2023/09/05 21:45
syudouが8月31日に東京・Zepp DiverCityにて、全国ツアー【syudou Live Tour 2023『露骨』】のファイナル公演を行った。
今年6月に1stアルバム『露骨』をリリースしたsyudouにとって、今回はアルバムを引っさげた初のツアーとなる。大阪・Zepp Namba、愛知・DIAMOND HALに続いての最終公演となったライブで見せてくれたのは、ライブアクトとしてのパフォーマンスの強靭さ。そしてファンとの強固な信頼関係だった。
開演時刻を過ぎると、まずはSEに乗せて「露骨、始めます」と告げてsyudouとバンドメンバーが登場。ホリエマム(Dr)、長島涼平(B)、Kuboty(G)、モチヅキヤスノリ(Key)という初ライブから変わらないメンバーが一列に並び、大歓声に応えて「狼煙」を熱唱する。
「夏の最後のいい思い出を一緒に作りたいと思ってますんで、よろしくお願いします!」と告げて、続けて「へべれけジャンキー」へ。エクステをつけネックレスを首に下げたsyudouがステージ狭しと動き回りながら歌い、サビではオーディエンスの「カンパイ!」というコールが巻き起こる。昨年8月に初の有観客ライブ「加速」、今年4月に「我武者羅」と、これまで開催したワンマンライブの数は決して多くはないが、客席との一体感は観るたびに上がってきている感がある。
「一番伝えたいのは、今日を最高の夏にしようって話! 熱いライブやろうと思います」と告げて、続けては「たりねぇ」「いらないよ」「アンチテーゼ貴様 -改-」を畳み掛けるように披露。オーディエンスが手拍子で応え、「跳ぼうぜ、東京!」とsyudouが呼びかけるとジャンプで床が揺れる。「ギンギラギン」ではミラーボールの光にフロアが照らされ、真っ赤な照明を浴びながらシャウトする。シンプルな演出、熱量高いパフォーマンスとダイナミックなライティングで魅せていく、ライブハウス感あふれるステージだ。
MCではこの日が初音ミクの誕生日であることに触れ、「彼女へのリスペクトを込めて」と、中盤はボカロPとして発表してきた楽曲を続けてパフォーマンスした。初音ミクカラーのギターを弾き鳴らし歌い上げた「フラミンゴ」、「初音ミクに捧げるぜ」と告げハンドクラップで一体感を生み出した「ビターチョコデコレーション」、「次の曲も一緒に歌おうぜ」と「ラララ~」の大合唱を巻き起こした「邪魔」と、オーディエンスと一緒にライブの空気を作り上げていく。「次の曲はみんなと一緒に酔っ払えたらなと思います」と、酒をモチーフにした「コールボーイ」を歌いながら片手に持ったグラスを飲み干してもいた。
思い入れのある会場だというZepp DiverCityで様々なライブを観てきたsyudou自身の体験を語り、目薬をさす。ちなみに曲間でたびたび目薬をさすのはsyudouのお決まりの仕草で、そのたびに歓声が上がる。続けては「会社を辞めたときに作った曲」という「笑え」。バンドアレンジで原曲よりもさらにストレートで骨っぽくなったサウンドに乗せて歌った。
後半はシンガーソングライターとしてのsyudouの今の思いを伝えるエモーショナルな楽曲を続けて披露する展開だ。中でもグッときたのが「恥さらし」から「取扱注意」への流れだった。「あの曲を作ったときから、今、幸せなことは沢山起きてるんですけど、それでもしんどいことが沢山ありまして」と現状を語り、劣等感を抱えていることも語る。それでも「向き合った先にある景色っていうのは、向き合い続けた人間にしか見えないと思ってまして」と決意を告げる。そんな思いを込めた曲として「恥さらし」のドラマティックなメロディを歌い上げると、間髪入れず「取扱注意」の早口のフロウに雪崩れ込む。
「アルバムを作ろうとなったときに、ただ格好つけてるだけじゃない、ちゃんと誠心誠意、みなさんと正直に向き合った曲を作りたいと思って、「恥さらし」とかアルバムの曲を作らせていただいて。そういうまっすぐに自分の内面を出すという意味で『露骨』というタイトルにさせていただきました」と、syudouはアルバムの意図を語り、そうやってアルバムを作ったことで「お客さんとの強固な信頼関係が築けたと思うんです」と語る。歓声と拍手がその思いに応えるように響いた。
そして終盤は再びテンションの高い楽曲を連ねていく展開だ。「ギャンブル」では銀テープが舞い、「アタシ」から「笑うな!」を経て、ラストは「爆笑」。バンドメンバーを一人ひとり紹介し、トリッキーな曲調の楽曲を駆け抜けるように歌い、ステージを下りた。
そしてアンコールを求める大歓声に応えて再びステージに登場したsyudouは、まず新曲「やっちゃったわね」を披露。Ayase、すりぃ、ツミキとの同世代ボカロP4人によるユニットDREAMERSによる「初音ミク『マジカルミライ 2023』」の会場限定販売のCD『龍宮城』に収録した1曲だ。さらには「僕に続いて歌ってください」とオーディエンスを巻き込んだ「インザバックルーム」でこの日一番の盛り上がりを作り出す。
最後のMCで「また絶対にツアーやりたいと思ってるから、その時はみんなまた、一緒に来てくれますか? まだまだデカい夢はあるんで、いずれやるであろう武道館でまた全員集合したいと思ってます」と、syudouは言った。「みんなマジ人生頑張ってこうな!」と呼びかけ、ラストにはアルバム『露骨』の中でも一番自分の気持ちに正直になった曲だという「結局」を歌ってライブを締めくくった。
ライブで目の前のオーディエンスと熱いコミュニケーションを交わしてきた経験、そしてアルバム『露骨』で自分の思いをさらけ出した経験を経て、syudouというアーティストは、今、大きく変わりつつある。初のツアーはその成果がありありと表れた場所だった。次はもっと大きな場所で、もっと沢山の人たちを巻き込んだライブになりそうだ。そんな予感が残った。
Text:柴 那典
Photos:Shingo Tamai
◎公演情報
【syudou Live Tour 2023「露骨」】
2023年8月31日(木)東京:Zepp DiverCity
<セットリスト>
1. 狼煙
2. へべれけジャンキー
3. たりねぇ
4. いらないよ
5. アンチテーゼ貴様 -改-
6. ギンギラギン
7. フラミンゴ
8. ビターチョコデコレーション
9. 邪魔
10. コールボーイ
11. 笑え
12. 恥さらし
13. 取扱注意
14. ギャンブル
15. アタシ
16. 笑うな!
17. 爆笑
EN1. やっちゃったわね
EN2. インザバックルーム
EN3. 結局
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