2014/06/19
彼女たちの登場を待ちわびるファンが早々と詰めかけ、開演30分前には立錐の余地もないほどだった。オーディエンスの7~8割は女性。いわゆるB・ガール的なファッションに身を包んだ人もいれば、お揃いのTLCのTシャツを着たグループもいるなど、心の底からTLCを愛していることが瞬時に伝わってきた。
バンドが定位置につき、DJが客席を煽った後、まず6名のTLCダンサーズが威勢よく登場。歓声が飛び交う中、ダンサーたちと同じ淡いブルーのセットアップ姿のT・ボズとチリが姿を現すと、絶叫にも近い大歓声が会場に轟く。デビュー時のストリート・ガール的なイメージのまま「Ain't 2 Proud 2 Beg」でスタートしたショウは、前半、「What About Your Friends」「Silly Ho」「Hat 2 Da Back」といったヘヴィ・ビートのアップ・チューンで猛攻撃。ステージの熱気に負けじと、客席も大合唱で応える。その後も「Baby-Baby-Baby」「Diggin' On You」「Red Light Special」とベイビーフェイス作のキュートでセクシーなミディアム~スロウを3連発。続く「Creep」も含め、90年代アトランタを象徴するようなディープでレイドバックしたグルーヴで懐かしさを誘い、T・ボズのハスキーなアルト・ヴォイスとチリの滑らかでコシのある声も当時のままで、“あの頃”に連れ戻してくれた。
ショーの後半、「FanMail」「I’m Good At Being Bad」の前後ではファンに心からの感謝の気持ちを送ったT・ボズとチリ。続いてアコースティックな音使いの「Damaged」「Unpretty」では、その切なさの滲むリリックがに共感を得ているであろう、多くのファンが共に口ずさむ。その後ダンサーたちのパフォーマンスを挿み、チリとDJによる「自惚れの強いダメ男に“絶対NO”を突きつける」パフォーマンスも盛り込んだ「No Scrubs」で本編は終了。
これほどまでのベストヒットの連続に会場の熱気はピークに達したかに見えたが、満員のオーディエンスの心を最も掴んだのは紛れもなくアンコールで歌った「Waterfalls」。「レフト・アイが一番好きだった曲よ」というチリの紹介の後、ラップのパートではステージ後方のモニターに故レフト・アイの映像が映し出され、観客の涙を誘った。天国に旅立ったレフト・アイは、もう帰ってこない。けれど一度結ばれた糸は解かずに前進していく…そんな思いを伝えるべく最後に歌ったのが、昨年本国で放映された伝記映画『Crazysexycool: The TLC Story』のためにNe-Yoが書き下ろした新曲「Meant To Be」だったのだろう。レフト・アイを含めた変わらぬグループの絆、そしてファンとの絆を確かめ合うようにしてライヴは終了した。アッという間だが濃密な70分。ロビーや帰り路で、涙を流しながら語り合う女性グループが多かったが、TLCの音楽とともに生きてきたことを改めて噛み締めたに違いない。なお、本日6月19日にはなんばHATCHで大阪公演が行われる。
Photo:UCHIDA YUSUKE
◎公演情報
2014年6月18日(水)東京・赤坂BLITZ
2014年6月19日(木)大阪・なんばHATCH
info:http://www.creativeman.co.jp/artist/2014/06tlc/
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