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<ライブレポート>Bimi、独自の魅力を最大限に伝えるステージ【Bimi Live Galley #03 -cosmic-】開催

 舞台『鋼の錬金術師』、『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』Rule the Stage等で知られる俳優、廣野凌大によるアーティスト・プロジェクトBimiが、昨年12月よりスタートしている【Live Galley】シリーズの第3弾【Bimi Live Galley #03 -cosmic-】を7月15日に品川ステラボールにて開催した。

 Bimiとしての活動を少しでも追ったことのあるファンであればすでにわかりきったことかもしれないが、アーティストとしてのBimiが持つ独自の魅力を最大限に伝えるステージとなった。

 ライブは三部構成。まずは副題となっている【cosmic】をわかりやすく表現したオープニングムービーからBimiが登場し、フロアを宇宙への旅に誘う。

 Bimiは<頼むマジで ほっといてくれよマジで>というラップも印象的な「LOVE」でライブをスタート。きっと彼がこのパートで表現しているのは「解放」だろう。宇宙へ飛び出したときに感じるであろう自由な感覚と様々なしがらみから解き放たれた感覚を重ねて観客全員と共有していく。間髪入れず「funky night」、「selfy」をプレイし、一呼吸置くようにゆっくりとMCをするかと思いきや「曲の方が早えわ」と吐き捨てるように言って「Popstar」へ。「お前らに大合唱させてやろう」という前置き通り「俺の為に死ね」という、なんともBimiらしく、良い意味で異常な大合唱が巻き起こり、盛り上がりは最高潮に。Bimiはステージ(花道も含む)を広く使い、エネルギッシュに全身で開放感を表現。そこに観客は身を委ね、大きなうねりが生まれる。このパートのラスト「Awake now」ではBimiを上裸にならせるほどの熱気がステラボールを満たしていた。

 制作におけるBimiのパートナーであり盟友、Dj dipによる幕間の見事なプレイからライブは第二部へ。アップテンポなナンバーで駆け抜けた第一部とは打って変わって、宇宙の深淵──Bimi曰くブラックホール──に吸い込まれるようなダークなムードの充満するパートだ。ここでBimiは自らの内側へと深く潜り込み、同時に見ている人の内面にもそっと寄り添ってみせる。

 <君 俺 僕 私 解釈違う同一人物 気に留めとく わかりあえないってさ>と抱えたさまざまな自分との葛藤を歌う「Safe Haven」に始まり、鋭いフロウで世界に斬りかかる「NINJA」、<サルだった頃思い馳せるのだ>と本能と向き合う「rave」、醒めた目線で社会を見つめる「Tai」と畳み掛け、「inner child」の絶唱へと辿り着く。その間、Bimiは花道もほとんど使うことなく、ときおり座り込んで歌ったりとパフォーマンスの面でも第一部との違いは明白だ。

 ここで見せた第一部との大きなギャップは今回のライブの肝と言ってもいいだろう。ピュアで真摯で、知性の漂うユーモアも持ち合わせ、それでいて少し高飛車で、なのにふっと突然消えてしまいそうな刹那的な美しささえ纏っていて……という具合に、Bimiの魅力を言葉にしようするとどうにも複雑になってしまうのだが、このライブの構成はそういった複雑で厚みのある魅力をわかりやすく伝えてくれたように感じる。

 Dj dipによる自称地獄のおしゃべりタイムと乾杯を含む幕間を経て再びハッピーな空気に満たされ、ライブは終盤、第三部を迎える。Bimiが自らを宇宙人に擬え歌う「インベーダーインバイト」で始まったこの最後のパートのテーマは宇宙遊泳。「休憩しようよ」と呼びかけフロアと乾杯すると先程までの緊張の糸がスルスルと緩んでいく。観客にグッズのライトブレスレットの装着を求めてからスタートした新曲「Good-by」が緩んだ心にストレートに飛び込んでくる。光るブレスレットによって生まれた星空の中、スウィートなメロディを歌い上げるBimiはまさに宇宙を気持ちよく泳いでいるかのようだった。

 さらに「ここから音楽畑に殴り込んでいきます」と決意をフロアに告げると、撮影を許可した上で配信されたばかりの某国民的マンガへのオマージュが明確な新曲「You Gotta Power」へ。ここまで応援してくれたファンと共に、もっと広大な宇宙を突き進み、新たな希望を掴みに行くというメッセージを曲を通して伝えてみせる。正直、Bimiの持つ多彩なフロウや優れた歌唱力、Dj dipと共に作り上げたEDM、ヒップホップ、日本的な要素などをごった煮にした独自のサウンドは、すでに音楽畑に殴り込んでいると言っていいと思うのだが、Bimi自身は現状に満足するつもりなどサラサラないのだ。ストイックな姿勢に自ずとこちらの期待感も高まる。この先Bimiは一体どんな世界を見せてくれるのだろうか。

 その後はゆったりとしたダンスを煽る「error」、爆発的にアッパーな「Hurry」、ラストはメランコリックなムードで吐露するようにラップする「飼ふ」と、3曲でBimiはころころと表情を変えながら本編を終えた。

 そして、まだふわふわとした宇宙の余韻が残る中、8月28日発売予定の新作EP『Snack Box』のリリースと合わせた【Bimi Release Party 2024 -Special Box-】の開催が発表。Bimiとの旅はまだまだ終わらない。

 Bimiらしさの詰まったアンセム「輪-味変-」(急遽この曲も撮影可能に)を含む3曲のアンコールまで、疲れ知らずの圧巻のパフォーマンスでBimiはフロアを沸騰させステージを後にした。ちなみに本当のラストは終演後、帰路に着こうとするタイミングで流れたBimiによる場内アナウンスだった。

Text by 高久大輝
Photo by Yusuke Baba(Beyond the Lenz)


◎公演情報
【Bimi Live Galley #03 -cosmic-】
2024年7月15日(月・祝)
東京・ステラボール(品川プリンスホテル マクセル アクアパーク内)

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