2023/08/28 12:00
ロッキング・オン・ジャパンが主催・企画制作する日本最大の野外ロックフェスティバル【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023】(以下【RIJF】)が、千葉市蘇我スポーツ公園にて8月5日、6日、11日、12日、13日の5日間にわたって開催された。
2022年に開催地を千葉県蘇我に移した【RIJF】。蘇我での開催2年目となる今年は、計4つのステージに全108組のアーティストが出演した。本記事では、初日となる5日の模様を厳選してレポート。最高気温35度の厳しい暑さのなか、総勢53,000人のオーディエンスがアーティストたちのライブに熱狂した。
<PARK STAGE>のトップバッターを任されたのは、赤丸急上昇中のスリーピースバンド=Chilli Beans.。オープニング・ナンバー「School」から、オーバーサイズのTシャツにハーフパンツを合わせたMoto(Vo.)が<Let's have a nice day!>と、まるで友達に語りかけるようにオーディエンスに声をかける。バンドの注目度を感じさせる超満員のフロアにも臆せず、演奏を楽しむメンバーたち。その自然体な姿から想像できないほど出している音は骨太で、そのギャップにも病みつきになってしまう。
「duri-dade」では、メンバー3人がスティックを持ちながらドラムセットを囲み全員でリズムを奏で、フロアから大きな歓声が上がる。さらに、推進力のあるグルーヴに思わず体を揺らさずにはいられない「See C Love」から、小気味いいリズムに自然とクラップが巻き起こった「lemonade」へ。演奏からもフレンドリーさが垣間見られるのが彼女たちのライブの持ち味だ。「you n me」の聴く人の手を引っ張って新しい場所に連れていってくれるかのような疾走感も痛快だった。初出演ながらもラフな魅力が全開で、今後さらに大きなステージでの活躍にも期待したくなるようなステージだった。
続いて、7月30日にメジャーデビュー20周年を迎えたばかりの湘南乃風が<HILLSIDE STAGE>に登場。メンバー4人が一斉にステージに現れ、自己紹介代わりに「SHOW TIME」、雪崩れるように「Joker」を連投すると、客席エリアの熱気は急上昇する。HAN-KUNが「この瞬間この時間、このステージがメインと考えろ!でも主役は俺たちじゃなくてお前らだからな!」ともっと焚きつけると、色とりどりのタオルがフロアを埋め尽くした。
後半はヒットソングたちを惜しげもなく披露。「黄金魂」では、力強い拳が所狭しと突き上がる。代表曲の一つである「純恋歌」のイントロが流れると、客席からは「おおー」と感嘆の声が。メンバーが客席にマイクを向けると、Aメロからサビまで大合唱が巻き起こった。そしてアウトロでオーディエンスにタオルを掲げさせると、「もったいないからそのまま上げてて」と指示。シームレスに「睡蓮花」へと繋げると、ステージの盛り上がりは最高潮に。メンバーもオーディエンスも終始、腕と声を上げて騒ぎまくり、強い日差しも手助けしながら全員で熱いライブを作り上げた。
2つあるメインステージのうち<GRASS STAGE>のトリを務めたのは、4年ぶりの出演となるゆず。お決まりの「ラジオ体操第一」を経て準備万端となったオーディエンスの前に、北川悠仁と岩沢厚治が登場。弾き語り形式で「虹」を歌い始めると、二人のハーモニーがどこまでも広がっていくかのように蘇我の空に響き渡っていく。一番を歌い終えると、北川が「ジャパーン!」と叫び、バンドがイン。壮大なスケールのアンサンブルで、集まったオーディエンスの心に気持ちいい風を吹かせた。
「公私混同」ではローマ字の「Y」「U」「Z」「U」を体で表現する振り付けで盛り上がり、「サヨナラバス」では多幸感溢れるシンガロングで一体感を高める。踊ったり歌ったり、オーディエンスを巻き込みながらゆずの世界はどんどん拡張していく。北川が「みんな夏は好きかー!音楽は好きかー!」と問いかけ「夏色」のイントロが始まると、水の特効が噴射。大興奮でオーディエンスは両手を挙げ、客席エリアにはたくさんの笑顔が溢れた。
26年間の活動、そしてコロナ禍を振り返りながら「音楽は鳴り止まない。何度でもこうしてみんなと会える。最後、みんなに捧げます!」と宣言し、ラストは「栄光の架橋」をステージとフロアの全員で合唱。音楽を多くの人と共有する喜びが詰まった、感動的なフィナーレだった。
大歓声と拍手に迎えられ<LOTUS STAGE>に登場したのは、初日の大トリを飾るback numberだ。清水依与吏(Vo./Gt.)にスポットライトが当たり、ライブは「アイラブユー」の弾き語りから始まった。しんとしたステージに、清水のひたむきな歌声とギターの音色だけが響き渡り、バンドの演奏が始まると同時に「ようこそー!」とエネルギッシュに幕開けを告げる。続く「大不正解」では一転、レーザーライトが客席エリアの上空を入り乱れる。栗原寿(Dr.)が祭り囃子のようなビートでオーディエンスに揺さぶりをかけ、小島和也(Ba.)は飛び跳ねながらジャンプを煽り、清水は全身全霊の歌唱でフロアのテンションを一気に引き上げていく。
「人生のなかで何十回も夏は来るんだけど、その中のたかが一日をなんとか特別な日にしてもらおうと、頑張ってるスタッフがいます。同じように俺たちも精一杯やっていくので、楽しいでも嬉しいでもなんでもいいので持って帰ってください」と、語りかける清水。この場にいるすべてのオーディエンスになんとか爪痕を残そうとする姿勢は、新旧名曲が入り交ざったこの日のセットリストからも感じられた。8月の第一週という真夏にも関わらず「クリスマスソング」を演奏するのも、この曲が多くのリスナーの思い出に寄り添っている楽曲であることを理解しているからなのだろう。きっとこれから多くのリスナーに寄り添うこととなる、前日にリリースされたばかりの「怪獣のサイズ」も、この日初披露された。
「あなたが今どういう風に聞いてくれているかはわからない。でも今日が、たかが夏の一日が、あなたにとって意味があるものになればいいと思ってやっている。(その意味がわかるようになるのが)一年後でも十年後でもいい。俺らは俺らの分、一生懸命やるので受け取ってください」と、「水平線」を披露。バンドの真摯な気持ちに呼応するよう、一人一人が自然と声を重ねていく様に強く胸を打たれた。
アンコールに応え、ステージに戻ってきた清水は「嬉しい!嬉しい!でももう無理!しんどい!手伝って!」と、満身創痍を包み隠さない。転がるように突入した「MOTTO」では、残った力をすべて出し切るような絶叫と演奏でぶち上げてフィニッシュ。大盛況で初日の大トリライブを締めくくった。
◎イベント情報
【ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2023】
2023年8月5日(土)、6日(日)、11日(金・祝)、12日(土)、13日(日)
千葉・千葉市蘇我スポーツ公園
<8/5セットリスト>
■Chilli Beans.
01. School
02. rose feat. Vaundy
03. duri-dade
04. See C Love
05. lemonade
06. シェキララ
07. you n me
■湘南乃風
01. SHOW TIME
02. Joker
03. Born to be WILD
04. 黄金魂
05. 純恋歌
06. 睡蓮花
■ゆず
01. 虹
02. 少年
03. 公私混同
04. サヨナラバス
05. 友 ~旅立ちの時~
06. タッタ
07. RAKUEN
08. 夏色
09. 栄光の架橋
※back numberのセットリストは非公開です。
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