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2024/02/20

<ライブレポート>変化の1年を経たLaura day romance、感謝と決意を示してツアー完遂

 新体制になって初のシングル『Young life / brighter brighter』を1月31日に配信リリースしたLaura day romance。彼らによる東名阪を回るワンマンツアー【We are who we are】が開催され、初日となる東京公演が2月6日、恵比寿LIQUIDROOMにて行なわれた。

 前日は、午後から東京23区に大雪警報が発令され、この日も午前中はダイヤが大幅に乱れるなど交通機関に大きな影響があり、一時はライブの開催も危ぶまれる状況となっていた。その後、天気は徐々に回復し予定通りライブを行なうことが公式アナウンスされるも、なんと開演直前に今度は山手線の車両内で火災が発生。一部の列車が運転を見合わせた影響により、スタートを15分後ろにずらすというハプニング続きの初日公演となった。

 そんな不測の事態であったにも関わらず、フロアは満員のオーディエンスで埋め尽くされていた。暗転したステージに鈴木迅(Gt)と礒本雄太(Dr)が、サポートメンバーの西山心(Key)、小林広樹(Gt)、内山祥太(Ba)とともに現れるとフロアから拍手が上がる。そのまま場内に流れるBGMに合わせ、ジャム・セッションを開始。そしてタンバリンを片手に井上花月(Vo)が登場し、美しい小曲「花束を編む | making a bouquet」でこの日のライブをスタートした。

 間髪入れず演奏されたのは、新曲「brighter bighter」だ。タメの効いたヘヴィなドラムの上で、音数を絞り込んだ2本のギターとエレピがミニマルなアンサンブルを奏で、その上をたゆたう井上の少しハスキーなウィスパー・ボイスが胸を締め付ける。

 「こんにちは、Laura day romanceです。今日は開催が危ぶまれるなか来てくださって本当にありがとうございます。最後まで楽しんでください」と井上が挨拶をすると、それまでの静謐なムードがふっと緩み、フロアのあちこちから歓声が上がった。

 続く「rendez-vous」は、跳ねるようなモータウン・ビートのポップチューン。鈴木がかき鳴らすジャングリーなギターに乗って歌われる、疾走感あふれるメロディが印象的だ。リズムを倍にしたり半分にしたり、ともすると単調になりがちなアップテンポの楽曲に緩急をつけていく磯本のドラムからも目が離せない。井上の叩くタンバリンに合わせ、あちこちから自然発生的にハンドクラップが鳴り響いている。

 畳み掛けるように演奏されたのは、川谷絵音が『関ジャム』で「2023年の年間ベスト3位」に選び、お茶の間でも話題になった「sweet vertigo」。四つ打ちキックのダンサブルなリズムの上で、ヒネリを効かせつつも洗練されたコード進行が展開されていく。オクターブ・ユニゾンで歌われる、キャッチーかつスリリングなメロディも心をざわつかせる。彼らが生み出す楽曲は、音数も少なめでフレーズもシンプルだが、緻密に計算されたその組み合わせや、聴き手の予想を心地よく裏切る構成力によって、一度聴いたら病みつきになるほどの中毒性を備えているのだ。

 せわしく動きまわりながら、時折メロディとユニゾンするベースが魅力の「憧れの街」を経て「アイデア」は、映画『ラストナイト・イン・ソーホー』を彷彿とさせる赤と青の妖艶な照明の下、ヒップホップとグラムロックを融合させたようなユニークなアレンジを聞かせていた。

 引きずるようなドラムの上で、入り組んだコード進行がビートリッシュ(ビートルズのよう)に響き渡る「魔法は魔女に | magic belongs to witches」は、どこか1990年代のCHARAやYen Town Bandを想起させる。かと思えば「潮風の人」は、レゲエっぽいベースを取り入れながら、中盤ではQUEENも「かくや」と言わんばかりのツインギターがうなりを上げていた。さらに「lookback&kick」は、清々しいギターのアルペジオが60年代フォークロックを思わせ、「winona rider | ウィノナライダー」ではサザンオールスターズばりの王道ポップからサイケデリックなエンディングへと予想外の展開を見せるなど、とにかく聴き手を飽きさせない。おそらく、ほぼ全ての楽曲を手がける鈴木の幅広い音楽性によるところが大きいのだろう。

 エモーショナルなワルツ曲、その名も「waltz | ワルツ」を経て新曲「Young life」は、ザ・ストロークスを思わせるソリッドなロックチューン。ダブルトラックやオクターブ・ユニゾンを随所に散りばめるなど、音数はシンプルながらボーカルアレンジに対する並々ならぬこだわりも感じさせる。エンディングに向かって洪水のようなウォール・オブ・サウンドを展開していたのも圧巻だった。

 気づけばライブも終盤に。ミニマルなアンサンブルから始まり、ドリーミーなエンディングを迎える「灯火管制の夜」、まばゆい照明に包まれながらの「書きたい」を経て「happyend | 幸せな結末」で本編は終了。アンコールでは、「little dancer | リトルダンサー」「夜のジェットコースター」そして「Sad number」と3曲を披露しこの日のライブを締めくくった。

 「2023年は本当に大変だったんですよね。めちゃくちゃいろんなことがあって……それを乗り越えてこられたのは、メンバーやスタッフ、そしてもちろん、ここにいるファンのみなさんのおかげ。感謝が止まらない日々です」と、感極まりながらこの1年を振り返った井上。ツアータイトルにもなっている「We are who we are」(私たちは、私たちだ)を引き合いに出しつつ、「私たちはたぶん、変わろうと思っても変われない気がするから、この形のままで大きくなっていけたらいいなと思っています」とあらためて決意表明する場面もあった。

 本ツアーが終わった後は、バンド史上最大規模となるワンマンツアー【Laura day romance Tour 2024】を10月から11月にかけて開催予定のLaura day romance。彼らの第二章も楽しみだ。

Text:黒田隆憲


◎公演情報
【Laura day romance oneman tour 2024 『We are who we are』】
2024年2月6日(火)
東京・LIQUIDROOM

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