2024/07/03 21:00
いぎなり東北産が地元・仙台に様々なアーティストを迎えて行なうライブイベント【A LIVE SENDAI Vol.2】の第2回が、つばきファクトリーを迎えて6月29日にSENDAI GIGSにて開催され、同公演の公式レポートが到着した。
1月の【A LIVE SENDAI Vol.1】では、いぎなり東北産との対バンが初となる≒JOYを迎えて行なわれたが、今回の【Vol.2】ゲストのつばきファクトリーは、6月10日に行なわれた日本武道館公演をもって、前リーダー・新沼希空が卒業し、新リーダー・谷本安美が率いる新体制へと移行したばかり。つまり今回のイベントは、新体制移行後初ステージでもあった。このような理由から当日のSENDAI GIGSには、【A LIVE SENDAI Vol.1】の盛り上がりと楽しさを知っているいぎなり東北産の皆産(ファン)だけでなく、新体制をいち早く見たい、そして新体制もしっかり支えていきたいというつばきファクトリーのファンも集結していた。
対バンイベントの場合、それぞれのグループの文化や作法の違いを目にしたり、それを真似るといった形での交流が起こる場合がある。開演直前、つばきファクトリーのメンバー名を叫ぶファンの声も、そういった類のものだろう。彼女たちの先輩・Berryz工房の……というか、今やハロー!プロジェクトの公演で広く目や耳にする光景ではあるが、いぎなり東北産の現場では、多少はあるものの、大規模でフロア各所から次々声が上がるのはいささか新鮮だ(むしろいぎなり東北産の場合は、開場BGMに合わせて歌うことのほうが主流)。というわけで、今回はつばきファクトリーのファンを真似て、いぎなり東北産のメンバーの名前を呼ぶ声も上がるなど、開演前からいつもとはまた違った空気が漂っていた。
開演時間となり、歓声に迎え入れられてイベントホストのいぎなり東北産がステージに登場する。挨拶もそこそこに、葉月結菜は「前回は≒JOYさん、今回はつばきファクトリーさんに来ていただきました。豪華な方々に出ていただけて嬉しいです。」と感想を述べ、さっそく今回の意気込みを北美梨寧に振る。ところが北美は、「会場はとってもアツアツなので楽しみなんですけど、ここはハロプロ大好きな結菜ちゃんに意気込みを聞きたいなと思います!」と、実は今日はハロプロについて語りたくて仕方がないであろう(?)葉月にボールを返す。不意に“我が軍”情報がもたらされて、つばきファクトリーのファンからの歓声が会場を包む中で「あの、あまり周りに言ってはないんですけど、心の内でハロプロさん大好きでして。つばきさんが来てくださるってマネージャーさんから聞いた時も、めっちゃ嬉しくて“ハロプロさんが出てくれるの!?”って。なので今日は私が一番楽しんじゃうと思うのですが、みなさんも一緒に楽しんでいきましょう!」と、毎日ハロプロ関連のYouTubeを観ているという葉月は、思いの丈を早口で一気に吐き出していた。
そしていぎなり東北産がつばきファクトリーをステージに呼び込む。いよいよ【A LIVE SENDAI Vol.2】スタートだ。
■つばきファクトリー
背面からの強烈なライトの照射によって、ステージには11人のシルエットが幻想的に浮かび上がる。オープニングを飾ったのは、ポップなアッパーチューン「Stay free & Stay tuned」。つばきファクトリーはフロアに笑顔を振りまきつつも攻めの姿勢でパフォーマンスを披露。そうかと思えば「My Darling ~Do you love me?~」を高らかに歌い上げて、オーディエンスのクラップを誘いつつ、多幸感に溢れたスイートな空間を演出する。
「大阪府産、ブライトグリーン担当の土居楓奏です!」
「愛知県産、ライトピンク担当の村田結生です!」
“郷に入っては郷に従え”ということわざの通り(?)、彼女たちはいぎなり東北産をオマージュした“産地”を盛り込んだ特別バージョンの自己紹介を披露する。続いて中島卓偉のロックスピリッツが注ぎ込まれたサウンドと児玉雨子の紡いだ言葉が交錯する人気曲「アドレナリン・ダメ」のグルーヴでフロアを踊らせると、妖しい空気感をまとった裏拍が心地よい新曲「ベイビースパイダー」で観客の視線をたちまちステージに釘付けにしてしまっていた。
「みなさんもっともっと声出せますか! 後半戦、盛り上がっていきましょう!」と秋山眞緒が客席に呼びかけると、今度は新メンバーの3人を抜いた8人での「Power Flower」を披露。ステージを目一杯使った圧倒的な運動量で観客を煽っていく。さらに「断捨ISM」「ハッピークラッカー」では、メンバーからも持参するよう事前にアナウンスがあったタオルを手にしたつばきファクトリーのファン、そしていぎなり東北産の皆産(ファン)が入り乱れ、SENDAI GIGSに色とりどりのタオルが舞っていた。
そして「妄想だけならフリーダム」をアグレッシブに客席へと叩き込むと、彼女たちのステージラストを飾ったのは、代表曲「今夜だけ浮かれたかった」。新体制移行後初となったステージながら、それを感じさせないような彼女たちのパフォーマンスに客席は激しいコールとともに終始熱狂。この瞬間、SENDAI GIGSは確実に灼熱の地と化していた。
■いぎなり東北産
つばきファクトリーが引き上げた熱量を引き継ぐ形で、いぎなり東北産がステージへと歩みを進める。STAR PLANET所属グループの中でもひときわ高い熱量でファンを魅了する彼女たち。今日のステージは、いきなり沸点、最高潮のところからスタートだ。
出囃子が鳴り響く中で円陣を組むように声を合わせるいぎなり東北産メンバー。そして、会場を煽りながらステージへと繰り出すと、皆産の体温が一気に上がるあの超攻撃特化なイントロが赤く染まった空間を引き裂く。「つばきファクトリーのみなさんも、つばきファクトリーのファンのみなさんも、いぎなり東北産の皆産のみなさんもようこそ仙台へ!」と橘花怜は絶叫。名刺代わりの「天下一品~みちのく革命~」を浴びせて、特にいぎなり東北産のライブ初見な観客の度肝を抜く。
この後も攻撃的でスリリングな楽曲を続けるかと思われたが、ところが今回は、いぎなり東北産を可愛さに全振りした「沼れ!マイラバー」をここで披露。さらにクールな一面をのぞかせる「ゾンビソサエティー」や「Action!」、そしてつばきファクトリーのファンもきっと知っているであろう、TikTokを中心にアイドルたちがこぞって動画を投稿した「わざとあざとエキスパート」をパフォーマンス。彼女たちは、様々ないぎなり東北産を立て続けに見せることで、つばきファクトリーのファンにも楽しんでもらいつつ、いぎなり東北産についてどこかしら気になるところだったり、記憶に残るものを届ける作戦なのかもしれない。しかも与えられたステージ時間をフルに使うために、一切のMCを挟まないノンストップで。
そしてさらに、いぎなり東北産からは、つばきファクトリーとそのファンの人たちへ、仙台に来てくれたことへの感謝の気持ちを込めたとびきりの“おもてなし”も用意されていた。インタールードの「いぎなり魔曲」を経て暗転したステージで、スポットライトに照らされた桜ひなのが口を開き、次の曲をコールする。
「初恋サンライズ」
フロアにいたすべてのつばきファクトリーファンは、その曲名が自身の耳に届いた瞬間、思わず驚きの声を発してしまう。そしてこの日一番の大歓声は、いぎなり東北産のパフォーマンスによって、会場一体の大きなコールへと形を変える。フォーメーションも完璧な、いぎなり東北産によるつばきファクトリー「初恋サンライズ」のカバー。それは会場を熱狂の向こう側へと誘い、興奮の坩堝へと変貌させるには十分過ぎるほどの爆発力と完成度を持ち合わせていた。パフォーマンス終了後につばきファクトリーのファンたちからステージへと届けられた「ありがとう!」の声と、手応えを感じているであろういぎなり東北産メンバーの満足そうな表情からも、それは明らかだった。
この後、彼女たちは「メタハンマー」に「No Make」と会場一体となって盛り上がる曲を並べて、つばきファクトリーから受け継いだ会場の熱量にも追加燃料を投下しながら、“これぞいぎなり東北産”というステージをしっかりとやりきってみせた。
「いぎなり東北産の『初恋サンライズ』いかがでしたか? 東北産のファンのみなさんも、つばきファクトリーのファンのみなさんも、これでワンチームなんじゃないかっていうものすごい熱量で盛り上がってくれて嬉しかったです。」── 北美梨寧
■企画コーナー
いぎなり東北産のステージが終わると、再度、つばきファクトリーをステージに呼び込んで、両グループのメンバーがステージ上に一堂に会する。そして『A LIVE SENDAI Vol.1』同様、サッカーの試合終了後のユニフォーム交換のようにお互いのグッズ交換会を実施。いぎなり東北産の非公式風ペンライトとつばきファクトリーの公式ペンライト、そしていぎなり東北産の絶妙なTシャツとつばきファクトリーのネコがモチーフのメモリアルTシャツの交換に客席からは笑いが起きていた。
そして、こちらも前回から引き続いての、出演してもらったゲストに東北のことを知ってもらうクイズコーナー『東北あるあるクイズ』へ。しかしこの問題が「宮城県民が大好きなベニーランドですが、このオフィシャルキャラクターの名前は?」「秋田で有名なババヘラアイスですが、ババヘラとは何でしょう?」など、東北出身者以外には難問揃いな予感。ただ、それにも関わらず、つばきファクトリーがたまたま東北に詳しかったのか、出題者のいぎなり東北産が、回答となる4つの選択肢のうちひとつをやたら露骨に強調して読み上げていたり、スクリーンに投影された問題文の隣に配置された挿絵がたまたま答えと一緒だったりしたからなのかは定かではないが、いずれにせよ、つばきファクトリーはまさかの全問正解。「笹かま」や「かもめの玉子」など、いぎなり東北産が用意した東北各地の名産や銘菓をすべてお持ち帰りすることに成功した。
最後は、全員でいぎなり東北産「BUBBLE POPPIN」をパフォーマンス。土居楓奏や村田結生、そして谷本安美らと笑顔を交わす伊達花彩や、河西結心に耳打ちして自分の代わりに観客を煽らせようとする安杜羽加など、互いに顔を見合わせて歌い踊るいぎなり東北産とつばきファクトリーの楽しそうな姿が印象的なイベントとなった。
「今回ですね、こうして“いぎなり東北産”産と一緒にツーマンライブをやらせていただいたのですが、つばきファクトリー自体、このツーマンライブってやったことがなかったので……そうなんです。なので初めてだったので、とても嬉しかったです。私、個人的にほんとに可愛い子たちが大好きなんですよ。なので、今日ほんとにもういぎなり東北産メンバー皆さん可愛らしくて。目の保養になりました(笑)。そして、あのつばきファクトリーの「初恋サンライズ」もカバーしていただいたんですけども、ほんとに皆さんもう忠実に全部再現してくださっていて、他のアイドルさんに自分たちの曲をカバーしてもらえることなんてなかなかないので、とってもほんとに嬉しい時間を過ごせました。実は、つばきファクトリーは新体制になって初めて、そして私自身もリーダーになって初めての対バンイベントということで、MCとかもほとんどリーダーが喋ることが多いので、本当はガッチガチに緊張していましたね。ですが、ファンの皆さんがすごい盛り上げてくださったので、そこはほんとに心強かったです。ありがとうございました。」── 谷本安美(つばきファクトリー・リーダー)
「今回【A LIVE SENDAI Vol.2】を開催できて、しかもつばきファクトリーさんとご一緒させていただけて、すごく嬉しかったです。ハロー!プロジェクトのグループさんと対バンするのは初めてで、でも今まで「ハロプロさんといぎなり東北産の対バンを見たい!」って言ってくださる方が結構たくさんいらっしゃったので、実現できて嬉しかったです。今日は何よりつばきファクトリーさんのファンの方の声援がすごかったですね。最初にステージに出る時に、つばきファクトリーのメンバーさんの名前を呼ぶファンの皆さんの声が聞こえてたんですよ。「あ、すごいな」って思ってたら、次に私たちが出た瞬間からもすごいたくさん盛り上がってくれたり、声を出してくれていて、 なんて素敵な方たちなんだろうって思って。『A LIVE SENDAI』があったからこそ出会えた皆さんと作り上げられた時間だったなって思いますし、 なんかまたこうやってまた皆さんと、そこでしか味わえないキラキラな時間を味わえるように、第3回も開催できたらなと思いました。「初恋サンライズ」のカバーも披露させていただいたんですが、すごく難しい曲で。まず、サビの“サンライズ”のロングトーンのところが自分が出せると思わなかったです。ダンスとか歌のリズムの取り方とかも今までやったことがない曲調だったので、「ここはどうなってるの?」って部分もあったんですけど、結構みんなでレッスン重ねて頑張ってみましたが……いかがだったでしょうか? あと、つばきファクトリーさんは対バンが初めてっていうのをお聞きしてびっくりしました。でも、お土産とかも飛び跳ねて喜んでくれて、なんて可愛い素敵な方たちなの! って、しみじみしていました。本当に素敵な1日をありがとうございました。」── 橘花怜(いぎなり東北産・リーダー)
Text&Photos:Yosuke TSUJI
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