2023/06/20 15:00
ナイン・インチ・ネイルズ(NIN)のトレント・レズナーが、プロデューサーのリック・ルービンのポッドキャスト『Tetragrammaton』に出演し、6歳の娘のおかげで良質なポップ・ミュージックやデュア・リパのソングライターとしての魅力に開眼させられたことを明かした。
NINのフロントマンとして35年間、とてつもなく不協和音が多い、エレガントでダークなロックを作り続けてきたレズナーは、妻でシンガーのマリクイーン・マーンディグとの5人の子どもたちについて、「しばらくの間、彼らをポップ・ミュージックからある種の密閉状態に置いていたんだ。ほとんどの場合は最悪だと思っているから。そう思っていた」と述べつつも、最近6歳の娘がデュア・リパの楽曲を歌っているのを聞いて考え直したと語っている。
彼は、「彼女はそれにとても夢中で、彼女にとってすごくクールなんだ。それが彼女の音楽というか、お気に入りなんだよ」と述べ、「よく練られた楽曲を書くという技術を、本当に思い知らされた。デュア・リパの曲を聴いて涙が出た。本当によくできた音楽だったから。巧みだった。いい気分だった」と絶賛している。
「それは難しいことだよね」とルービンが言うと、【グラミー賞】、【アカデミー賞】、【ゴールデン・グローブ賞】を受賞しているソングライターであるレズナーは、「難しいよ。僕にはやり方がわからない」と認め、「何を言おうか考えようとするとき、僕はまっさらな自分から言っている。そのためには、自分が誰なのか、自分の立場は今どこにあるのかを考える必要があるし、その全てが一緒になって、より大きな賭けだと感じるものになるんだ」と説明している。
だからこそ、彼は映画音楽の制作を好むのだという。『ドラゴン・タトゥーの女』、『ゴーン・ガール』、『Mank/マンク』、『ソーシャル・ネットワーク』、『ソウルフル・ワールド』、『エンパイア・オブ・ライト』などで高い評価を得ているおかげで、映画音楽は彼にとって第2の本職となった。「そこにいて音楽をアレンジしていると……何が正解なのかはわかる。あるものに対してどう感じるか、自分の考えを評価する必要がない」と彼は述べ、「結局のところ、僕は妙に何かに奉仕して働くことを本当に楽しんでいる。暗号を解くようなものだ。それが何であれ、暗号を解くのは気分がいいものだ」と話している。
米クリーブランドでのレズナーの人生とキャリアの始まりから、デヴィッド・フィンチャー監督との仕事やソングライティングのプロセスまで、2時間に及ぶトークの中で、彼はNINの将来について、幼い子どもがいるためこれ以上“終わりのない”ツアーにはあまり興味がないと語り、率直に言って現在の文化やその中での音楽の重要性を考えると“少し敗北感を感じる”と述べている。
「57歳の男性として言うと、一般的にかつて音楽とは時間があれば聴いていたものだった。ほかに5つのことをしながらBGMとして聴いていたわけではないし、音楽を使い捨ての商品として扱っていたわけでもなかった」と彼は振り返っている。
彼はまた、かつて音楽が注目されていたことを懐かしく思うと告白し、今でもあまり気にしていない批評家たちからの意見でさえそう思うという。「でも、誰かが聴いてくれて、文化的にそれなりに評価された。文化的に、そこがおかしくなってしまったと感じる。現在気になるレビューで信頼できるものが思いつかない。(作品の)発売前に書けるんじゃないかな、すでに書かれているだろうから。実際ChatGPTはもっといい仕事ができるかもしれないよ。あるいは現在その仕事をしている。だから、ナイン・インチ・ネイルズの世界では、音楽を発表する環境としてあまり肥沃ではないと感じるんだ」と彼は述べている。
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