAY IS A NEW DAY
02.STARs
03.BEAT
04.SHOW TIME(ニューシングル『EGG』収録曲)
05.Ring a Ding Dong
06.リルラ リルハ
07.オバケなんてないさ(ニューシングル『EGG』収録曲)
08.Butterfly
09.EGG(ニューシングル『EGG』表題曲)
10.You bet!!
11.Yellow
12.TREE CLIMBERS
13.KEKKO
En1.Magic Music
En2.Sun shower
◎木村カエラ クリスマススペシャルライブ【タイトル未定】12月25日(金)昭和女子大学 人見記念講堂
OPEN 18:00 / START 19:00
チケット:6,000円(税別)
チケット一般発売:11月21日(土)
問:HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
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