2024/08/21
2024年8月10日から連日開催されていたいぎなり東北産のフリーイベント【『都内近郊フリー巡業』八月場所】。本稿では、8月18日にアーバンドック ららぽーと豊洲 シーサイドデッキメインステージにて行なわれた千秋楽の模様をお伝えする。
年末12月29日のパシフィコ横浜【いぎなり東北産 リベンジライブ】をソールドアウトさせるため、同時にまだいぎなり東北産を観たことがない人に観てもらう機会を提供することを目的として、2024年1月より毎月開催されている彼女たちのフリーイベント。今月は9日間連続開催を掲げて8月10日のステラタウン大宮 メローペ広場から初日がスタートした。途中、台風の影響でお台場でのイベントが中止になってしまったものの、学生たちの夏休みおよび大人たちのお盆休みとも重なり、連日多くのファンが会場へと集結。想像を遥かに超えた観客で溢れかえる観覧エリアをバックに撮影されたミニライブ終了後の集合写真もまた、連日SNSのタイムラインを驚きのコメントで溢れさせていた。
そして迎えたフリーイベント千秋楽。連休最終日ということもあり、会場となったアーバンドック ららぽーと豊洲 シーサイドデッキメインステージには、初めていぎなり東北産のイベントにやってきたという“一見産”や子供連れ、メンバーとさほど年齢が変わらない女の子たちなどなど、実に多くの皆産(いぎなり東北産ファンの呼称)がいぎなり東北産メンバーの姿を観ようと詰めかけていた。
開演時間の15時。夏の日差しが肌を焦がして、東京の気温は34度まで上昇する。サウンドチェックのために1曲公開リハーサルを行なったのち、【『都内近郊フリー巡業』八月場所】の千秋楽はいよいよ幕を開ける。コンセプトが“巡業”ということで、まずは寄せ太鼓の音が会場に鳴り響いてイベント開始を知らせる。さらにいつもの出囃子で、観客からはコールが発生。メンバーも「いぎなり東北産、がんばるっちゃー!」と声を合わせて気合い入れ。ステージに向かって一気に走り込んでくる。
最初に今回初めていぎなり東北産を観た人たちに向けて自己紹介。「ついに最終回ということで、最高の夏のクライマックスにしましょう!」と、律月ひかるが観客からの歓声を呼び込むと、「今日がラストということで、全員と目を合わせて帰りたいと思います。」「9日間たくさんの初めましての人と出会えて、こんなに東北産のこと気になってくれてるんだなってすごい嬉い気持ちになりました。今日は最終日。そんな嬉しい気持ちを爆発させたいと思います。」と、北美梨寧や葉月結菜は意気込みを述べる。安杜羽加が「最終日、一番ギャルで頑張りたいと思います。」と話せば、藤谷美海は「豊洲やお台場が大好きなので、今日も海をバックに頑張るぞ。」と謎のヨガポーズをきめるなど、最終日も自分のペースとキャラを崩さないふたり。そんな中で、最年少の伊達花彩は「今日、(私たちに)沼って帰ってください!」と声を上げていた。
千秋楽のミニライブ前半は、いぎなり東北産の楽しさと可愛さを見せつけて、初めましての人たちにも楽しみやすいステージを展開する。まずはこの日の撮影可能曲「服を着て、恋したい」から。スマホから超望遠単焦点を装着したミラーレス一眼まで準備万端な客席に「可愛く撮ってください。」と呼びかけて、次々と可愛い仕草と視線を投げるいぎなり東北産。観客は、その可愛さのすべてを取りこぼすまいとステージにカメラを向け続けた。
「明日からお仕事や学校の人ー? そんな連休最終日に私たちを選んでくれてありがとうございます。ここにいる全員を称える曲を歌いたいと思います! 暑さに負けないくらいみんなで楽しんでいきましょう! 」
安杜羽加が観客を煽って、いぎなり東北産らしさが込められた「シャチョサン」に、TikTokでもアイドルがこぞって動画投稿して話題となった「沼れ!マイラバー」を披露。特に「沼れ!マイラバー」はイントロが始まった途端に観覧エリアの女の子たちから「可愛い!」「最高!」の声が聞こえるなど、この曲目当てでイベントに足を運んだ初見の人たちも相当数いたことが伺えた。
途中のMCでは、来てくれた一見産に軽くインタビューする一幕も。北美梨寧がステージを降りて、前方にいた女の子にマイクを差し出して推しメンを訊ねてみたところ、吉瀬真珠の名前が上がる。「じゃあ真珠ちゃんの特大ファンサまで……3、2、1!」と、北美が突然の無茶振りを行なうと、吉瀬真珠はステージ上からその女の子の目を見て、恥ずかしさと嬉しさが入り混じったような表情を浮かべながら「大好きだよ」と一言。即座に観覧スペース全体から沸騰したやかんのような音が響き渡る。ステージ上のメンバーからも悲鳴や「いいなー」の声。そして「俺も……」という、みうお君(ギャル好き属性)に似たつぶやきが聞こえたりもしていた。
後半は、いぎなり東北産の可愛いだけではない面を披露する。「メタハンマー」では怒りの感情にも似た熱い想いを歌声に乗せて力の限りのパフォーマンス。「真っ直ぐに、明日がある」では、舞台芸術のように歌声で聴かせ、動きで物語を表現。TikTokから知り、初めてステージを観たという人たちからすると、いぎなり東北産が持つ(きっと想像以上だったであろう)ポテンシャルの高さと引き出しの多さ、表現の多彩さは、彼女たちのまた違った魅力、新しい一面として2024年の夏の日差しとともに記憶に刻まれたことだろう。
「この世界、永遠なんてないのかもしれない。けど、みんなと過ごしたこの夏の思い出は、私にとって間違いなく永遠の宝物でした。これからもみなさんと一緒に拙い永遠を、そして果てない夢を追いかけていきたいなと思っています。」
生きることに不器用で、だけど実直で懸命。そんな人間味溢れるリーダー・橘花怜が、どうしても使わずにはいられなかった「永遠」という言葉。自分は間違いなく永遠だと信じている。だけど、本当にそれを永遠と呼んでいいものなのかはわからない……。彼女のそんな生真面目さが、無意識のなかで「拙い永遠を、そして果てない夢を」と言葉を生む。しかしながら、この日のこの瞬間、豊洲に集まった人たちも、きっと想いは彼女と彼女たちと一緒だったことだろう。
彼女たちの熱い気持ちが込められた「負けないうた」で、連日行なってきた『都内近郊フリー巡業』八月場所は締めくくられる。陽炎の向こう側、灼熱と化したステージで、肩を組んで息の続く限り歌い上げる無敵のTOHOKU9。年末のパシフィコ横浜へ、そして夢のステージへと届くようなその歌声に、群衆という表現がふさわしいほどに集まったファン、多くの人たちからは惜しみない拍手と声援が送られていた。
予定していたセットリストを終えて、最後にメンバーひとりひとりが感想を口にする。「素敵な夏になりました。」と吉瀬真珠が話せば、「どんなに暑い中でも来てくれてすごく愛を感じました。12月29日のパシフィコ横浜も来てください。」とは伊達花彩。桜ひなのが「皆産がこの時間を作ってくださったおかけで、私たちもこんなに幸せな気持ちになれています。」とコメントすれば、葉月結菜の「毎日毎日、私たちの想像を超えるたくさんの皆産が会いに来てくれるおかげで、『今日もみんなのためにもっと頑張んなきゃ!』『もっと可愛くならなきゃ!』って、そんな思いで毎日やっていました。本当に皆産が来てくれたおかげで9日間充実した日々を過ごせました。」という感謝の言葉が彼女たちのリアルだろう。
「今回、初めましてで会うことができた方も、いつも来てくれている方もたくさんいたと思うんですけど、なんか数年ぶりとかに、すごい久しぶりに会えた方とかもいて。なんかもう会えなくなった方にまた会えるという点でもお盆だなあと思いました。」という律月ひかるの秀逸過ぎるコメントには、見事なオチのつけ方に思わずどよめきと笑いが起きる。一方、一見産エリアにいた女の子たちからは、その発言の後に上手いこと言ってちょっと満足そうでもあり、ちょっと照れているようでもある律月の姿を目の当たりにして、「可愛い……。」の声が思わず漏れ出てしまっていた。
イベントが終わり、観覧エリアを縫うように設置された動線を通ってメンバーが退場していく。最後まで観客ひとりひとりの声に応えるように手を振ったり笑顔を見せていたメンバーの目が潤んで見えたのは、ファンの人たちにとってそうであったように、今回の一連のフリーイベントが、彼女たちにとっても何物にも代えがたい2024年夏の素敵な思い出になっていたから。そして、北美梨寧が「1日は台風で潰れちゃったけど、みなさんが会いに来てくれるのが本当にありがたくて、日に日に感謝の気持ちでいっぱいになりました。」と言っていたり、藤谷美海が「ステージに立つたびに『今日もこんなに来てくれるの!?』が連日続いたから、すごい自信もつきました。」と言葉にしていたが、こんなにも多くの人たちが自分たちを応援してくれている、興味を持ってくれているという事実を再認識することができて、つい感情が昂ってしまったからなのかもしれない。
フリーイベント【『都内近郊フリー巡業』九月場所】は9月8日に神奈川県内にて開催が決定。そして2024年12月29日には、パシフィコ横浜にて『いぎなり東北産 リベンジライブ』を開催する。周知のとおり、彼女たちが2024年に掲げているのはただひとつ。『いぎなり東北産 リベンジライブ』のチケットソールドアウト。彼女たちがずっと夢にまで描いたステージは、きっとその先に待っているはずだ。
Text&Photos:Yosuke TSUJI
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