2023/08/24 20:00
w.o.d.のワンマンライブ【バック・トゥー・ザ・フューチャーⅤ】が8月10日、東京の恵比寿ザ・ガーデンホールで開催された。TVアニメ『BLEACH 千年血戦篇-訣別譚-』のオープニングテーマに起用された最新曲「STARS」が注目を集めるなか、今年の夏も全国各地のフェスに出演。他バンドからの対バンの誘いも後を絶たず、勢いづいているw.o.d.。東京と大阪で実現した約10か月ぶりの自主ワンマンライブのうち、この記事では東京公演をレポートする。
7月9日にリリースされた配信シングル『STARS』のアートワークと同じく星柄のバックドロップが印象的なステージに、サイトウタクヤ(Vo/Gt)、Ken Mackay(Ba)、中島元良(Dr)が現れた。 客席から大きな歓声が上がり、3人がスタンバイ。1曲目の「1994」から会場は大盛り上がり。人の波がステージに向かって押し寄せる。熱烈な歓迎だ。 1番が終わると、観客が「イェーイ!」と声を出す。聴く人の体どころか臓をも揺らすグランジサウンドや、飛翔力のあるメロディに乗ってダイバーも出る。オールスタンディングではあるものの一応ホール会場のはずだが、この光景はもはやライブハウス。最初の4曲を終えたあとのMCでは、サイトウが「ホールってどんなもんじゃいと思ってたけど、ライブハウスっすね」と感触を述べつつ、ハイテンションの観客に「自由に遊んでってください。よろしく」と伝えた。
リズミカルなタムフレーズから始まる「馬鹿と虎馬」。一つのリズムを軸に、しかし変則的に展開にしていくのがスリリングな「失神」。重心低く、不穏な雰囲気を漂わせた楽曲ながらも、細やかなドラムの動きがアクセントになっている「KELOID」。さらに、8分刻みの太いベースとユニークな音色のギター、タイトなリズムの組み合わせによる「スコール」。爽快感抜群の「バニラ・スカイ」。基本的には曲と曲の間をあまり空けず、MCも多くは挟まず、次々と楽曲を放つスタイル。ステージにはデカい音をドカーンと鳴らすロックバンドがいて、フロアには彼らの演奏に好きなように湧く観客がいる、それしか要らないからそれだけ、という潔さが心地よい。
ライブの後半に入ると、ミドル~スローナンバーが登場。夕焼け色の照明に包まれながら鳴らした「オレンジ」、サイトウが コードを三つ鳴らしてから歌い始めたバラード「あらしのよるに」と時の移ろいを感じさせる展開のなかで、「『BLEACH』知ってます? キャラ、誰が好きですか? 俺は浦原喜助。『BLEACH』のオープニング曲を担当させてもらいました。その曲やります」(サイトウ)と最新曲「STARS」が披露された。曲の顔と言えるギターリフをサイトウが鳴らすと、フロアから上がる歓声。そこからベース&ドラムが加わり、バチバチと火花を散らすイントロも最高。バンドの強烈なグルーヴや、力強く、未開の道を切り拓くようなボーカルにオーディエンスが熱狂する。しかしここがピークポイントだなんて誰も言っていない。「STARS」終了直後、元良がダンッ!と一発叩き、リズムでつなげると始まったのは「楽園」、さらに「Fullface」と畳みかける。
「なんで2か所やねんっていうね、楽しいわ」と始まったMCでは、サイトウが「デカいところでやっても、そのノリで観に来てくださいね」と観客に伝えた。フロアからは「武道館!」「東京ドーム!」といった声が上がる。w.o.d.ならその規模の会場ですらライブハウスに変えてしまうのかもしれない。ここで、サイトウが「やっぱり2か所は少なかったから、11~12月にツアーをまわります」と、全国10か所をまわるワンマンツアー【バック・トゥー・ザ・フューチャーⅥ】の開催をサラッと発表。嬉しさを溢れさせる観客の様子を見て、元良が「すげー、めっちゃ喜んでくれる! ありがとう!」と伝える。
そんな喜びとともに始まった最終ブロックでは、覚醒のサイケデリックロック「モーニング・グローリー」、グランジなギターリフが 牽引する「Mayday」、<Shall we dance?>と歌ってはいるが、手を取らずとも問答無用で踊らせる気だろうと思わざるを得ない「踊る阿呆に見る阿呆」を続けて演奏。そしてライブは「My Generation」がもたらす盛り上がりとともに締めくくられた。ひたすらに踊らせるエンディングだったため、終演後も観客の興奮は冷めず、アンコールを求める拍手はなかなか鳴り止まない。その光景がツアーの充実度、そしてw.o.d.を取り巻くコミュニティ、カルチャーの熱量の高さを象徴していた。
Text:蜂須賀ちなみ
Photo:小杉歩
◎公演情報
【ONE MAN TOUR “バック・トゥー・ザ・フューチャーⅤ】
2023年8月10日(木)
東京・恵比寿ザ・ガーデンホール
<セットリスト>
1.1994
2.イカロス
3.丸い真理を蹴り上げて、マリー。
4.Kill your idols, Kiss me baby
5.馬鹿と虎馬
6.失神
7.KELOID
8.スコール
9.バニラ・スカイ
10.オレンジ
11.あらしのよるに
12.STARS
13.楽園
14.Fullface
15.モーニング・グローリー
16.Mayday
17.踊る阿呆に見る阿呆
18.My Generation
◎公演情報
【ONE MAN TOUR "バック・トゥー・ザ・フューチャーⅥ"】
2023年11月7日(火)兵庫・神戸太陽と虎
2023年11月8日(水)愛知・名古屋Electric Lady Land
2023年11月10日(金)福岡・DRUM Be-1
2023年11月11日(土)広島・SIX ONE Live STAR
2023年11月16日(木)宮城・仙台CLUB JUNK BOX
2023年11月18日(土)北海道・札幌cube garden
2023年11月25日(土)新潟・CLUB RIVERST
2023年11月26日(日)石川・金沢AZ
2023年12月1日(金)大阪・BIGCAT
2023年12月2日(土)東京・Zepp Shinjuku
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