2023/11/25
2010年代に暗躍したガールズポップバンドシーンの異端児(ドラマーは女装家)ぽわん。その代表曲を冠したアイドルグループ・可愛いって言わないと呪う!がメイビーモエプロデュースのもと結成され、12月2日にお披露目ライブ含むデビューイベント【可愛呪□フェス 可愛いって言わないと呪う!ついにデビューします。来ないと呪う supported by ぽわんメンバー&マネージャー一同】(※□=ハートマーク)を東京・MAGNET by SHIBUYA109 MAG's PARKにて開催する。
今回のオフィシャルインタビューでは、そんな彼女たちのデビューに一役買おうとクラウドファンディングで30万円もの大金をぶっ込んだ、ぽわんメンバー&マネージャー一同の中から選抜メンバーを招集。なにゆえに身銭を切って応援しようと思ったのか、自分たちの楽曲のDNAを引き継ぐアイドルたちに何を想うのか。バンド活動当時の恨みつらみ(?)も含めて、あの頃のライブの打ち上げのように酒場で語ってもらった。
参加メンバー:
メイビーモエ(可愛いって言わないと呪う!プロデューサー/ぽわんvo,g)
マツナリナオキ(ぽわんdr,女装/愛称マツコ)
ファズミサキ(ぽわん初代key)
川光さん(ぽわん初代マネージャー)
サエキ社長(可愛いって言わないと呪う!所属事務所社長)
<可愛いって言わないと呪う!結成~ぽわんメンバー報告秘話>
--まずはプロデューサーのモエちゃんから、アイドルグループ・可愛いって言わないと呪う!なるアイドルグループを結成することになった経緯を聞かせてもらえますか。
モエ:2022年にぽわん歴代メンバー再集結ライブを開催して、それからしばらくしてから私が妊娠したんです。それに伴って音楽活動も休んでいて、子供が生まれてずっと家で子育てをしていたら「このまま母親としての役割で一生が終わっちゃうのかな」ってすごく不安でツラくなっちゃって。そんな時期に大好きな二丁目の魁カミングアウトさんのライブを観に行って、それがめっちゃ良くて、ぽわんの時にも感じていたお客さんと熱量を交換していくライブの空気感を改めて好きだなと思って。それで「やっぱりアイドルグループをやりたい!」と思ったんですよね。
--自分の中で、新たな道が拓かれたと。可愛いって言わないと呪う!をグループ名にしようと思ったのは?
モエ:「可愛いって言わないと呪う!」という言葉が今の時代にめっちゃ合ってると思ったんですよね。ぽわんで歌っていた同名の代表曲はもっと売れるべき曲だったと思いながらも、10年前に打ち出すには時代的に早かったなとも感じていて。でも、最近は「可愛くてごめん」(※HoneyWorksの大ヒット曲)とか「わたしの一番かわいいところ」(※FRUITS ZIPPERの人気曲)とか「可愛い」を題材にした楽曲が流行っているから、リベンジするなら今だと。このタイミングしかないと思って、それで「可愛いって言わないと呪う!」を代表曲にしたアイドルグループを作りたいとオフィスビット(※可愛いって言わないと呪う!の所属事務所)に相談したら「すごくいいね」と乗ってくれて。
--ちなみに、今のモエちゃんは「可愛いって言わないと呪う!」という言葉にどんな印象を持っているんでしょう?
モエ:私、子供を出産しても「可愛いって言わないと呪う!」という気持ちが消えなかったんですよ。これって一生消えないもんなんだ、私の魂の声だったんだと思って(笑)。で、それだけ強い想いがあるなら、グループ名も可愛いって言わないと呪う!にしちゃおうと。ただ、あの曲はぽわんのみんなでつくったものだから、ぽわんのLINEグループでみんなに許可を取らせてもらって。
--それに対してメンバーはどう思ったの?
ミサキ:みんなでつくった曲ですけど、生みの親はメイビーモエなので。モエさんがやりたいと思ったことは応援したいし、そこはみんな当然のようにオッケーでしたね。あと、さっき、モエさんが話していたように、まだあの頃はあの曲に時代が追い付いていなかったと思うんですよ。今、TikTokとかいろんなSNSメディアが増えてきて、ようやくあの曲の面白さが理解されやすくなってきたと思うので、この機会に広まっていってくれることをすごく期待してます。
モエ:マツコはどう思うの?
マツコ:その連絡が来たときは「やったらいいじゃないですか。別に了解取らなくてもいいのに律儀だなぁ」って。
--今ふと思ったんですけど、マツコがどこかのタイミングで期間限定加入するのも面白そうですよね?
モエ:ハハハ!
マツコ:いや、もう化粧がノらないから。ぽわんで活動してて最初は「かわいい」って言われていたんですけど、途中から「ブス」って言われるようになったんですよ。35,6歳の頃かな。カメラマンの人からも「マツコさん、老けましたね」って突然言われて(笑)。たしかに写真を見たら化粧のノリが悪くなっていたんですよ。
モエ:でも、いつお呼びがかかるか分かんないから整えておいたほうがいいよ。てか、今、45歳でしょ? その年齢にしてはめちゃくちゃ肌キレイじゃない(笑)?
マツコ:さっきサウナ行ったから(※大ジョッキのビールを呑みながら)。
<公式スポンサー:ぽわんメンバー&マネージャー一同とは>
--ちなみに、ぽわん初代マネージャーの川光さんも今回参加してもらっているんですが、可愛いって言わないと呪う!のクラウドファンディングに30万円突っ込む流れをつくった中心人物なんですよね?
モエ:その前に私が川光さんに連絡したんですよ。新しいアイドルグループで「可愛いって言わないと呪う!」を改めて売り出していくうえで、当時あの曲を売り切れずに悔しい気持ちをした人が近くにいたらいいなと思って。それで、昼間の下北沢に呼び出して、一緒にごはん食べながら「今の仕事を辞めてマネージャーやってくれません?」みたいな。そしたら、ずっーと私と目を合わさず「いやぁー、怖いっす。いやぁー」って言いながらごはん食べてて(笑)。そのときは結局返事してくれなかったんです。でも、それからオーディション中とかもいろいろアイデアを出してくれたり、川光さんなりに「仕事は辞められないけど、やれることをやるよ」みたいな姿勢を示してくれて。それは、川光さんもあの曲を売り切れなかった悔しさがあったからなんですよね。
川光さん:ひさしぶりに連絡が来て「10年前のあの想いを」みたいな話をされて。その気持ちはすごく分かるし、たしかにやり切れなかったところはめちゃくちゃあったので。で、仕事は辞められないけど(笑)応援したいなと思っていたときにクラファンが始まったんですよ。その中のいくつかのプランの中に「公式スポンサー30万円」というコースがあって、大金だからめちゃくちゃ悩んだんですけど、少しでも力になれたらなと思って、ぽわんメンバー&マネージャー一同に声をかけてそのプランを購入させてもらったんです。それは僕の中で恩返しでもあったんですよね。ぽわんのマネージャーをやっていた時期に出逢えた人たちのおかげで今の仕事をやれているところもあって、ぽわんがいなければ今の自分はいないから。この先、可愛いって言わないと呪う!が売れてくれたら僕らも報われますし、そういう想いを込めての30万円。
※ぽわん『BLUE』インタビュー「2年後に【ぽわんなりの横浜アリーナ】を日本武道館でやる」
https://www.billboard-japan.com/special/detail/965
--ぽわん史上最も良い話なんじゃないですか。当時、あれだけみんなケンカして、川光さんだってクビになってんのに(笑)。
川光さん:あの当時は会社じゃなく個人でマネージャーをやっていたんですけど、ぽわんがちょっと注目されるようになって大きい会社がお金も出してバックアップしてくれることになったんですよね。それで「どうしてもって言うんだったら、マネージャー変えないように会社にお願いしてあげてもいいですよ」ってモエさんから言われたんですよ(笑)。
モエ:私、そんなこと言いましたっけ(笑)? 10年前の私、おかしかったんですよ。
川光さん:そこで「もういいや」って心折れて(笑)。でも、そこで離れていなかったら今の自分はないし、可愛いって言わないと呪う!の公式スポンサーにもなっていないので、結果オーライです。
ミサキ:私も「もうモエさんと一生交わることはない」と思ってぽわんを辞めてるんで。最後のライブも裏ではまったく話さなかったし。それでも、今こうして一緒に和気藹々と話せていることが不思議ですね(笑)。アイドルグループも頑張ってほしいと思えてるし。
モエ:いちばんヤバいケンカしたのは、私とみーちゃん(ミサキ)だったよね。スタジオで私が震えながらキレたりして。
ミサキ:でも、ららっち(らら美/ぽわん初代b)が辞めるときも相当ヤバかったと思うし、モエさんはいろんなヤバさがあるから(笑)。
マツコ:たぶん、いちばんちゃんとケンカもして、ちゃんと脱退ライブもやって、ちゃんと辞めていったのがミサキちゃん。しっかり辞めた。
※ぽわんのアイドル脱退……「ただ、まだどうにかなるような気がして」終わりと始まりを告げた夜
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/31801
--マツコは温厚だから、モエちゃんとは揉めなかった?
モエ:マツコには「気楽にいろいろ頼んでくるけど、俺がそんなにいろいろ出来ると思わないで。俺、年齢、10コ上だからね?」みたいなことを言われたことある(笑)。
マツコ:言ったことある? じゃあ、よっぽどムカついたんだろうね(笑)。
モエ:私、ライブパフォーマンスで「ミサキ行け! マツコ行け!」みたいな感じだったから、それでマツコをオチに使うことが多くて。マツコはNGないと思ってたし、何をやってもマツコは面白くしてくれるから。それでどんどんエスカレートしていって「マツコ、これ出来るでしょ? あれ出来るでしょ?」って言い過ぎて。「俺だって人間だよ?」みたいな(笑)。
--ぽわん歴代メンバーの絶交と再会の物語は、去年の再集結インタビューで詳しく語ってもらっているので、リンク貼っておきますね。
※ぽわん「ごめんなさいと言いたかった」歴代メンバー再集結インタビュー公開! 不器用過ぎたバンドの絶交と再会の物語──結成10周年ライブへ
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/109145
モエ:あの再集結で仲直りしたので、ここにいるメンバーでまだ鬱憤が溜まっていたのは、マネージャーだった川光さんだけなんですよ(笑)。
川光さん:いや、もうスッキリしてるから大丈夫です(笑)。
<「かわいいっていわないと呪う」原曲制作秘話>
--ちなみに「かわいいっていわないと呪う」(※ぽわんの曲名表記)は、どんな背景や想いから生まれた曲だったんですか?
マツコ:あの当時、4つ打ちが流行っていて、それで売れ出しているバンドがたくさんいたんですよ。で、モエちゃんが穿った感じで「4つ打ち、やっておけばいいんでしょ? みんな、それが好きなんでしょ?」って言ってて(笑)。それで作り出した曲なんですけど、歌詞はとある自撮りを上げる女の子をイメージしていて。アイドルが上げているなら分かるんですけど、その女の子はアイドルじゃないうえに「地獄の皇太子」(※聖飢魔IIの楽曲)のような自撮りを上げていたんですよ。
モエ:要するに可愛くなかったというか、怖かったんだよね(笑)。
マツコ:それが「いいね、押せよ」みたいな圧迫感がある写真で。で、そこからモエちゃんが「かわいいっていわないと呪う」という言葉を思いついて、あの曲が完成したんです(笑)。
モエ:可愛いって言わないと呪う!が歌っているそれは、すごく綺麗にブラッシュアップしたものに昇華されているんですけど、その原点は「この自撮り、怖っ! おもろ!」だった(笑)。ぽわんの頃はアンチの気持ちで書く曲が多かったんですよね。
マツコ:でも、そのアンチな気持ちで、みんなで楽しくどんどん盛り上がれたんですよ。その楽しく盛り上がっている感じをまんまスタジオでレコーディングして、その勢いがライブにも思いっきり表れていたから、それが聴いている人にも伝わって当時の熱狂を生んだんだと思うんですよね。ぽわんってみんながゲラゲラ笑って楽しくやっているときがいちばんパワー出るんですよ。そういうバンドだと思っていて。
--そのゲラゲラ笑っている理由が不謹慎でよかったんだよね。
マツコ:そう、不謹慎がよかったんですよ。
モエ:「処女なわけない!」とか「シャンパンチラリズム」とかもそうだったし、ぜんぶ不謹慎な曲だったよね(笑)。アンチの曲ばっかり。
マツコ:悪口ばっかり(笑)。
ミサキ:それを面白がれるメンバーだったんですよね。特に「かわいいっていわないと呪う」はさっきマツコさんが言っていたようにみんなの息がバァーって合って、そのグルーヴと勢いそのままに完成した曲だったから、ライブでもやっぱりめちゃくちゃ盛り上がって。ワードもポップだったし、そのとき流行っていた4つ打ち感もあって、ぽわんの良いとこ取りというか「隙間に入り込んでなんかしたろう!」みたいな感じがある。
モエ:たしかに「隙間産業系バンド」って当時言ってたしね(笑)。
<ぽわんから可愛いって言わないと呪う!へのメッセージ>
--そんなぽわんの代表曲を歌い継いでいくアイドルグループ・可愛いって言わないと呪う!。これからどうなっていってほしいと思いますか?
川光さん:上手くいってほしいですよね。モエちゃんのつくる曲は本当にすごく良いし、考えていることも面白いし、メンバーはみんな可愛いし。
モエ:モエ:そう、可愛いんですね。ぽわん時代の「かわいいっていわないと呪う」はあんまり可愛くない子が歌ってるからおもろいと思っていたんですよ。でも、可愛くなる努力を続けていって「かわいいに決まってる!」という気持ちで歌ったほうがもっと良かったんじゃないかと今は思っていて。だから、オーディションに来てくれた子たちはみんな可愛かったですけど、その中でもすごくそこに対して光っている子たちを選んだんです。本当に可愛いを頑張ってる子たちがこの曲を歌ったらどうなるか知りたかったんですよね。
--なるほど。
モエ:当時は「かわいいっていわないと呪う」のYouTubeのコメント欄に「「かわいいっていわないと呪う」って歌ってんのにブスじゃん」とか書かれていて。そのときはそれで良いと思っていたんですけど、売り切れなかったので、今度は本当に可愛い子たちがそれを歌うパターンに挑戦してみたかったんです。そしたらメンバーたちの中で「可愛いって言わないと呪う」という言葉がすごく切実に響いたのか、想像以上にエモい楽曲に仕上がったんですよね。
--そんなメンバーたちに対して何か伝えたいことがあったら聞かせてください。
マツコ:俺、アイドルって世界でいちばん大変な職業だと思っていて。ぽわんでよくアイドルと対バンしたんですけど、楽屋での待ち時間で学校の宿題をやっていたりとか、すごく大変そうだなと思っていたんです。で、彼女たちは常に上を目指しているじゃないですか。上を目指せば目指すほどどんどんしんどくなっていくし、耐えなきゃいけないことも増えてくる。ライバルも多いし。で、ツラいときってツラいことに捕らわれてしまって、何をやっても気持ちが落ちちゃったりするんですよね。でも、今は始まったばかりで何をやっても楽しいと思うから、その気持ちを忘れないでほしいなって。ぽわんもあの曲が出来たときはゲラゲラ笑い合ってめちゃくちゃ楽しかったんですよ。最終的にそれを失ってしまうんですけど(笑)。
ミサキ:ラブホみたいなビジネスホテルに泊まったときに、UNOではしゃぎすぎて怒られるぐらい楽しかったよね(笑)。
マツコ:大阪のミナホ(FM802主催のライブサーキット【MINAMI WHEEL】)に出たときだよね。そういうゲラゲラ笑い合えるような気持ちっていちばん大事だと思うんですよ。それがステージにも表れてライブが盛り上がったりするから。逆にツラい気持ちでステージに立っちゃうとそれがバレて、ライブ中に不穏な空気が流れちゃったりするし。
モエ:ウチらがケンカしていたとき、お客さんに「どうしたの?」って言われたもんね。ケンカしたことなんて話してないのに、そのときのライブを観たお客さんが心配しちゃって。
ミサキ:でも、あれはバレますよ。リハのときから目を合わせなかったから(笑)。
マツコ:で、お客さんから「お願いですからひとつになってください」って。
一同:(爆笑)
--そろそろ酒場も閉店らしいので、〆に入らせて下さい。今回のインタビューに同席頂いたサエキ社長。ぽわんの話を聞いてどんな気持ちになりました?
サエキ社長:可愛いって言わないと呪う!は、自分の人生を賭けて売れさせたいなと思いました。メンバーはすごく良い子たちだし、モエちゃんも熱量あるし、ちゃんとバックアップしてブレイクさせたいですね。ただ、今回のインタビュー、モエちゃんがみんなと揉めてきた話ばかりだったので(笑)。
モエ:もう二度と揉めません(笑)!
サエキ社長:でも、そのみんなと揉めるほど凄まじかったエネルギーが、今は可愛いって言わないと呪う!というグループに対して良い形で反映されていると思うんですよ。僕にはモエちゃんがすごく一生懸命やっているようにしか見えなくて、このレベルの一生懸命さを出せる人ってなかなかいないから本当に凄いなと思っているんです。だから、仮に揉めても僕は大丈夫だと思います!
--対処法はここにいる全員が熟知してますし(笑)。
サエキ社長:モエちゃん以外でLINEグループ作らせて下さい(笑)。
モエ:トラブルシューティング用のLINEグループ?
--歴代ぽわんメンバーが集まれば何でも対応できそう。
サエキ社長:メイビーモエ・カスタマーセンター(笑)。
モエ:30万円でカスタマーセンター設置(笑)。
Interviewer:平賀哲雄
◎イベント情報【可愛呪□フェス 可愛いって言わないと呪う!ついにデビューします。来ないと呪う supported by ぽわんメンバー&マネージャー一同】(※□=ハートマーク)
2023年12月2日(土)東京・MAGNET by SHIBUYA109 MAG's PARK
OPEN 13:00 / START 14:00
出演:可愛いって言わないと呪う! / メイビーME
最前エリアチケット 8,000円
通常チケット 4,000円
https://ticketvillage.jp/events/12563
◎可愛いって言わないと呪う!オフィシャルサイト
https://kawanoro.bitfan.id/
◎可愛いって言わないと呪う!X公式アカウント
https://twitter.com/kawanoro_info
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