2014/10/08 12:00
ステージの上でしか見ることのないあのアーティスト達が、この秋スクリーンに登場。演劇界に革命を起こした演出家ピーター・ブルックのワークショップ。世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチの素顔を捉えたドキュメンタリー。伝説のバンド〝ザ・フォー・シーズンズ”の栄光と挫折、再結成までを描くヒューマンドラマ。そしてビョークの『バイオフィリア・ライブ』を伝える映像作品と、どれも見逃せないものばかりだ。
カーペットにひかれた、1本の見えない「ロープ」。その上を、様々な国籍の俳優達が綱渡りするところから始まる『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』は、門外不出のワークショップ・ドキュメンタリーだ。ブルックが静かに紡ぐ言葉に呼応するように、自然と深まる俳優達のエクササイズは、5台の隠しカメラによって「ありのままの瞬間」が映し出され、徐々に自由さが備わってゆく。「なにもない空間」という演劇理論、最小限の装置と小道具、そして命の宿った役者の芝居から生み出されるピーター・ブルック演劇の真髄、自由さと想像力と真実を生み出す現場の一端に触れることが出来るだろう。
世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチを三女ステファニーの視点で捉えたドキュメンタリー『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』が公開中だ。幼少期に撮影したホームビデオの映像もふんだんに盛り込まれており、アルゲリッチのキュートな素顔にファンは改めて魅了されるだろう。一方で本作は、非常に特異な“悩める”家族を描きながらも、普遍的な「親と子」という問題を浮き彫りにしている。アルゲリッチの3人の娘は全て父親が異なり、母からの影響と関係性は三人三様だ。そしてカメラは、アルゲリッチも誰かの娘である、という当たり前のことを思い出させてくれる。全ての「親を持つ子供たち」に見て欲しい作品。
「シェリー」の大ヒット、71曲もの楽曲が全米チャートイン、ロックの殿堂入りなどを果たした伝説の4人組“ザ・フォー・シーズンズ”。米ニュージャージー州の貧しい地区に育った若者達の友情、成功と挫折、嫉妬や裏切り、借金と喪失、そして再度音楽が4人を結びつける様を描く『ジャージー・ボーイズ』が上映中だ。ブロードウェイで記録的ロングランを続けた傑作ミュージカルを基に、フランキー・ヴァリのミラクル・ファルセットはもちろん、舞台の勢いそのまま、巨匠イーストウッド監督が映画化。時代を超えた名曲に託された人間ドラマに、胸が締め付けられることだろう。
アイスランドの歌姫ビョークのプレミアムライブツアー『バイオフィリア・ライブ』の世界観を映画館の大型スクリーンと高音質な環境で体験できる千載一遇のチャンスがやって来た。「音楽」「自然」「テクノロジー」が空間の中で美しく邂逅する、この壮大なマルチ・メディア・プロジェクトは、アプリ開発者、科学者、ライター、発明家、ミュージシャン、楽器製作者らとのコラボレーションの賜物だ。同タイトルのiOSアプリが今年6月MoMAに収蔵決定したのも記憶に新しい。1日限定の上映予定だったが、ファンからの熱い声に応え10月11日以降、関東2館での追加上映が緊急決定した。text: yokano
◎上映情報
『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』
2014年9月20日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムにてロードショー
2014年9月27日(土)よりTOHOシネマズ梅田/TOHOシネマズ西宮ほか、全国順次公開
配給:ピクチャーズデプト
http://www.peterbrook.jp
(c) Brook Productions/Daniel Bardou
『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』
2014年9月27日(土)より Bunkamuraル・シネマ他にて公開
配給:ショウゲート
http://www.argerich-movie.jp
(c) Idéale Audience & Intermezzo Films.
『ジャージー・ボーイズ』
2014年9月27日(土) 新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー他全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
http://wwws.warnerbros.co.jp/jerseyboys/
(c) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC ENTERTAINMENT
『ビョーク バイオフィリア・ライブ』
2014年10月10日(金) TOHOシネマズ六本木ヒルズ、他全国6館
2014年10月11日(土)~シネ・リーブル池袋、TOHOシネマズ川崎
配給:カルチャヴィル合同会社
http://biophiliathefilm.com
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