2024/02/08 12:30
ATEEZ(エイティーズ)がワールドツアーの日本公演【2024 ATEEZ WORLD TOUR [TOWARDS THE LIGHT : WILL TO POWER] IN JAPAN】を2月3日、4日の2日間、さいたまスーパーアリーナで開催した。
彼らにとっては4度目となるワールドツアー。最新アルバム『THE WORLD EP.FIN:WILL』が米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で初登場1位(2023年12月16日付)を記録し、今年4月には米国最大の音楽フェス【コーチェラ・バレー・ミュージック&アート・フェスティバル】にK-POPボーイズグループとして初めて出演することが決まるなど、世界の最前線に立った彼らだけに、今回のツアーでは、これまでとは段違にスケールアップした世界水準のパフォーマンスを見せてくれた。
ATEEZといえば、緻密なコンセプトを下敷きにしたストーリー性の高い世界観を楽曲に落とし込んでいるグループ。統制された世界ディストピアから我々を救う海賊団こそが、ATEEZだ。今回のツアーでも、その世界観を再現するさまざまな仕掛けが見られた。
メインステージにそびえ立つタワーに威圧される中、ライブは最新アルバムのリード曲「Crazy Form」で幕を開けると、驚くほどにロックにアレンジされた「Say My Name」、新アレンジの「WIN」とATEEZらしさ満載の力強い楽曲でイッキに突き進む。
そこから彼らのコンセプトを具現化するような、シアトリカルなパフォーマンスに突入。HONGJOONG、YUNHOが逃げまどい、SANが敵の軍隊に拘束されてしまう様をダンスで表現した後の「This World + Wake Up」では、敵陣が操る赤いヒモがセットの代わりにさまざまなものを想起させ効果的に使われていたのが印象的だった。そしてHONGJOONGがエレキギターを「ギュイーーーン」とかき鳴らして始まった「Guerrilla (Flag Ver.)」では、群舞とJONGHOの歌声がさらに闘いの物語を盛り上げたが、壮大なストーリーをパフォーマンスで見せたここまでの世界観に、会場は圧倒されてザワザワと色めき立っていた。
【TOWARDS THE LIGHT : WILL TO POWER】というタイトルについてYUNHOは「僕たち全員が自分だけの光を持っていて、その光に向かって進んでいこうという意味がある」と説明したが、その“自分だけの光”をソロやユニットの楽曲やパフォーマンスで存分に見せてくれた。
MINGIのアジテーションのようなラップが口火を切った「Cyberpunk (Japanese Ver.)」から「Deja Vu」で加速すると、HONGJOONG、SEONGHWA、YUNHOの3人がゆったりとしたリズムに乗ってシンクロしたダンスで会場の目を釘付けにする。その3人が追ってきた敵対組織に捕まってしまった物語が引き継がれるように、鳥かごに捕らわれたYEOSANGの美しいパフォーマンスをイントロに、YEOSANG、SAN、WOOYOUNGのユニットによるセクシーな「IT's You」になだれ込んだ。
エモさで会場を熱くしたのは、YUNHOとMINGIの「Youth」。同じオーディションを受けると知らずに励ましあっていたという練習生になる前のエピソードを電話ボックスのセットで演じた旧友コンビは、“ツインタワー”と呼ばれる高身長を活かし、ダイナミックなダンスブレイクで魅せた。本公演のキービジュアルになっている螺旋階段を模したセットで登場したのは、メインボーカルのJONGHO。バラード「Everything」を切々と歌い、見事な高音のロングトーンで大きな拍手を集めた。SEONGHWAとHONGJOONGの“マッジュ(長男ズ)”は、ゴージャスな毛皮のコートをまとって治安悪めなヒップホップ曲「MATZ」でラップの応酬。MINGIの活動休止時には、ラップパートを代わりに担当していたSEONGHWAだが、HONGJOONGのラップに引けを取らないスキルには驚かされる。WOOYOUNGのソロダンスから始まった「Silver Light」が終わると場面は一転、「WAVE」で海賊たちは爽やかな海に到達した。
「ARRIBA」からは酒場のセットが現れ、ユーモラスな小芝居も披露。そこからYUNHOのブレイクパートが追加された「DJANGO」、ヒット曲「BOUNCY (K-HOT CHILLI PEPPERS)」でラストスパートをかける。本編の最後を飾ったのは、「WONDERLAND (Symphony No.9 “From The Wonderland”)」。彼らがコロナ期間中に出演したサバイバル番組『KINGDOM : LEGENDARY WAR』でその人気を確固たるものに押し上げたこの曲では、番組でのパフォーマンスを彷彿させる巨大タコが出現。SEONGHWAが剣を取り出しタコを退治し、JONGHOの3段高音でクライマックスを迎えた。
アンコールにはセンターステージ中央に、巨大な手が現れた。手のひらから上空に向かって放たれた光りこそが【TOWARDS THE LIGHT : WILL TO POWER】を象徴するもの。ついにPOWERを手に入れたATEEZは、「Dreamy Day」と「Title Medley (Eternal Sunshine + I'm The One + The Real)」でステージの四方八方に拡がってファンと一緒に自由を手に入れた世界を楽しんだ。
最後の挨拶では、先ほどまでバチバチのパフォーマンスをしていた人たちとは思えない「おやすミンギ」(MINGI)、「おはヨサン」(YEOSANG)など名前を使った日本語での一発ギャグの応酬合戦に。こういうギャップも彼らの魅力だ。そして「2月28日に僕たちカムバックします!」とSANが日本3rdシングル『NOT OKAY』のリリースを知らせると、HONGJOONGからの「夏に初日本ファンミーティングが決定しました!」というサプライズ発表にファンは熱狂。
そして「僕たちはATINY(ATEEZファンの呼称)の力になるメッセージを伝えたいという気持ちで公演を準備しました。今日、ATINYと一緒に楽しみながら感じたのは、むしろ僕たちがATINYに力をもらっているということです」(SEONGHWA)、「僕たちが公演をできたのは、ATINYという原動力があったから。いつもまた立ち上がれる力、挑戦できる勇気をくれてありがとうございます。今日見つけた自分だけの光を心の中で大切にしてくれたら嬉しいです。皆さんは、世界でひとりだけの大切な存在であることを忘れないでください」(SAN)と感謝のメッセージを伝えると、横一列に並んで「夜間飛行 (Turbulence) (Japanese Ver.)」を歌い上げ、ディストピアから解放された「UTOPIA (Japanese Ver.)」の楽しい雰囲気で大団円を迎えた。そして、日本の広い会場ならではの演出となるトロッコで最後にアリーナを一周し、ファンに手を振って別れを惜しんだ。
ATEEZはデビュー時の『TREASURE』を皮切りに、『ZERO』、『THE WORLD』というコンセプトを掲げた作品で世界を変える旅を続けてきた。最新アルバム『THE WORLD EP.FIN : WILL』で『THE WORLD』シリーズは終焉を迎えるというが、その世界観の謎はまだ解決していない。光を手にした彼らはこの次、どんな旅に出るのかが楽しみだ。
Text by 坂本ゆかり
Photos by 宮田浩史
(C) KQ Entertainment
※記事初出時、本文の内容に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。
◎セットリスト
【2024 ATEEZ WORLD TOUR [TOWARDS THE LIGHT : WILL TO POWER] IN JAPAN】
1. Crazy Form
2. Say My Name
3. WIN
4. This World + Wake Up
5. Guerrilla (Flag Ver.)
6. Cyberpunk (Japanese Ver.)
7. Deja Vu
8. IT's You
9. Youth
10. Everything
11. Silver Light
12. Crescent Part.2~WAVE
13. Dancing Like Butterfly Wings
14. MATZ
15. ARRIBA
16. DJANGO
17. BOUNCY (K-HOT CHILLI PEPPERS)
18. WONDERLAND (Symphony No.9 "From The Wonderland")
19. Dreamy Day
20. Title Medley (Eternal Sunshine + I'm The One + The Real)
21. 夜間飛行 (Turbulence) (Japanese Ver.)
22. UTOPIA (Japanese Ver.)
◎リリース情報
『NOT OKAY』
2024/2/28 RELEASE
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