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2025/12/23 12:00

<ライブレポート>岩田剛典「挑戦こそ人生の醍醐味」大きな一歩を踏み出した自身初アジアツアー東京公演

 11月18日の愛知公演を皮切りにスタートした【Takanori Iwata ASIA TOUR 2025-2026 "SPACE COWBOY"】の東京公演が、12月20日・21日に有明アリーナで開催された。国内4都市と台湾、タイをまわる自身初のアジアツアー東京公演の初日の模様をお伝えする。

 「スペース・カウボーイ=自由気ままに宇宙や時空を行き来する者」をタイトルに掲げた3rdアルバムで、岩田はソロシンガーとしてひとつの答えを見出した。それは、自分に限界を決めず、一生懸命に自分を生きることだ。宇宙という可能性に満ちた世界を、アルバムや公演のコンセプトに据えることで、限りある時間の中でどう生きるかは自分次第だというメッセージが伝わってきた。幼少期から勉学に勤しみ、大学入学前に出会ったダンスに心を奪われて以降、その道をひたすらに走り続けてきた岩田の人生のその先が見えた気がした。

 ツアーテーマ曲「ZERO GRAVITY」がどのような立ち位置にあるのかは、公演を楽しみにしている方のため、ここではあえて触れないでおこう。スペーシーで無限空間を連想させるイントロと、暗闇を抜け出す光の存在に心奪われる「Reaching for Your Light」。背を向けていても、鏡に反射する相手の姿がちらつく「Phone Number」。そして、ステージがダンスフロアへと変貌するディスコファンク「ダンスフロア」。色とりどりのサウンドに乗せて、楽曲が描くストーリーがステージ上で立体的に表現されていく。時にはダンサーに囲まれた中心で踊り、時には一人で空間を占拠する。岩田は、これまでのソロコンサートの経験から、本アリーナツアーに必要な“スパイス”をアルバムに収録したと語っていたが、ツアーのことを意識して制作されたからこそ、楽曲とパフォーマンスが自然に結びつき、ステージがより鮮やかに立ち上がっていたように思う。

 大きく揺れるペンライトと歓声を一身に受けながら、岩田はこの日、自らを「隣の星から来たエイリアン」と冗談めかし、会場に集まったファンたち(MATE)を宇宙の旅へとナビゲートしていく。退屈そうにしている乗客はいないか、観客一人ひとりの心の緊張の糸をほどくように気を配り、隅々にまで目を行き届かせる。その姿勢には、キャリア15年で培われた経験がにじんでいた。

 白い手袋に、きらめく白いジャケットを羽織って登場したかと思えば、次第に彼の自宅に招かれたかのような、アットホームな空気が立ち込める。ノープランで始まったMCでは、趣味の半身浴でのぼせてしまったからか、距離感を誤り、ふやけた体を食器棚の引き戸でこすってしまったときのエピソードを披露。危うく片胸を失いかけるというスリリングな話は、「人間って、人間の体ってすごいんです。キズパワーパッドを貼ったら、きれいに治りました!」と、笑いへと姿を変えた。

 色のない景色が徐々に色づいていく「モノクロの世界」、宇宙船のクラブショーのような「Step to the Moon」、ステージから炎が吹き出し、岩田のアグレッシブな一面が表れた「Get Down」と続き、後半戦に向けて会場の熱気がさらに高まる。ドラマや映画の撮影、三代目J SOUL BROTHERSのドームツアーと15周年スタジアム公演、24時間テレビや大阪万博でのプロジェクト、Mnetオーディション番組のメインプロデューサー業、そしてアルバムの準備と、ノンストップで駆け抜けた2025年を振り返り、「三代目は来年、いろいろ期待していただいて間違いないでしょう。俺も楽しみだ!」と、控える発表の期待も高めた。

 「TORICO」と「Night Parade」でMATEと一緒にひと汗かいたあと、最後のMCへ。「ソロデビューして4年が経ちました。今年に限って、価値観が大きく変わった1年になりました。表現者として自分はどうなりたいのか、何を伝えていきたいのか。結論を言います。人はいくつになっても新しい自分に生まれ変われる――それを体現していきたいと思っています。たとえ失敗してもいいんです。挑戦こそ人生の醍醐味だと信じています。一度きりの人生、思いっきりあなただけの人生を生きてください。人生の終わりが来たときに『思いっきり生きたぞ』って思えるような人生を、俺はMATEと歩んでいきたいな」と話し、会場から大きな拍手が届けられる。

「自分の人生の誇りに思えるものは紛れもなく、心の奥深いところでガッチリ結ばれた、ひとりひとりのMATEに出会えたことです。心無い言葉に出会うこともあり、強い気持ちを持ち続けられない日もありましたが、MATEに何度も救われました。僕の音楽活動が少しでもMATEの支えになれたら幸せです。あなたが働き疲れたときも元気が出ないときも、僕はいつだってここにいます。好きなときに会いに来てください。愛してるよ!」

 “あなた”に贈る曲「Only One For Me」をMATEたちが口ずさむ光景を目の前に、満面の笑みを浮かべる岩田。観客とアーティストの思いが重なり合った、心温まる素敵な瞬間だった。

 「15年前では想像もつかなかった景色が、ここにあります。MATEが信じてくれて、こんなところまで来られたからこそ、次のステージにチャレンジしなければならない、そういう使命を感じています」と語る岩田。その活動の指針となるのは、やはりダンスだ。2026年、本ツアーは海を越えてアジアでも開催。RIEHATAが振付を担当した「CROWN」を通して、その本気を観客に見せていく。「人生は一度きり。上がれるところまで上がろうぜ!」と宣言する、キャリア15年のエンターテイナーの底力が、いま試されようとしている。


Text by Mariko Ikitake
Photos by 鳥居洋介

◎セットリスト
【Takanori Iwata ASIA TOUR 2025-2026 "SPACE COWBOY"】
※2025年12月20日(土)公演
1. ZERO GRAVITY
2. Reaching for Your Light
3. Phone Number
4. Ready?
5. Just You and Me
6. ダンスフロア
7. Paradise
8. Rain Drop
9. Can't Get Enough
10. Keep It Up
11. The Way
12. モノクロの世界
13. 時計
14. Step to the Moon
15. Get Down
16. Work It Out
17. TORICO
18. Night Parade
19. Only One For Me
〈アンコール〉
1. CROWN
2. MVP
3. ZERO GRAVITY

◎ツアー情報
【Takanori Iwata ASIA TOUR 2025-2026 “SPACE COWBOY】
2025年11月18日(火)愛知・Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
2025年12月20日(土)東京・有明アリーナ
2025年12月21日(日)東京・有明アリーナ
2026年1月24日(土)台湾・台北 Legacy TERA
2026年2月3日(火)大阪・大阪城ホール
2026年2月4日(水)大阪・大阪城ホール
2026年2月21日(土)三重・三重県営サンアリーナ
2026年2月22日(日)三重・三重県営サンアリーナ
2026年3月1日(日)タイ・バンコク KBank Siam Pic-Ganesha Theatre

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