6月29日の大阪国際交流センター公演を皮切りに、4都市をまわってきたSUPER★DRAGONのライブツアー【MIXTURE】の追加公演が、7月29日に神奈川県民ホール 大ホールにて開催された。今年3月のメジャーデビューを経て、想い新たに精力的な活動をしてきた彼らの、多面的な魅力が溢れたツアーの最終公演の模様をお伝えする。

　オープニング映像が舞台に映し出されると共に、大歓声の中でステージに登場した9人。青い衣装に身を包んだスタイリッシュなパフォーマンスでまずはデビュー曲「New Rise」を届ける、ショーとしての完成度の高い幕開けだ。続く「X」では池田彪馬の歌声がエモーショナルに会場のボルテージを上げ、3曲目の「Tap tap tap!」ではエネルギッシュな曲調に合わせてメンバーも会場のファンもみんなで手拍子をして一体感を生み出した。その後、ひとりずつ挨拶をしながら飯島颯が「声出せますか！」とフロアに呼びかけたり、松村和哉が「神奈川行けんのー？」と煽ったり、序盤から最終日の気合いを十分に感じさせた。

　4曲目の「Hey, girl」ではLEDライトによる細長い舞台装置を効果的に使った演出が印象的で、自分たちでセットの配置を変えながらパフォーマンスをする様子も見どころだった。そこからはソロやメンバー内コラボなど次々と形態を変えて曲を届けていくのだが、まずは「Remedy For Love」で池田彪馬と古川毅が歌うなか、柴崎楽が長い手足をしなやかに使ったコンテンポラリーダンスを披露。松村和哉はシリアスな世界観が光るソロでの新曲「Darkhero」を存在感あふれるパフォーマンスで届け、ジャン海渡は軽快なビートとメロディが特徴的な「Shooting star」をポップに歌い上げるなど、次々と個性を発揮していく。田中洸希のビートボックスに合わせて志村玲於がダンスするパートでは互いのスキルを切磋琢磨し、限界に挑戦するような気迫とグルーヴに満ちたパフォーマンスにファンも大興奮。

　伊藤壮吾、飯島颯、志村玲於、柴崎楽によるダンサー陣4人のレアな歌声が聴けた10曲目の「SAWAGE!!!!」では、事前にメンバーによる「コール講座」が動画で上がっていたこともあり、コミカルな楽曲に合わせて、まさにお祭り騒ぎに。そこから再び9人でメジャーデビューシングルのカップリング曲「Breakdown Anthem」をセクシー＆グルーヴィに届け、高速ビートに乗ったダンスで惹きつける。緩急に満ち、予測不可能なライブ展開に、SUPER★DRAGONのエンターテイナーとしてのさらなる進化が伝わってきた。

　もちろん進化のみならずファンとの距離感の近さを感じさせてくれる場面も。古川毅が「今から俺たちそっちに行っちゃいまーす！」と言い「Reach the sky」ではメンバーが客席フロアに降りて通路でタオルを振り回しながら歌うという展開に。1階客席の後方に田中洸希と松村和哉、2階客席には伊藤壮吾と柴崎楽が……というように、会場全体に散らばったメンバーが至近距離で歌う姿に、あちこちから歓喜の叫び声が響いて、みんなで楽しめるハッピーな時間になった。

　中盤のMCではこれまでのライブの流れを振り返り、ジャン海渡に「（「Remedy For Love」での）ダンスどうだった？」と聞かれた柴崎楽が「途中で靴が脱げちゃったのが悔しかった！」と言い、その後ソロでパフォーマンスした松村和哉は「新曲だし緊張して神妙な面持ちでステージに出ていったら、（楽の）靴が落ちてた！」と笑わせた。飯島颯は今回のツアーのコンセプトについて「タイトルに“MIXTURE”とあるように今回は僕らのいろんな見せ方をミックスさせている」と語り、まだまだ色んな見せ方があるとばかりに、その後は彼らの派生ユニットであるファイヤードラゴンの「Drive Me Crazy」とサンダードラゴンの「真冬の熱帯夜」を、どちらも表現力豊かに届けた。

　さらなるハイライトとなったのは、伊藤壮吾が奏でる鍵盤の音色に合わせてメンバーが真摯な歌声を聴かせた「-Tweedia-」。客席の青いペンライトも繊細に揺れて、ドラマチックな一体感を演出していた。

　田中洸希の主演ドラマ『シュガードッグライフ』の主題歌である新曲「Sweets」も披露され、キュートなエレクトロ・ポップな曲調に合わせた、甘さに振り切った振り付けが新鮮だった。テーブルやキャンドルをモチーフに斬新な演出で届けた「Gotta Keep It Going On」、そして凄まじい熱気を生み出したのがリリース未定の新曲「Legend」であったことも、今のSUPER★DRAGONに向けられたファンへの期待と彼らの勢いを物語っている。その勢いに乗って飯島颯が華麗なるダンスブレイクで見せ場を作り、「Monster!～Mada’ Mada’～SUPER★DRAGON～Untouchable Max」と繋がる怒涛のメドレーへ突入。まさに9人全員の魅力がMIXTUREされ、ライブ後半戦でも底なしのエネルギーを大放出する全力パフォーマンスに圧倒された。

　ツアーが終わりに近づいていることを惜しむように古川毅が「もうすぐ我々、10年目です。10年やってるといろんなことがあるんですけど、いろんなことを乗り越えて、今までの歴史の中で一番、9人が全員で前を向いていて仲良しです」と語った。そして「このタイミングで【MIXTURE】というあらためての自己紹介的なツアーができたことも、この後に披露する新曲ができたことも運命というか必然のように思っていて。僕らの手の届く範囲の人たちまとめて幸せになって欲しいし、みんなが自分と周りの人に優しく、少しでも優しい世界が広がればいいなという想いを込めて作った曲です」と「Younger Forevermore」を聴かせてくれた。手書きの文字で映し出される歌詞は〈このまま灰になっても〉〈答えは出なくても〉〈愛を歌っていこう〉という素直で真っ直ぐな想いが綴られていた。今の9人の仲の良さが伝わってくるピースフルな曲調で、彼らの新しいテーマソングのようなこの曲が、ツアーの終わりを感動的に締めくくった。それは彼らのこれからを照らす希望に満ちた光のようだった。「楽しかった？　まだまだ俺らは止まらないんで、これからも期待しててください。みんな今日はありがとう！」と田中洸希が挨拶し、9人はステージを去った。

　アンコールでは、まだ楽しい時間は終わらない！　とばかりに「ワチャ-ガチャ！」の朗らかなメロディを歌い上げ、会場を笑顔で満たした。MCではメンバーが着用しているツアーTシャツを柴崎楽がリメイクしたという話に。見ると、飯島颯のTシャツの襟や袖口に施されたステッチや、田中洸希の短い丈など、同じTシャツでもメンバーそれぞれが違った着こなしをしている。楽はこれまでもツアーグッズのデザインやロゴのデザインを担当していたが、衣装のリメイクにも挑戦し、こうした細部にもSUPER★DRAGONのMIXTURE魂が宿っているのだなと感じた。

　アンコール2曲目の「Popstar」では9人がじゃれ合うようなラフな笑顔を見せ、これまでの経験や個々の挑戦が集約されたこのツアーの充実ぶりを感じさせるラストだった。「ひとつひとつの公演が僕らにとってかけがえのないものです。また会いましょう、SUPER★DRAGONでした！」という池田彪馬の挨拶で締めくくったこの日のライブ。ハッピーな熱気が覚めやらぬまま、ライブ中には9月のメジャー2ndシングル『Downforce』のリリースも発表され、10年目に向けて龍のごとく駆け上がっていく彼らの活動からますます目が離せない。

Text by 上野三樹
Photo by 笹森健一

◎公演情報
【MIXTURE】
2024年7月29日（月）神奈川・神奈川県民ホール 大ホール

＜セットリスト＞
1. New Rise
2. X
3. Tap tap tap!
4. Hey, girl
5. Remedy For Love
6. Darkhero（Cuegee）
7. Shooting star（jjean）
8. Set It Off
9. 田中洸希BeatBox×志村玲於Dance
10. SAWAGE!!!!
11. Breakdown Anthem
12. Reach the sky
13. Drive Me Crazy
14. 真冬の熱帯夜
15. 相合傘
16. -Tweedia-
17. Sweets
18. Gotta Keep It Going On
19. Legend
20.Monster!～Mada' Mada'～SUPER★DRAGON～Untouchable MAX
21. Younger Forevermore
EN1. ワチャ-ガチャ!
EN2. Popstar

◎リリース情報
『Downforce』
2024/9/11 RELEASE
＜初回限定盤A（CD+Blu-ray）＞
PCCA-06331 / 3,630円（tax in.）
＜初回限定盤B（CD+Blu-ray）＞
PCCA-06332 / 3,630円（tax in.）
＜通常盤（CD）＞
PCCA-06333 / 1,500円（tax in.）