2015/07/17
高橋幸宏も参加した15周年記念ツアー【LOVE PSYCHEDELICO 2015 -15th ANNIVERSARY TOUR-『THE BEST』】にて、全国各地で音楽の根源的な楽しさを届けてきたLOVE PSYCHEDELICO。先日終えたばかりの同ツアー(と彼らと過ごした15年間)の独自取材レポートを解禁する。
<高橋幸宏のいるデリコ NAOKIは投げキッス、KUMIは「愛してる」連発>
事前のインタビュー(http://bit.ly/1AE0NMh)で「バンドメンバーはみんな幸宏さんと交流があって、僕らは【WORLD HAPPINESS】にお誘い頂いて面識はあったんですけど、またそのときに格好良いドラム叩いてて、「あー、幸宏さんの「LADY MADONNA」観てみたい!」と思って。それからずっとそんなこと考えてて、まさか本当に実現するとは思わなかったんだけど」(NAOKI)とメンバーも楽しみにしていた高橋幸宏とのライブ。その化学反応は開演するなり明確に表れた。
例えば、Zepp Nagoya公演における1曲目「It's Ok, I'm Alright」では、まずNAOKIの喨々たるアコースティックギターと、KUMIの軽やかながら存在感抜群のボーカルだけが響き渡り、そこへほとんどコンピューターのように的確でありながらハッキリと体温を感じさせる彼のリズムがズン!と加わった瞬間、驚くほどあからさまに、それでいてナチュラルに世界は豹変。2人の声と音も、堀江博久(key,g)、高桑圭(b)、ゴンドウトモヒコ(マニピュレーター&ホーン)のプレイも嬉々としており、ただでさえ生命力の高いLOVE PSYCHEDELICOの音楽がより感情豊かになって満員のオーディエンスを鼓舞させる。
その後も、高橋幸宏のドラムに興奮し、LOVE PSYCHEDELICOの15年を支えてきたバンドメンバーの演奏に歓喜し、それがまんま自身のプレイの熱量に変換され、NAOKIは投げキッス、KUMIは「愛してる」の連発。これほど明確に音を楽しむ音楽が体現される現場も珍しい。
<「音楽ってバトンだから、塞き止めたくない」「愛を変わらず投げかけたい」>
そんな彼らのライブに幾度となく贈られる拍手や歓声、口笛も含め、まるで伝説の海外ロックバンド/アーティストのライブに来ているような感覚になるのは、その音楽性はもちろん、声ひとつ、音ひとつに「音楽ってバトンだから、塞き止めたくない」という意思が溢れ返っているからだろう。彼らが熱狂、熱愛してきたボブ・ディランやザ・ビートルズなどのルーツミュージックから継承したスピリットが音楽となり、光景となり、そこに居合わせた人々の明日へと繋がっていく様が、LOVE PSYCHEDELICOのライブストーリーほど分かりやすく体感できる場もない。また、それを実現できるのは「やっぱり曲を創ったり、演奏したりするのが私たちなりの愛情表現だから。そうやって世の中に愛を変わらず投げかけたい」(KUMI)という想いももちろん大きい。
例えば、隠れた名曲「Waltz」を15年間寄り添ってきたKUMIとNAOKIだけで感慨深げに届けてくれた場面。例えば、恒例となっている(?)NAOKIのメインボーカルコーナーで「American Pie」(Don McLeanカバー)を照れくさそうに、けれども少年のように嬉しそうに歌われた姿。例えば、前述の「あー、幸宏さんの「LADY MADONNA」観てみたい!」が叶い、これまた高まりすぎちゃってステッペンウルフの「Born To Be Wild」を途中織り交ぜてみせた瞬間などなど、そのすべてに音楽とファンへの愛情がスパークしており、我々も同じように音楽とLOVE PSYCHEDELICOへの愛情をスパークせずにはいられなくなって、年甲斐もなく「音楽が全てに勝利した時間」みたいな青臭いツイートをしたくなっちゃうあの感じ。そのとても尊い時間を共有できるのは、LOVE PSYCHEDELICOがそれを求めるからに他ならない。
<「みんなも一緒に行こう、Freedom!」>
その「愛を変わらず投げかけたい」姿勢が最も顕著だったのは、そのタイトル通りの感覚と景色をこれまでも幾度となくプレゼントしてくれた「Freedom」。前回のツアーでは、KUMIの声が突如出なくなり、そこで観客が一斉に「Freedom!」と歌い叫んだ場面が伝説となっているが、今回は「Hey! I Love You! みんなも!? 愛してる!? 愛し合ってる!? オーライ! みんなも一緒に行こう、Freedom!」とKUMIがみんなをリードすれば、デリコ至上最も心地好いと思われる、あらゆる音楽への愛に溢れた最強にグルーヴィーなバンドサウンドが世界を支配し、そのど真ん中で「Freedom!」と何度も何度も、15年間の物語を共に彩ってきたリスナーと両腕を振り上げながら歌い叫ぶという、そして最後のハイトーンでの「フリィィィダ~~~~ム!」をKUMIがバッチリ決めてみせる一連の流れは、そもそも何故に我々が音楽なんていう得体の知れないものにハマったのか、思い起こさせるのに十分な力を持っていた。
音楽を届ける者たちと受け止める者たちの理想的な形。今から約10年前、「凄いライブを観て得られる「世界平和も、愛も希望も信じられる」みたいな感覚ってその空間だけのものになりがちだと思うんです。一歩そこから出て、一晩経ったら失ってしまう」と言ったら、「ライブが終わって家に帰って、どうしても自分の日常が大変で、辛くて、どうしてもその記憶が隅に追いやられてしまいそうだったら、もうずっと音楽聴いてればいい(笑)。ずっと次のライブを待ってればいいし。そしたらその感動はその日だけじゃなくて、次の日にも持続するかもしれない」と彼らは答えてくれたが、LOVE PSYCHEDELICOとそのリスナーの関係性は正しくこの言葉通りのものだった。それはこの先もきっと変わらない。
「今日は本当にどうもありがとう。本当に素敵な夜をどうもありがとう。15年ね、こうやってやってきて、本当に今日は幸せな夜です。どうもありがとう。この15年、良いときも、そうでないときも、ずっと一緒にいてくれたみんなにこの曲を贈りたいと思います。Good times, bad times」
取材&テキスト:平賀哲雄(※文中の過去発言に対するインタビュアー)
◎番組『LOVE PSYCHEDELICO 2015 -15th ANNIVERSARY TOUR-『THE BEST』』
07月18日(土)夜9:00~WOWOWライブ
収録日:2015年5月30日
収録場所:東京 昭和女子大学人見記念講堂
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