2014/10/16
10月9日、1979年の初来日より、実に35年ぶりとなるボストンの日本での最終公演が行われた。15分押しでトム・ショルツが登場し、一人ギターを弾き始めた瞬間から日本武道館は一瞬にしてボストンの世界<宇宙の彼方>へと誘われていった。
1曲目「Rock & Roll Band」に始まり数々の大ヒット曲を散りばめた構成となっており、今回のツアーのタイトルである最新作『ライフ、ラヴ&ホープ』からはインスト「Last Day of School」とタイトルトラック「Life, Love & Hope」が演奏された。
「Smokin’」ではタイトル通りスモークが炊かれる中、プレイヤーというより“職人”という言葉がしっくりくる精緻なショルツのキーボードプレイを披露。「Feelin' Satisfied」では曲中の手拍子をオーディエンスが一体になって再現、ボストンのサウンドに参加できるという貴重な体験もできた。
さらには、ボーカルのトミーが銅鑼を打ち鳴らしたのを合図にスペシャルゲストが登場、米人気番組“アメリカン・アイドル”のファイナリストのシボーン・マグナスだ。名曲「More Than a Feeling」にコーラスで参加。また「Walk On」ではシボーンがメインボーカルをとり、パンキッシュな歌声と動きを披露してくれた。レジェンド級のボストンとアイドルシンガーとのミスマッチ感はかなり新鮮。さながら異星人との交流と言ったところだろうか。
「Walk On」の途中から、ボーカル陣は一旦ひっこみ怒濤のインストゥルメンタルパートへ入る。ショルツは“楽器の魅力”を最大限に引き出すことでオーディエンスを不思議な世界にトリップさせる。本編のトリは「Foreplay/Long Time」。今回のライブの全ての魅力を総括したようなパフォーマンスが繰り広げられ、最後はレインボーの照明に包まれながら、天才トム・ショルツの設計通りのボストン号@武道館の2時間弱の幻想飛行は大成功に終わった。
唐突ではあるが、筆者は平成生まれであり、この日の客層の大半を占めた1st『幻想飛行』,2nd『ドント・ルック・バック』をリアルタイムで体験した世代ではない。しかし、トム・ショルツの世界を生で体験できる日が来る事を夢見ていた一人である。初めてボストンの曲を聴いたとき、優しいハーモニーとノスタルジックなメロディに心を奪われた。魔法にかかったかの様な感覚、まさに「More Than a Feeling」であった。
そんな私が楽しみにしていたことは、あの感動が感覚が武道館でどのようにもたらされるのであろうか?ということだった。結果、ライブでも変わらない“ボストンサウンド”があった。あの日私が初めてCDを聴いた感動があった。
一般的にライブには“ライブ感”すなわち「生」ゆえのアドリブやアレンジ、アクシデントなどを楽しみにして行く人が多いと思うが、ボストンは違う。ボストンファンはショルツの設計通りに出来上がった“ボストンサウンド”を聴きにいくのであり、40年近く経った今でも変わらないボストンを求めている。アナログにこだわり続けた結果導きだせるライブでのパフォーマンスや人力ゆえの正確さ等、学べることが多いライブであることは間違いない。
Photo:Hiroyuki Yoshihama
(写真は10.02のもの)
取材&テキスト:木村裕美
◎【ボストン日本公演 at 日本武道館】
2014.10.09(木)
1. Rock & Roll Band
2. Smokin'
3. Feelin' Satisfied
4. Last Day of School
5. Life, Love & Hope
6. Peace of Mind
7. It's Been Such a Long Time/Interlude
8. Cool the Engines
9. Surrender to Me
10. Don't Look Back
11. Something About You
12. Amanda
13. The Launch
14. More Than a Feeling
15. Instrumental(“E”JAM)
16. A New World
17. To Be a Man
18. Walk On
19. Get Organ-ized
20. Walk On (Some More)
21. Foreplay / Long Time
--- Encore ----
En1. I Think I Like It
En2. Party
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