2023/03/14
モーガン・ウォレンの「ラスト・ナイト」が先週の5位から1位に浮上し、自身初のNo.1タイトルを獲得した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。
2023年2月6日にリリースした「ラスト・ナイト」は、2月18日付で3位に初登場してから2月25日~3月11日付まで3週連続で5位をキープした後、今週登場5週目で首位に到達した。
「ラスト・ナイト」は、3月3日にリリースしたニュー・アルバム『ワン・シング・アット・ア・タイム』のリード・トラックで、本作は今週のアルバム・チャート“Billboard 200”で今年最大の週間ユニット(501,000)と、カントリー・アルバムとしては史上最高記録となる週間ストリーミング(4億9,828万回)を獲得して、1位に初登場している。
『ワン・シング・アット・ア・タイム』に収録された全36曲は、いずれも今週のチャートで100位内にランクインしていて、そのうち「ラスト・ナイト」を含む以下の5曲がTOP10入りした。
1位「ラスト・ナイト」
7位「ソート・ユー・シュッド・ノウ」(先週13位)
8位「ユー・プルーフ」(先週21位)
9位「シンキング・アバウト・ミー」(初登場)
10位「ワン・シング・アット・ア・タイム」(先週51位)
TOP10に5曲以上をランクインさせたのは以下に続く史上6組目で、カントリー・アーティストとしては初の快挙となる。なお、そのうちドレイクは3回、ザ・ビートルズは2回この偉業を達成している。
10曲 テイラー・スウィフト(2023年11月5日)
9曲 ドレイク(2021年9月18日)
8曲 ドレイク(2022年11月19日)
7曲 21サヴェージ(2022年11月19日)
7曲 ドレイク(2018年7月14日)
5曲 モーガン・ウォレン(2023年3月18日)
5曲 ジュース・ワールド(2020年7月25日)
5曲 ザ・ビートルズ(1964年4月11日)
5曲 ザ・ビートルズ(1964年4月4日)
「ラスト・ナイト」は、今週の集計期間中(2023年3月3日~2023年3月9日)、ストリーミングが4,750万回(59%増加)、エアプレイが1,080万回(81%増加)、セールスは18,000(12%増加)をそれぞれ記録して、ストリーミング・ソング・チャートでは今週最も伸びた曲に贈られるStreaming Gainerを獲得して3位から1位に、自身初のNo.1タイトルを獲得している。
ジャンル別のエアプレイでは、カントリー・エアプレイ・チャートで41位から29位に上昇。ポップ系にもクロスオーバーして、ポップ・エアプレイ・チャートで34位から32位に最高位を更新し、アダルト・ポップ・エアプレイ・チャートでは40位に初登場した。
また、カントリー・ソング・チャートでは初登場から5週連続で1位を獲得し、ソング・チャート“Hot 100”と2冠を達成した。同じ曲で両チャートを制したのは、モーガン・ウォレンが以下に続く史上20組目で、テイラー・スウィフトの「オール・トゥー・ウェル(テイラーズ・ヴァージョン)」(2021年11月27日付)以来約1年4か月ぶり、デュエットやフィーチャリングを除く男性ソロ・アーティストとしては、1981年にエディ・ラビットの「恋のレイニー・ナイト」が達成して以来、約42年ぶりの快挙となる。
テイラー・スウィフト「オール・トゥー・ウェル(テイラーズ・ヴァージョン)」(2021年)
テイラー・スウィフト「ウィ・アー・ネヴァー・エヴァー・ゲッティング・バック・トゥゲザー」(2012年)
ローンスター「アメイズド」(1999~2000年)
ケニー・ロジャーズ&ドリー・パートン「アイランド・イン・ザ・ストリーム」(1983年)
エディ・ラビット「恋のレイニー・ナイト」(1981年)
ドリー・パートン「9 To 5」(1981年)
ケニー・ロジャース「レイディ」(1980年)
グレン・キャンベル「哀愁の南」(1977年)
C・W・マッコール「コンボイ」(1975~76年)
ジョン・デンバー「アイム・ソーリー」(1975年)
グレン・キャンベル「ラインストーン・カウボーイ」(1975年)
ジョン・デンバー「すばらしきカントリー・ボーイ」(1975年)
フレディ・フェンダー「涙のしずく」(1975年)
B.J.トーマス「心にひびく愛の歌」(1975年)
チャーリー・リッチ「朝やけの少女」(1973年)
ボビー・ゴールズボロ「ハニー」(1968年)
ジミー・ディーン「ビッグ・バッド・ジョン」(1961年)
マーティー・ロビンス「エルパソ」(1959~60年)
ジョニー・ホートン「ニューオーリンズの戦い」(1959年)
上記20曲のうち12曲は1973年から83年の10年間で達成していて、当時カントリー・ソングがメジャーだったことがわかる。そのうち、2曲以上を達成したのはグレン・キャンベル、ジョン・デンバー、ドリー・パートン、ケニー・ロジャース、テイラー・スウィフトの5組だった。
「ラスト・ナイト」の発売元である<Big Loud Records>としては、2011年の設立以降ソング・チャート“Hot 100”で1位に輝いた初のタイトルで、<Mercury Records>としては2010年3月に1週を記録したタイオ・クルーズの「ブレイク・ユア・ハート」以来13年ぶり、<Republic Records>としては先週1位に浮上したザ・ウィークエンド&アリアナ・グランデの「ダイ・フォー・ユー」(今週4位)に続き2曲連続のNo.1タイトルを獲得した。
「ラスト」がタイトルに含まれる曲がソング・チャート“Hot 100”で1位を獲得したのは、「ラスト・ナイト」が以下に続く史上5曲目で、「ナイト」(もしくはナイツ、ミッドナイト、トゥナイト)が含まれる曲では、2012年に通算9週をマークしたマルーン5の「ワン・モア・ナイト」以来約11年ぶり、通算30曲目のNo.1タイトルとなる。
※日付は1位に到達した週
モーガン・ウォレン「ラスト・ナイト」(2023年3月18日 / 1週)
ケイティ・ペリー「ラスト・フライデイ・ナイト(T.G.I.F.)」(2011年8月27日 / 2週)
ヴァネッサ・ウィリアムス「セイヴ・ザ・ベスト・フォー・ラスト」(1992年3月21日 / 5週)
ザ・モンキーズ「ラスト・トレイン・トゥ・クラークヴィル(恋の終列車)」(1966年11月5日 / 1週)
ザ・ドリフターズ「セイヴ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー(ラストダンスは私に)」(1960年10月17日 / 3週)
先週の13位から今週7位に上昇した「ソート・ユー・シュッド・ノウ」は、今週エアプレイが3,340万回、ストリーミングが2,050万回(56%増加)に上昇し、21位から8位に浮上した「ユー・プルーフ」は、エアプレイが2,000万回、ストリーミングが2,180万回(58%増加)にそれぞれ数字を伸ばした。カントリー・エアプレイ・チャートでは、「ソート・ユー・シュッド・ノウ」が今年の2月に3週、「ユー・プルーフ」は昨年の10月から今年1月までに通算10週間1位を獲得している。9位にデビューした「シンキング・アバウト・ミー」は、ストリーミングが2,070万回、セールスが7,700を獲得した。
「ワン・シング・アット・ア・タイム」は、カントリー・エアプレイ・チャートでは36位から25位に最高位を更新した。カントリー・エアプレイ・チャートでは、前述の「ソート・ユー・シュッド・ノウ」で通算8曲目のNo.1タイトルを獲得している。
前述のとおり、ザ・ウィークエンド&アリアナ・グランデの「ダイ・フォー・ユー」は「ラスト・ナイト」の上昇により先週の1位から4位にダウン。主要ポイントも、エアプレイが7,950万回(2%減少)、ストリーミングが2,820万回 (13%減少)、セールスも2,600 (81%減少) にそれぞれ数字を落としている。
一方、マイリー・サイラスの「フラワーズ」は2位をキープして、エアプレイは前週から4%増加の1億580万回に上昇させた。週間エアプレイの記録としては、ザ・ウィークエンドの「ブラインディング・ライツ」が1億1,460万回を記録した2020年5月23日付以来、約3年ぶりの最高値を更新している。同曲を収録した最新作『エンドレス・サマー・バケーション』は、次週のアルバム・チャート“Billboard 200”で上位にランクインする可能性が高く、「フラワーズ」の返り咲きも見込める。
シザの「キル・ビル」も3位をキープし、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートとR&Bソング・チャートでは通算12週目の首位を獲得した。
ピンクパンサレス&アイス・スパイスの「ボーイズ・ア・ライアー Pt. 2」は4位から5位にダウンしたが、前週から72%増加の2,070万回を記録して今週のAirplay Gainerを獲得している。6位は、メトロ・ブーミンの「Creepin' with ザ・ウィークエンド&21サヴェージ」が先週に続き同位をキープした。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは3月17日以降掲載予定となります。
◎【Hot 100】トップ10
1位「ラスト・ナイト」モーガン・ウォレン
2位「フラワーズ」マイリー・サイラス
3位「キル・ビル」シザ
4位「ダイ・フォー・ユー」ザ・ウィークエンド&アリアナ・グランデ
5位「ボーイズ・ア・ライアー Pt. 2」ピンクパンサレス&アイス・スパイス
6位「Creepin'」メトロ・ブーミン with ザ・ウィークエンド&21サヴェージ
7位「ソート・ユー・シュッド・ノウ」モーガン・ウォレン
8位「ユー・プルーフ」モーガン・ウォレン
9位「シンキング・アバウト・ミー」モーガン・ウォレン
10位「ワン・シング・アット・ア・タイム」モーガン・ウォレン
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