2024/01/13 19:00
12月19日、感覚ピエロが代官山Unitにて【感覚ピエロですがなにか】ツアーファイナルを開催した。
2013年に結成以来、オリジナルメンバー4人で活動し続けてきた感覚ピエロ。10周年記念ツアーのファイナルである本公演では、結成からほどなくしてリリースした楽曲から今年リリースの楽曲まで、サプライズも含めてたっぷりと披露した。
会場にSEが鳴り響き、横山直弘(Vo./Gt.)、秋月琢登(Gt.)、滝口大樹(Ba.)、アキレス健太(Dr.)の4人がメンバー4人が順番にステージに姿を現す。横山の「ツアーファイナル東京、楽しむ準備できてるか!」との声を皮切りに、ライブは「拝啓、いつかの君へ」で開幕。アキレスのドラムの推進力や横山の煽りが早速オーディエンスの熱気を上げていく。「遠慮するなよ、かかってこいよ!」と呼びかけ「Japanese‐Pop‐Music」に差し掛かると、オーディエンスが一斉に飛び跳ねフロアが揺れる。それを嬉しそうに見下ろしながら演奏する感覚ピエロの4人は、安定感のあるアンサンブルを展開。パワフルなドラミングやギターフレーズ、踊るようなベースプレイは、ラウドロックを彷彿とさせるダイナミックな演奏だ。その音色と横山による威勢のいい煽りが会場を沸き立たせる一方で、横山の歌声や4人の佇まいからは落ち着きや安定感も感じられる。そのバランスが絶妙な塩梅で成り立っていることは、感覚ピエロの魅力のひとつであるのだろう。
色気のある歌声で「ワンナイト・ラヴゲーム」へ差し掛かると、それまでの熱気とは打って変わって妖艶な空気が流れる。つややかなファルセットに絡み合うようなギターフレーズもそんな楽曲の雰囲気を加速させる。
ツアーを振り返るMCを挟み、フロアがオーディエンスの回すタオルでカラフルに染まった「A BANANA」、「シェケナベイベ」に続くと、「残像GIRL」へ。獰猛さを感じさせる楽器隊の演奏が会場を駆け巡る。更に「A-Han!!」へ続くと、4つ打ちのリズムがオーディエンスを躍らせた。
一方、「感染源」では滝口によるベースのフレーズと感情を吐露するような歌詞が混ざりあい、没入を誘う。感情的ではない、どこか冷静にも感じる歌いまわしや、諦観が漂うも悲観的ではない、達観した歌詞に引き込まれるようだ。
「みなさん、非常にラッキーでございます。本日、スペシャルゲストがいらっしゃいます!」。ライブ中盤、突然の宣告にどよめくオーディエンス。横山に呼び込まれ姿を現したのは、KEYTALKの小野武正だ。横山と7時間サシ飲みしたという微笑ましいトークを繰り広げたのち、共作した楽曲「KARASAWAGI」を披露。秋月と横山、小野の3人のギタリストによる掛け合いが会場を煽る。小野の持ち味でもある和ロックの要素が感覚ピエロの音色に混ざりあい、合いの手が更に賑やかに仕立て上げる。更に「もう1曲やっていいですか!」とコラボしたのは感覚ピエロの代表曲のひとつ「O・P・P・A・I」。コール&レスポンスで大合唱したりと、この日一番の盛り上がりだ。それに呼応するように小野のギタープレイも高速のタッピングを織り交ぜるなど、熱を帯びていった。
コラボパートのあまりの盛り上がりに、再び4人になった際に「まだライブは続くのに『4人のときよりたけちゃんがいたときの方が楽しかったな』ってモードでいられると寂しいなぁ」と拗ねて見せる横山。そんな心配もなんのその、「無い ナイ 7i」から「CHALLENGER」、「Break Together」、更に「革命リアクション」と、会場のボルテージは留まることを知らない。
「気付けば、感覚ピエロは10年続きました。紆余曲折あっての10年です。今日はすごくたくさんお客さんがいて、感覚ピエロを求めてくれる人がこんなにいてライブができています。でも昔は会場の床も見えていた。そんなとき、会場は埋まってないのに、突然テレビで俺たちの姿が出て俺たちの歌が流れて。それを俺はキッチンとベッドしかない部屋で見て、『やべえ、始まっちゃった』って思ったんです。『このままでっかくなっちゃうな』って夢見てました。かと思えば、『俺たちの音楽って必要とされてないのかな』って思ったときもありました。やめちまおうかと思ったときもたくさんありました。だけど今思うのは、周りと比べていたからそう思っていたんだろうなって。10年目になって、感覚ピエロは感覚ピエロのままでいいんだなって本当に思います。そう思わせてくれたのはみんなです。こんな素敵なお客さん、いないと思う。本当にどうもありがとう」。
横山が思いの丈をオーディエンスに伝えたのち、本編最後に披露したのは「ノンフィクションの僕らよ」。<僕らは 僕らで ありたいの><僕らは 想像の明日を 越えていこう>。10年歩んできた感覚ピエロの思いが嘘偽りなく刻まれた楽曲は、今後への希望を表すように決意と包容力とともに届けられる。アンコールでは新曲「We Still」を披露し、毅然とした強さを持ったバラードで締めくくった。
2024年にはコンセプトアルバムツアーを開催すること、3rdアルバムを準備していること、そしてそれを携えたツアーを予定していることを告げた感覚ピエロ。10周年を迎え、11年目以降を力強く歩んでいく感覚ピエロの今後も楽しみだ。
Text by 村上麗奈
◎公演情報
【感覚ピエロですがなにか】
2023年12月19日(火)
東京・代官山Unit
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