2023/07/26
SO-SOを中心に、RUSY、KAJI、Koheyの4人によって構成される、日本を代表するビートボックスクルー兼音楽プロデューサー集団、SARUKANI。【Grand Beatbox Battle 2021】(GBB2021)のクルー部門で世界2位に輝き、日本のみならず世界のヒューマン・ビートボックス・シーンで活躍する彼らの【IROHANIHOHETO】と題されたジャパン・ツアーの東京編が、7月14日にZepp DiverCity TOKYOにて開催された。
カラフルな衣装を身にまとった4人が登場し、すぐさま「The Weapom of Beatbox」でライブをスタート。ビートボックスのライブを観たことのある方ならわかると思うが、生で体感するそれは動画や音源と一線を画す迫力がある。これはどの音楽にも言えることかもしれないが、口から出る音だけでこれほど音圧が生まれるのかと毎回新鮮に驚いてしまう。そんな驚きとKAJIの煽りで早速会場のボルテージは最高潮だ。
続けて「SARUKANI WARS IROHANIHOHETO Mix」「RICEBALL ROLLING」をプレイしフロアの一体感を高めると、KAJIが「今日は4人の口から出る音だけで、最後まで皆さん、踊り明かしていきましょう」と語りかけ、(もちろん口から出た)サイレンの音が響く。重低音と高音のコントラストが見事な「SIREN FIGHT」だ。曲中で会場全体に巻き起こったジャンプで、ただでさえ揺れている床がさらに揺れる。
それからKAJIのソロ「SCORPION」、RUSYとKokeyのタッグ・HUSKEYによる「Chops & Roll」、SO-SOとKAJIのタッグ・ワイガイ(Wildcard Guys)による「BASS MAN Ⅱ」と続けて披露。SARUKANIというクルーのメンバーがそれぞれ一線級のプレイヤーであることを改めて実感する一幕だ。
さらに「BEATBOX JANKEN」に組み込まれたゲームの説明を丁寧に行って曲へ。曲中に観客とゲームマスターとなったSO-SOがじゃんけんを行うという内容だが、あいこも負けというルールのせいか負けが圧倒的に多く、それもどこかシュールで面白い。こういったエンタメ性の高さもSARUKANIの魅力だろう。
その後のMCではSO-SOが昨年のBEAT X FES以来となる会場で再び演奏できる喜びを噛み締める。そして、この【IROHANIHOHETO】ツアーで声出しが解禁されたことの喜びを「どれだけ声を出せるのかチェック」と称して観客とユーモラスに分かち合う。声を出してステージとフロアがコミュニケーションを取ることが、これほどまでに幸福なことだったのかとグッときてしまう。
幕張メッセで開催される【The MusiQuest】へのSARUKANIでの出演、ゴスペラーズ「XvoiceZ」の楽曲提供および参加、SO-SOのリリースなど告知を経て、昨年に続き【BEAT X FES】(9月5日/Zepp DiverCity TOKYO)が【BEAT X LEAGUE】(9月3日/Zepp Osaka Bayside)というバトル形式のイベントと共に帰ってくることがSO-SOから告げられる。昨年の開催からさらに進化を遂げるであろう【BEAT X FES/LEAGUE】に期待は高まるばかりだ。
そして次はこのライブの一つの山場である韓国から初来日となるゲスト、Hissの登場だ。様々なビートボックスの大会でトップに立ってきた才能とあって、登場した瞬間から空気を自分のものにして、会場をこれでもかと湧かせていく。クリアな音色で、自在に緩急を操る様は見事と言う他ない。あっという間のパフォーマンスを終えたHissとSARUKANIのトークセッションではチャーミングな表情も垣間見えて、一層心を掴まれてしまった。
ライブも後半に差し掛かり、GBB2023の予選を1位で通過した楽曲「HA-NI-HO-HE-TO-I-RO」でギアを入れ直すと、撮影可能なこの日のライブで唯一撮影禁止のコーナー「Road to GBB」へ。ステージで4人が椅子に座り10分間でGBBの練習をするという内容で、ツアー中はドロップなどを制作してきたそう。この日のテーマは既存曲のアレンジ。正直「これだけで意思疎通できるの?」と思うようなメンバーのやりとりから、「SARUKANI WARS」をみるみるアップデートさせていく様は、リアルタイムで練習に立ち会っている感覚も相まって、フレッシュな驚きに満ちていた。その結果できあがったのは3つのパターンを組み合わせたアレンジ大盤振る舞いの「SARUKANI WARS」には、フロアも大満足だ。
さらにKoheyのソロ、KAJIの野太い声が響く「ディストーション・ニンゲン」などお祭り騒ぎの様相を呈したDJタイム、RUSYのルーパーを駆使したソロと、クライマックスに向けてライブはさらにボルテージを上げていく。会場がすでに沸点に達していることをコール&レスポンスを交わして確認すると、EP『THE WEAPON OF BEATBOX』の中でもビートボックスを象徴するようなリリックが胸を打つ「HUMANBORG」へ。「ULTRA POWER VIP」で本編を締めくくり、アンコールはゲストのHissも加えたフリースタイルで登場。写真撮影やグッズの紹介を和気藹々とした空気の中で行い、「1!2!3!4!」で約2時間のステージを熱狂のまま終えた。
SARUKANIという存在がおそらく国内のビートボックス・シーンにおいて今後も大きな役割を果たすであろうことを確信するような、スキルと情熱の溢れる一夜に、帰りの足取りも自然と軽くなった。【BEAT X FES/LEAGUE】も含め、この先も彼らの活躍を追いかけたい。
Text by 高久大輝
Photo by Kazumi Watanabe / Leo Kosaka
◎公演情報
【SARUKANI 2nd JAPAN TOUR 2023 "IROHANIHOHETO"】
2023年7月14日(金)
東京・Zepp DiverCity TOKYO
【BEAT X LEAGUE】
2023年9月3日(日)
大阪・Zepp Osaka Bayside
OPEN 17:30 / START 18:30
【BEAT X FES】
2023年9月5日(火)
東京 Zepp DiverCity(TOKYO)
OPEN 17:30 / START 18:30
チケット:
2Days 1F立見プレミアム(最前ブロック確約) 19,000円 (税込)+1D
2Days 2F指定席 23,000円(税込)+1D
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