超特急が、8月27日と28日の2日間にわたり【BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”】の追加公演を神奈川・Ｋアリーナ横浜で開催した。4月20日の東京・J:COMホール八王子を皮切りにスタートしたロングツアーは、9か所・15公演すべてソールドアウト。新体制となってから最大規模の会場であるKアリーナ横浜にふさわしい華やかでスケールの大きなパフォーマンスでツアーを締めくくった。このレポートでは追加公演初日の模様をお届けする。

　幕が落とされ、ステージ上のビジョンが左右に開くと、9人のメンバーが登場した。映像やステージ上には花をモチーフとした演出で彩られ、それに呼応するように8号車（ファンの総称）が振るカラフルなペンライトが客席を埋め尽くす。オープニング曲は「Yell」。包み込むようなシンフォニックな旋律が広がる中、メンバー1人ひとりがビジョンにアップになる度に大歓声が起こる。

　ボーカルのタカシ、シューヤを残して7人が階下のステージに降り再び合流すると、「シャンディ」へ。幻想的な音像とヘヴィな低音でクールなダンスのステップを踏む。続く「Four Seasons」でもビートにシンクロしたダンスが繰り広げられた。ユーキが「踊れー！」と煽って始まったダンサブルな「Magnifique」で、9人がステージの端から端まで並ぶ光景はじつに壮観。「a kind of love」では、センターステージでポップな振りを見せた。最初のメンバー自己紹介タイムでは、短髪のタカシが「追加公演が楽しみすぎて、髪の毛切りすぎてもうた！」と告げて、客席からは笑いと称賛の声が同時に上がった。

　ステージ上には電車が登場。タカシとシューヤを車掌に、学生や社会人に扮したメンバーが乗り込むと「この電車は、『Rail is Beautiful』行きとなっております。それでは出発進行！」の合図で始まったコーナーの盛り上がりがすごかった。「Rush Hour」に始まり、「Pretty Girl」では、おさげ髪と赤いワンピース姿で女装したユーキが登場してドッと湧かせるとアロハと絡みながらステージが進行。ビッグバンド調の演奏に乗せた「Table Manners」、「panipani」と繋いでいくと、「Kiss Me Baby」ではユーキとアロハが熱いキス（？）。そこに現れたのは女装したハルで、「あなた、本命の彼女がいるのになに浮気してるのよー！」とアロハに激怒。するとカイ扮するおまわりさんが「今日も愛と正義のパトロール。2号車・カイですよ～」と登場、「POLICEMEN」を披露して「この事件、一件落着！」。最後は軽快なサウンドが心地良い「ラキラキ」のアウトロで、アロハが白目をむきながらフェイドアウト。怒涛の畳みかけで息つく暇もない、痛快なエンターテインメントだった。

　映像を挟み、まるで別のグループかのように白い衣装で統一した9人がステージへ。ラウドなサウンドに雷鳴が加わった「Beautiful Chaser」はサーチライトが飛びかい、炎が吹き上がるド迫力の演出に圧倒された。「霖雨」では一転して、アコースティック・ギターに乗せてボーカル2人のハーモニーを聴くことができた。そして、続く「Thinking of You」が素晴らしかった。花が咲き誇り変化していくアンビエントな映像の演出、原始的なリズムトラックに乗せたパフォーマンス。他に派手な演出で魅せる曲はたくさんあったものの、心に深く染み入るような1曲で、ツアーコンセプトの『Rail is Beautiful』を見事に象徴していたように思う。最後、手にした花を見つめるタクヤの姿で曲が終わるとステージに万雷の拍手が寄せられた。

　ソロダンスを挟んでのライブ後半は、黒い衣装を身に纏い、「Steal a Kiss」の火花とレーザー光線、「MORA MORA」のモノクロ映像、「Body Rock」でのそれぞれに当てられたピンスポットが光と影といったKアリーナのシステムを駆使しながら、先鋭的でストイックなダンスで魅了した。最先端の設備が整っている会場だけに、音響も素晴らしくグイグイ引き込まれる。「We Can Do It!」では、メンバーが2人ずつ向かい合って絡むセクシーなシーンに悲鳴にも似た歓声が上がっていた。

　メンバーカラーの衣装にチェンジすると、「ご乗車ください！」「超特急！」「8号車！」と、コール＆レスポンスで一体となり、「Call My Name」、「My Buddy」、8号車が“チクタク”と声を上げて先導する「Secret Express」、グルーヴィーな「超えてアバンチュール」と、ノンストップ走行。メンバーが交代で客席に降りて煽り、会場は興奮のるつぼと化した。

　マサヒロがMCで「8月8日で、新体制になって2周年になりました。今回、Kアリーナで追加公演ができるということで楽しみにしていて。初めてこの規模でやるので、『埋まるのかな？』っていう心配も正直あったんですけど、無事に満席になったということで、みなさんのおかげです。ありがとうございます！　今日初めての人もいると思うんですけど、2回目以降も乗車してもらえるように僕たちも引き続き頑張るので、これからもついてきてください」と思いを伝えると、ラストの曲「gr8est journey」へ。オープニング同様に、ステージ中央が左右に広がって、大きなツリーが見守る中、紙吹雪が舞い本編は終了となった。

　アンコールで、「夏だ！　海だ！　超特急だ！」とTシャツ姿で勢いよくステージに戻ると、「Summer love」で爽快に走り抜けた。曲が終わるとユーキが、「オープニングのときに何かほのかに香りませんでした？」と、オープニングの演出で客席が良い香りに包まれていたことを明かして驚かせた。ライブも終盤となり、MCでそれぞれが気持ちを伝える。

「来年はもっともっと大きいステージで最高のパフォーマンスを届けますので、ついてきてください。」（シューヤ）
「ここにいる約2万人の方の2万通りの人生があって、それを僕ら9人で背負ってパフォーマンスをして、楽しい時間を過ごしてもらおうと全力を尽くしました。」（カイ）
「次にフェスとかで会えることもあるかもしれないですけど、このタイミングはこの瞬間しかないので。ラストまで全力で楽しんで行ってください。」（マサヒロ）
「楽しかったですか!?　僕も楽しかったー!!」（タクヤ）
「1曲目にこの景色を見てウルっときて泣きそうになっていました。めっちゃ綺麗だったんですよ、この景色が。幸せいっぱいでした。」（ユーキ）
「僕たちの“美”を感じてくれましたか!?　ステージが大きくなればなるほど、みなさんの美も大きくなり、それを全部受け止めながらパフォーマンスしました。」（アロハ）
「僕もユーキ君と同じで1曲目からヤバかったです。すごく幸せだなって思える瞬間でした。またこの幸せを感じたいので、どこかでお会いしましょう。」（ハル）
「僕はボーカルなので自分が8号車のみんなに伝えたいことは、曲を通して伝えたつもりです。アリーナクラス、初めての景色をメンバーと8号車のみんなと見られたことが、本当にうれしく思えた1日でした。」（タカシ）
「（車掌アナウンス風に）ご乗車いただきまして、誠にありがとうございました。ユーキが1曲目でヤバかったって言ったけど僕も危なかったことがあって……ビックリしたんですけど、カントリーマアムぐらいの穴が股に空いてました（笑）。何が言いたいかというと、そんなピンチのときに自分を助けてくれる、倒れかかってもいいような存在になれるように頑張っていきますので、これからもよろしくお願いします。」（リョウガ）

　「ジュブナイラー」で歌詞がビジョンに映し出され、〈青春 青春 ばっちこいや〉と大コールで盛り上がる8号車。アンコールの最後は「fanfare」で、「みんな、最後に1つになりましょう！」（シューヤ）と、センターステージに集まり360度ぐるりと囲まれながら、オーディエンスと一体に。エンディングには銀テープが放たれて、大団円。終演後にはビジョンで21枚目となるニューシングル『AwA AwA』（アワアワ）の発売が告知され、次のステージへと向かう期待の余韻を残して初日は終了となった。Kアリーナという大きな舞台に飲まれることなく、演出を絡めてプレイリスト的に曲を繋いでいったり、1曲をじっくり聴かせたり、ストイックなダンスで魅せたりと、9人の人間力を爆発させて駆け抜けた2時間半、31曲。全力疾走で輝きを放った美しいライブだった。

Text by 岡本貴之
Photos by 米山三郎、笹森健一

◎セットリスト
【BULLET TRAIN Spring tour 2024 “Rail is Beautiful”】追加公演
※2024年8月27日（火）神奈川・Ｋアリーナ横浜公演
1. Yell
2. シャンディ
3. Four Seasons
4. Magnifique
5. a kind of love
6. Rush Hour
7. Pretty Girl
8. Table Manners
9. panipani
10. Kiss Me Baby
11. POLICEMEN
12. ラキラキ
13. Cead Mile Failte
14. Beautiful Chaser
15. 霖雨
16. Thinking of You
17. Holtasoley
18. Steal a Kiss
19. MORA MORA
20. Body Rock
21. We Can Do It!
22. Call My Name
23. My Buddy
24. Secret Express
25. 超えてアバンチュール
26. SAY NO
27. Burn!
28. gr8est journey
EN1. Summer love
EN2. ジュブナイラー
EN3. fanfare