2023/03/06
コロンビア出身のレゲトン・アーティスト=カロルGの『Mañana Será Bonito』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
2023年2月24日にリリースした『Mañana Será Bonito』は、昨年3月に発表した前作『KG0516』から約1年ぶり、通算4枚目のスタジオ・アルバムで、Billboard 200でのTOP10入り、首位獲得はいずれも自身初の快挙となる。
(リリース年 / 最高位)
1st『Unstoppable』(2017年 / 192位)
2nd『Ocean』(2019年 / 54位)
3rd『KG0516』(2021年 / 20位)
4th『Mañana Será Bonito』(2023年 / 1位)
なお、ラテン・アルバム・チャートでは『Unstoppable』と『Ocean』が2位、『KG0516』と本作『Mañana Será Bonito』は1位を獲得した。
『Mañana Será Bonito』は全編スペイン語で構成されていて、スペイン語によるアルバムがBillboard 200で1位を獲得するのは、昨年の5月から10月まで通算13週の首位をマークしたバッド・バニーの『Un Verano Sin Ti』(今週10位)以来となる。その他に全編スペイン語の作品が首位を獲得したのは、バッド・バニーの『El Último Tour Del Mundo』(2020年)の1作のみで、『Mañana Será Bonito』は史上3作目、女性アーティストとしては初のNo.1タイトルを獲得した。
なお、全17曲中16曲はすべてスペイン語で構成されているが、ショーン・ポールがゲストで参加した「Kármika」のみ一部英詞が含まれている。
全編スペイン語のアルバムとしては初の快挙だが、女性アーティストによるラテン・アルバムとしては、1995年の没後リリースされた故セレナの『ドリーミング・オブ・ユー』(1995年8月5日付)以来、約28年ぶりのNo.1タイトルとなる。『ドリーミング・オブ・ユー』は、全13曲中スペイン語が6曲、英詞が5曲、英語とスペイン語をミックスした曲が2曲収録されているが、カテゴリーはラテン・アルバムに分類されている。
Billboard 200で首位を獲得した女性アーティストによるラテン・アルバムは、『Mañana Será Bonito』と『ドリーミング・オブ・ユー』の2作のみで、英詞以外で構成された女性アーティストのアルバムとしては、その他に全編フランス語で歌われたザ・シンギング・ナン(ラ・スール・スーリール)の『ザ・シンギング・ナン』(1963年)がある。
『Mañana Será Bonito』は、今週の集計期間中(2023年2月24日~2023年3月2日)、 アルバム・ストリーミングが83,000(全17曲で1億1,873万回)、アルバム・セールスが10,000、トラックによるユニットは1,000をそれぞれ記録して、累計94,000ユニットを獲得した。セールス10,000枚の内訳、8,500枚がデジタル・ダウンロード、1,500枚がCDによる売上で、デジタル・アルバムは公式ウェブサイトで2つのバージョンが購入可能となっている。
ストリーミングが集計に加算されるようになった2014年12月以降では、女性アーティストによるラテン・アルバム最大の週間ユニットを更新し、週間ストリーミングも女性アーティストによるラテン・アルバムの最高値(1億1,873万回)を記録した。
カロルGは、2016年に米ビルボード・チャート・デビューを果たしてからラテン・ソング・チャートで計17曲をTOP10に送り込み、ソング・チャート“Hot 100”では5曲をTOP40にランクインさせている。その5曲のうち「Mamiii with ベッキー・G」(15位)、「Provenza」(25位)、「Gatúbela with モルディー」(37位)の3曲は2022年にチャートインしていて、ストリーミング・ソング・チャートでは「Provenza」が5位、「Gatúbela」が10位にそれぞれTOP10入りを果たしている。
カロルGの登場により、先週通算10週目の首位をマークしたシザの『SOS』は2位にダウンしたが、週間ユニットはほぼ横ばいの87,000で安定している。女性アーティストのアルバムから女性アーティストのアルバムに首位を入れ替えたのは、サマー・ウォーカーの『Still Over It』(2021年11月20日付)、テイラー・スウィフトの『レッド (テイラーズ・ヴァージョン) 』(2021年11月27日付)、アデルの『30』(2021年12月4日~1月8日付)に3作が入れ替わって以来、約1年ぶりのチャート・アクションとなる。
今週3位には、ゴリラズのニュー・アルバム『クラッカー・アイランド』が初登場。初動ユニットは64,500で、その内訳アルバム・セールスが48,500(今週のトップ・アルバム・セールス)、アルバム・ストリーミングが15,500(2,039万回)、トラックによるユニットは500をそれぞれ記録した。本作は、2月24日に10曲を収録したスタンダード・バージョンがリリースされた後、27日にボーナス・トラックを追加した全15曲のデラックス・バージョンがリリースされている。
『クラッカー・アイランド』は、2020年10月にリリースした前作『ソング・マシーン:シーズン1−ストレンジ・タイムズ』から約2年半ぶり、通算8枚目のスタジオ・アルバムで、以下に続く約5年ぶりのTOP10入りを果たした。
6位『ディーモン・デイズ』(2005年)
2位『プラスティック・ビーチ』(2010年)
2位『ヒューマンズ』(2017年)
4位『ザ・ナウ・ナウ』(2018年)
3位『クラッカー・アイランド』(2023年)
『クラッカー・アイランド』からは、オルタナティブ・エアプレイ・チャートで「クラッカー・アイランド feat. サンダーキャット」が2位、「ニュー・ゴールド feat. テーム・インパラ&ブーティー・ブラウン」が16位にランクインし、アルバムのプロモーションに繋げた。
続いて今週4位には米カリフォルニア州アーバイン出身のラッパー=イート(Yeat)の新作『Afterlyfe』がデビューし、『2 Alive』(2022年 / 6位)、『Lyfe』(2022年 / 10位)に続く3作目のTOP10入りを果たした。初動ユニット55,000の内訳54,500がアルバム・ストリーミングで、全体のほとんどをストリーミングが占めた。アルバムの週間ストリーミングは全22曲で7,842万回を記録している。
テイラー・スウィフト『ミッドナイツ』(48,000ユニット / 10%減少)は先週の3位から5位、モーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』(46,000ユニット / 5%増加)は5位から6位、メトロ・ブーミンの『Heroes & Villains』(42,000ユニット / 10%減少)も4位から7位にそれぞれダウンし、8位には米テキサス州ヒューストン出身のラッパー=ドン・トリヴァーの新作『ラブ・シック』が初登場した。
『ラブ・シック』は、2021年10月リリースの前作『ライフ・オブ・ア・ドン』(最高2位)から約1年半ぶり、3枚目のスタジオ・アルバムで、最高7位をマークしたデビュー・アルバム『ヘブン・オア・ヘル』(2020年)を含む3作目、3作連続のTOP10入りを果たしている。初動ユニットは40,500で、その内訳アルバム・ストリーミングが39,500、アルバム・セールスが1,000、トラックによるユニットは残りのわずかだった。アルバムの週間ストリーミングは5,123万回を記録している。本作も、2月24日に16曲を収録したスタンダード・バージョンがリリースされた後、28日にボーナス・トラックを追加した全20曲のデラックス・バージョンがリリースされた。
続いて9位には、2016年にリリースされたザ・ウィークエンドの3rdアルバム『スターボーイ』が先週の14位から上昇し、2017年以来約6年ぶりにTOP10入りした。本作に収録された「ダイ・フォー・ユー」がTikTokを中心にバイラルヒットしたことにより再ブレイクし、2月24日にアリアナ・グランデとのリミックスがリリースされたため、アルバムのユニット数も73%増加の40,000に上昇した。
10位は、先週の6位からバッド・バニーの『El Último Tour Del Mundo』(38,000ユニット / 5%減少)がダウンしている。
次週は、3月3日にリリースしたモーガン・ウォレンのニュー・アルバム『ワン・シング・アット・ア・タイム』が上位にランクインする可能性が高い。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは3月10日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『Mañana Será Bonito』カロルG
2位『SOS』シザ
3位『クラッカー・アイランド』ゴリラズ
4位『Afterlyfe』イート
5位『ミッドナイツ』テイラー・スウィフト
6位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
7位『Heroes & Villains』メトロ・ブーミン
8位『ラブ・シック』ドン・トリヴァー
9位『スターボーイ』ザ・ウィークエンド
10位『Un Verano Sin Ti』バッド・バニー
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