2023/09/30
9月17日に音楽イベント【SOUND CONNECTION MUSIC ADVENTURE】が大阪・フェスティバルホールで開催され、カネヨリマサル、Galileo Galilei、KEYTALK、This is LAST、プッシュプルポット、moon dropの6組が出演した。
この音楽イベントは、MBSテレビと関西のイベンターやエンタテインメント業界がタッグを組み、関西から音楽シーン全体をつなげることを目的として開催。第5弾となる今回は”MUSIC ADVENTURE”をテーマに、SNSやライブハウスを中心にZ世代から高い支持を得ている“次世代バンド”が集結した。会場は、各出演アーティストのグッズを身にまとい開演を心待ちにするファンの姿で埋め尽くされ、場内はどこか夏フェスの余韻が漂う。
開演時間が過ぎ最初に登場したのは、千葉県柏市発の3ピースロックバンド、This is LAST。菊池陽報(G./Vo.)の「でかいな~、よろしくお願いします!」の一言からも象徴されるように、今回の出演アーティストの多くは、フェスティバルホールのステージに立つのは初めてのこと。普段ライブハウスなど密接な空間でパフォーマンスすることが多い彼らにとって、この場所で魅せる世界観がイベントの一つの焦点でもあったように思う。
先陣を切ったThis is LASTは、「もういいの?」からスタートし、キャッチーなサウンドながらも女性目線の理想が散りばめられた「勘弁してくれ」そしてこの夏も各フェスを沸かせた「恋愛凡人は踊らない」を立て続けに披露。菊池陽報のボーカルと鹿又輝直(Dr.)の疾走感溢れるサウンドに、冒頭から必死に追いかけようと観客のクラップが鳴り響く。「最高ですね。天井もめちゃくちゃ高いし、空間もすごく広いんですけど、俺は今あなたともっと近い距離で1対1でライブをしたいと思っています。」そう陽報が伝えると、自身が以前“ライブで客席との近さを感じる曲”と話していた「病んでるくらいがちょうどいいね」そして「オムライス」を披露。“今日はなに食べたい?”“君が作ったオムライスかな”の完璧なコール&レスポンスにメンバーの笑顔が輝く。ラストは「ライブは俺たちの音があなたの1番奥に届くのが価値なんです」と「カスミソウ」を披露。たくさんの「ありがとうね!」を伝え、見事にトップバッターを飾った。
2番手に登場したのは、今回の出演アーティストの中で唯一となる地元大阪出身バンド、カネヨリマサル。いしはらめい(Ba./Cho.) 、ちとせみな(Vo./Gt.) 、もりもとさな(Dr./Cho.)がステージに登場し、各々スタンバイが終わるとドラムを囲むように3人が集合そして気合のグータッチ。キュートで微笑ましいな……と感じていたのも束の間、楽器をかき鳴らす力強い音と共に「ガールズユースとディサポイントメント」が始まりそのパワーに驚く。「初のフェスティバルホール、ちょっとビックリしています。こんなにデカくて、こんなに広くて、こんなにみんなが温かいなんて。」とメンバーも感慨深い様子。客席には初めましてのファンも多く「自分たちなりの音楽をやって帰るし、みんなも好きな楽しみ方で、一緒に楽しんで、音楽で冒険して帰りましょう!」と「関係のない人」ではクラップを誘い、「はしる、夜」ではメンバーも更にヒートアップ。いしはらめい、ちとせみながステージを縦横無尽に駆けまわって、ファンとの距離をさらに縮めていく。ちとせみなは「音楽を受け止めてくれてありがとう。憧れの場所で最後まで精一杯みんなに届けて帰ります!」とラストソング「もしも」を披露。最後に深く深くお辞儀をした3人の顔には清々しさと、特別な場所での達成感に満ち溢れていた。
次に登場したのは、金沢発4ピース激熱ロックバンド、プッシュプルポット。「はじめまして、フェスティバルホール!!」冒頭から山口大貴(Vo./Gt.)のシャウトが会場を飲み込む。そしてメンバーもフルスロットルで走り始めそのまま「こんな日々を終わらせて」に突入。スタートから心を鷲掴みにしてくる泥臭くも直球なサウンドに、観客のボルテージも上がっていく。「ライブハウスから大きな旗掲げて歌いにきました!」その言葉からも、この会場で躊躇することは微塵も感じられない。ここから「Unity」そして新曲とノンストップ。「Fine!!」で観客と一体となってジャンプしステージと客席の境界線が消えていくのを感じる。今日の出会いに感謝を伝えた後、山口が再び口を開き、「あの日の話を……2011年3月11日14時46分、岩手出身の俺」そう話すと、ここから会場の空気が一変。“突然すべて失ったこと あなたはありますか?”と始まる「13歳の夜」で、自身があの日に経験し、感じたことをストレートに投げかけた。胸に突き刺さるメッセージ、そして「生きて、またライブハウスで会いましょう」その言葉の重みを、心で感じとれる、そんなパフォーマンスだった。ライブ終盤に「うるさい音楽が好きで、それで元気づけられてることが、かっこいいと思って音楽をやってる」そう話す彼ら。ラストの「笑って」「最終列車」と全精神を注ぎ「サンキュー!!」のシャウトで、激熱な彼らのステージは幕を閉じた。
折り返しとなる4組目は、この夏に新体制での初ツアーで新たな一歩を踏み出したGalileo Galileiが登場。壮大なSEからそのまま「バナナフィッシュの浜辺と黒い虹」へと続き、客席からは自然とクラップが巻き起こる。曲中、本作でゲストボーカルとして参加したAimerの透明感ある歌声が、尾崎雄貴(Vo./Gt.)と重なると、会場を包み込んでいった。次にグルーヴィーなサックスのサウンドと共に「あそぼ」のイントロが始まり、ここで雄貴がメンバー紹介。尾崎和樹(Dr.)、岡崎真輝(Ba.)、岩井郁人(Gt.)に加え新体制ツアーにも参加した大久保淳也(Sax.)を紹介していく。そのまま曲へと突入していくが、この曲はどこか懐かしくも爽やかで、空のように果てしない雄貴ののびやかな歌声に、会場が無限の空間に変化する。先日ポーター・ロビンソンとのコラボでも話題となった「サークルゲーム (ANOHANA Ver.)」から、和樹が先導するドラムで空気を変え「恋の寿命」へ。雄貴は「このイベントに参加させて頂いて感謝しています。こんな素敵な会場で出来ることを嬉しく思います。」と話すと最後の曲「青い栞」を披露。再び広大な世界観でオーディエンスを引きこむと、「また会いましょう!」とステージを後にした。
「愛だの恋だの、ラブソングだけを歌いに来ました!」その第一声で始まったmoon dropの「アダムとイブ」。会場のカラーが幸せ色に染まり“いつも愛してるよりもっと安心させてほしい”のシンガロングに、浜口飛雄也(Vo./Gt.)が時折その歌を委ね、客席の歌声に聴き入る。この瞬間も“愛”を感じながら、次に披露した「シンデレラ」、「ラストラブレター」では、カラフルポップで爽やかなサウンドとはうらはらに、失恋や片思いを描いた歌詞が胸に響く。次に飛雄也の「自分の大事な人を思い浮かべて…」と、「リタ」を披露。ミドル・テンポの曲のなかに、清水琢聖(Gt.)の掻き鳴らすギターが切ない。そして自身を重ね心に染み込ませるように聴く客席の姿が印象的だった。「めちゃくちゃデカい会場、俺らに似合うかそんなことは分かりませんが、あんたら決めていいと思うよ! だからこの会場飲み込むつもりでやるわ!」と再度ギアを上げていく。ライブでも人気の「ex.ガールフレンド」では、「忘れられない人がいることを、恥ずかしいだなんて絶対に思うなよ! ちょっとやそっとで忘れられるようじゃ、そんなの恋じゃねぇ!」とストレートな言葉を投げかけ、学生時代の淡いラブストーリーを歌った「水色とセーラー服」で再びクラップを誘い、Z世代の恋心を鷲掴みにした。
【SOUND CONNECTION】のトリ飾ったのは、KEYTALK。最新アルバム『DANCEJILLION』から「ハコワレサマー」でスタートしたライブは、歌詞の世界観と同様これから始まる楽しい時間を期待させるボルテージ全開のパフォーマンスだ。続けて八木優樹(Dr./Cho.)のアグレッシブなプレイが際立つ「狂騒パラノーマル」、 “踊れるロックバンド”として一糸乱れぬパフォーマンスを披露した「君とサマー」では、そこに惹かれるようにクラップが巻き起こり、もはやメンバーと客席は一体ではなく、一心同体に見えた。ここで小野武正(Gt.)が「まだみんな元気ありますね。KEYTALKで残りの体力を全部使っていってくだい。」と話すと突然「なんかさ、(客席と)遠くない?」とじりじり移動。いきなり、小野と首藤義勝(Vo./Ba.)がステージから降り、客席へ向かいはじめた。これぞ彼らの“自由空間”ということで、そのまま「夜の蝶」を披露。続けて「shall we dance?」では、さらに寺中友将(Vo./Gt.)が下手へ立ち位置を変え、フロント陣は縦横無尽に動き回る。マイクは絶対離さないノンストップな演奏に、「自由すぎ、動きまくってるね(苦笑)」と会場を沸かす。一気に駆け抜けたパフォーマンスも「ラストの曲です!」とライブのキラーチューン「MATSURI BAYASHI」では、限界突破のプレイが続き、全身全霊の客席も負けていない。「短い時間だったけど、ありがとう。またみんな絶対会おうね。約束だよ!」とステージを去るが、アンコールが鳴り止まない。再度登場したメンバーは「MONSTER DANCE」で、客席の残りの体力を全て引き出し、会場全員が踊り明かした。
今回の【SOUND CONNECTION】は、出演アーティストがフェスティバルホールという空間をそれぞれのカラーで七変化させ、オーディエンスの心も、様々な掴み方で楽しませてくれた。ここで繋がった音楽が、また次のライブ会場で再会できることを願わずにはいられなかった。
TEXT 森島良子
PHOTO 渡邉一生
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