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2023/08/01 18:30

【米ビルボード・ソング・チャート】ジェイソン・アルディーン自身初の首位、カントリー・ソングがTOP3を独占

 米テネシー州ナッシュビル出身のカントリー・シンガー=ジェイソン・アルディーンが、「トライ・ザット・イン・ア・スモール・タウン」で自身初の首位を獲得した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。

 今年の5月22日にリリースされた同曲は、7月14日にミュージック・ビデオが公開されたことで各ポイントが急上昇し、先週2位に初登場して今週登場わずか2週目で首位に到達した。

 今週の集計期間(2023年7月21日~7月27日)にストリーミングが3,070万回(165%増加)、エアプレイが880万回(21%増加)、セールスは175,000(23%減少)をそれぞれ記録して、デジタル・ソング・セールス・チャートでは2週目の首位を獲得。ストリーミング・ソング・チャートで3位、カントリー・エアプレイ・チャートでは25位にランクインした。

 2位に初登場した先週の週間セールスは228,000で、カントリー・ソングの週間セールスとしては2013年7月6日付で244,000を記録したフロリダ・ジョージア・ラインの「クルーズ feat. ネリー」以来、約10年ぶりの高記録を達成している(カントリー・ソングの定義は、カントリー・デジタル・ソング・セールス・チャートにランクインした曲とする)。

 7月14日に公開された「トライ・ザット・イン・ア・スモール・タウン」のミュージック・ビデオは、デモ隊や強盗、人種差別問題、国旗を燃やす映像などが過激で暴力的な内容だと批判され、4日後の18日に米テレビ局CMTによりローテーションから外されることが発表された。

 これに対し、ジェイソン・アルディーンは自身のSNSで指摘されたことと曲の内容、趣旨には反するとコメントし、7月21日に開催したリバーベンド・ミュージック・センターでのライブでも、メディアや世間の反応について言及している。

 ジェイソン・アルディーンがHot 100に初めてランクインしたのは、2005年8月13日付で達成した「ヒックタウン」で、「トライ・ザット・イン・ア・スモール・タウン」は通算40曲目のタイトル。TOP10入りは、2011年7月に最高7位を記録した「ダート・ロード・アンセム feat. リュダクリス」以来約12年ぶり、2曲目のランクインとなる。

 初めてHot 100にランクインしてから今週自身初の首位を獲得するまでの期間は17年11か月3週間で、同カントリー・シンガーのビリー・レイ・サイラスが「エイキー・ブレイキー・ハート」(1992年)からリル・ナズ・Xの「オールド・タウン・ロード feat. ビリー・レイ・サイラス」(2019年)で達成した26年11か月以来の最長記録を更新している。なお、歴代最長記録はサンタナが「ジンゴー」(1969年)から「スムース feat. ロブ・トーマス」(1999年)で達成した30年2日となる。

 「トライ・ザット・イン・ア・スモール・タウン」は、ジェイソン・アルディーン自身の記録としてだけではなく、レコード・レーベル<Broken Bow Records>としても1999年に立ち上げて以来、初のNo.1タイトルを獲得した。なお、これまで唯一TOP10入りしたのも、前述の「ダート・ロード・アンセム feat. リュダクリス」だけだった。

 また、カントリー・ソング・チャートでも先週に続き2週目の首位を獲得。同チャートでは、2006年5月に「ホワイ」が初めて1位を記録してから2014年に「バーニン・イット・ダウン」が達成して以来、約9年間首位を獲得していなかった。一方、TOP10には通算37曲目のランクインを果たしていて、2005年に「ヒックタウン」が初めてチャートインしてから18年連続(同チャートにおける最多記録)でランクインし続けている。

 Hot 100とカントリー・ソング・チャートの両チャートを制したのは、今年の3月にモーガン・ウォレンの「ラスト・ナイト」(今週2位)が達成して以来約4か月ぶり、以下に続く史上21曲目の快挙で、同じ年に複数曲が両チャートで1位を獲得したのは、1981年にエディ・ラビットの「恋のレイニー・ナイト」とドリー・パートンの「9 To 5」が達成して以来、約42年ぶりの記録となる。


ジェイソン・アルディーン「トライ・ザット・イン・ア・スモール・タウン」(2023年)
モーガン・ウォレン「ラスト・ナイト」(2023年)
テイラー・スウィフト「オール・トゥー・ウェル(テイラーズ・ヴァージョン)」(2021年)
テイラー・スウィフト「ウィ・アー・ネヴァー・エヴァー・ゲッティング・バック・トゥゲザー」(2012年)
ローンスター「アメイズド」(1999~2000年)
ケニー・ロジャーズ&ドリー・パートン「アイランド・イン・ザ・ストリーム」(1983年)
エディ・ラビット「恋のレイニー・ナイト」(1981年)
ドリー・パートン「9 To 5」(1981年)
ケニー・ロジャース「レイディ」(1980年)
グレン・キャンベル「哀愁の南」(1977年)
C・W・マッコール「コンボイ」(1975~76年)
ジョン・デンバー「アイム・ソーリー」(1975年)
グレン・キャンベル「ラインストーン・カウボーイ」(1975年)
ジョン・デンバー「すばらしきカントリー・ボーイ」(1975年)
フレディ・フェンダー「涙のしずく」(1975年)
B.J.トーマス「心にひびく愛の歌」(1975年)
チャーリー・リッチ「朝やけの少女」(1973年)
ボビー・ゴールズボロ「ハニー」(1968年)
ジミー・ディーン「ビッグ・バッド・ジョン」(1961年)
マーティー・ロビンス「エルパソ」(1959~60年)
ジョニー・ホートン「ニューオーリンズの戦い」(1959年)

 上記21曲のうち12曲は1973年から83年の10年間で達成していて、当時カントリー・ソングがメジャーだったことがわかる。そのうち、2曲以上を達成したのはグレン・キャンベル、ジョン・デンバー、ドリー・パートン、ケニー・ロジャース、テイラー・スウィフトの5組だった。

 とはいえ、2023年もカントリー勢が躍進している。モーガン・ウォレンの「ラスト・ナイト」は先週の3位から2位に再浮上し、今年のソング・オブ・ザ・サマー・チャートでは今週9週目の首位を獲得。ルーク・コムズの「ファスト・カー」も先週の4位から3位に上昇して、TOP3をカントリー勢が独占した。

 Hot 100でTOP3をカントリー・ソングが独占したのは、集計が始まった1958年8月4日付以来、65年目にして初のチャート・アクションで、カントリー・ソングが今年急成長を遂げていることがわかる。ルミネートによると、米国におけるカントリー・ソングの需要は最初の26週間で前年比の20.3%増加していて、3曲のヒットからも年間を通してさらに上昇が見込める。

 先週6位にランクインしたガンナの「FukUMean」は、今週4位に上昇して最高位を更新。自身の記録としても、2018年10月に同4位を記録したリル・ベイビーとのコラボ曲「ドリップ・トゥー・ハード」と並び自己最高位を更新している。ジャンル別では、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートとラップ・ソング・チャートでそれぞれ3週目の首位を獲得した。

 レマ&セレーナ・ゴメスの「カーム・ダウン」は、先週に続き5位をキープ。エアプレイ・チャートでは今週9,070万回(2%減少)を記録して6週目の首位を獲得し、アフロビーツ・ソング・チャートでは今週首位獲得週を史上最長の48週目に更新した。

 テイラー・スウィフトの「クルーエル・サマー」も、先週の8位から6位に上昇して最高位を更新。ポップ・エアプレイ・チャートでは通算12曲目の首位を獲得した。

 続いて今週7位には、トラヴィス・スコット、バッド・バニー、ザ・ウィークエンドによるコラボレーション・シングル「K-POP」が初登場。トラヴィス・スコットは12曲目、バッド・バニーは11曲目、ザ・ウィークエンドは17曲目のTOP10入りを果たしている。

 「K-POP」は、初週ストリーミングが1,940万回、エアプレイが1,060万回、セールスは35,000をそれぞれ記録して、ストリーミング・ソング・チャートで6位、デジタル・ソング・セールス・チャートでは3位にそれぞれデビューした。

 同曲は、7月28日にリリースされたトラヴィス・スコットの最新アルバム『ユートピア』に収録されていて、次週のチャート(2023年7月28日~8月3日)ではアルバムのリリース効果でポイントの上昇が見込める。

 続いて8位には、ニッキー・ミナージュとアイス・スパイスによる「バービー・ワールド(with アクア)」が先週の27位からジャンプアップして、再びTOP10入りを果たしている。

 「バービー・ワールド」は、7月21日に全米公開された映画『バービー』のサウンドトラック『バービー・ザ・アルバム』から6月23日にリリースされたリード・シングルで、7月8日付で7位に初登場した後TOP10以下にランクダウンしたが、映画の公開を受け各ポイントが上昇し、今週再ランクインした。

 映画の反響によりストリーミングは87%増加の2,320万回、セールスは167%増加の6,000、エアプレイも51%増加の1,360万回にそれぞれ急増し、ストリーミング・ソング・チャートで13位から4位、デジタル・ソング・セールス・チャートで27位から8位にそれぞれTOP10入りした。エアプレイ・チャートでは46位にランクインしている。

 先週1位に初登場したJUNG KOOKの「Seven feat. ラトー」は今週9位に、オリヴィア・ロドリゴの「ヴァンパイア」も先週の7位から10位にそれぞれランクダウンした。


Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは8月4日以降掲載予定となります。

◎【Hot 100】トップ10
1位「トライ・ザット・イン・ア・スモール・タウン」ジェイソン・アルディーン
2位「ラスト・ナイト」モーガン・ウォレン
3位「ファスト・カー」ルーク・コムズ
4位「FukUMean」ガンナ
5位「カーム・ダウン」レマ&セレーナ・ゴメス
6位「クルーエル・サマー」テイラー・スウィフト
7位「K-POP」トラヴィス・スコット、バッド・バニー、ザ・ウィークエンド
8位「バービー・ワールド」ニッキー・ミナージュ&アイス・スパイス with アクア
9位「Seven」JUNG KOOK feat. ラトー
10位「ヴァンパイア」オリヴィア・ロドリゴ

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