2014/11/15
スウェーデンの女性シンガーソングライター、トーヴ・ローによるシングル曲「Habits (Stay High)」が、The Billboard Hot 100で最高3位に食い込む大健闘を見せている。この曲はそもそも、今春リリースされたトーヴ・ローのEP『Truth Serum』の先行曲として2013年に発表されていた楽曲なのだが、じわじわとチャートを上昇し10/11付けで7位、その後もトップ10圏内に収まり続けて11/15付けチャートでは3位となっている。
トーヴ・ローこと本名トーヴ・ニルソンは、ストックホルム出身の現在27歳。詩を書きながら音楽の道に進み、2012年には同郷出身のエレクトロ・ポップ・デュオとして人気を博すアイコナ・ポップの楽曲(「We Got the World」や「Ready for The Weekend」)制作にも携わることになる。一方、ソロ名義のシンガーソングライターとしては、Soundcloudを通じて公開した「Love Ballad」で本国デビュー。「Habits (Stay High)」は、彼女のセカンド・シングルに当たる。
EP『Truth Serum』のリリースとほぼ時を同じくして、米テキサスの歴史ある音楽フェス=サウス・バイ・サウス・ウエストに出演したことも米国内での認知を高めたはずだが、「Habits (Stay High)」をヒットさせたのは何と言っても、その歌詞とMVの影響力に依るところが大きい。失恋の痛みを忘れようと、享楽的な生活に身を浸す毎日。“あなたのことを考えなくても済むように、いつでもハイになっているのよ”というコーラスを歌いながら、セックス・クラブや公園で男を掴まえてはその場限りの経験で痛みを和らげようとする。
MVでは、そんな歌詞のとおりの一日の生活がカメラに収められているのだが、フードのゴミを道端で放り投げ、浴びるように酒を飲み、そして相手が女性であろうが男性であろうが構わずキスを交わすトーヴ・ロー自身が、深い虚無の映り込んだ目をしているというリアルな描写に驚かされる。《それでも落ち着かなくて、飽き飽きしている》《靄に捕われたような時間を過ごしているのよ》と歌い、一人きりになった途端に泣き崩れてしまうビデオの中のトーヴ・ローは、笑顔と快楽にまみれたパーティの奥底に潜む物語を暴くアーティストだ。
彼女のデビュー・フル・アルバムとなる『Queen of The Clouds』は、輸入盤やiTunes版がこの10月にリリースされている。本国スウェーデンでは最高6位、The Billboard 200でも最高14位をマークした。性に開放的なお国柄と、普遍的な共感を得るような恋の深い失意を同時に感じさせる「Habits (Stay High)」は、もちろんこちらのアルバムにも収録されている。
◎Tove Lo 「Habits (Stay High)」
http://youtu.be/oh2LWWORoiM
Text:小池宏和
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