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2023/02/21 18:00

<ライブレポート>降幡 愛、“LOVE”に溢れた3度目のビルボード・バースデー・ライブ開催

 声優としての活動に加え、2020年からソロでの歌手活動をスタートさせた降幡 愛。そんな彼女が2023年2月18日~19日の2日間にかけて、ビルボードライブ東京にて3度目となるバースデーライブ【Trip to LOVE】を開催した。本稿では18日の1stステージの模様をお届けする。

 定刻を迎えると、まずはバンドメンバーの本間昭光(Pf/Key)、町田昌弘(Gt)、会原実希(Cho)、nang-chang(Mani)が登場し「シークレット・シュガー」のイントロを奏でる。そこに本日の主役である降幡が盛大な拍手で迎えられる。ファンもグッズのスティックバルーンを振りながら可愛らしさも感じるサウンドに身体を揺らし、1曲目から会場は温かい雰囲気に包まれた。そこから流れるように1stミニアルバム『Moonrise』収録の「ラブソングをかけて」につなげていった。
 
 MCで「今回は【Trip to LOVE】ということで、タイトル通り“LOVE”を詰め込んだ曲をたくさん用意してきたんですけど、(スティックバルーンを)そうやって振っていただいて既に一体感が生まれていてすごく嬉しいです」「最後までLOVEをいっぱい注入できたらなと思っています」と話すと、AOR的な大人っぽさが光る「ルバートには気をつけて!」、パワフルなギターとドラマチックな“静と動”が特徴的な「うしろ髪引かれて」、そしてセクシーさと切ない哀愁が混ざり合う「パープルアイシャドウ」と80’sの影響が色濃く反映されている楽曲を立て続けに披露。「久しぶりにオリジナル楽曲を披露できて嬉しい」という降幡の言葉の通り、特に音楽を楽しんでいる様子が伝わってきたブロックだった。

 改めてバンドメンバーを紹介し、自身の楽曲のプロデュース・作編曲を担当している本間が参加していることの凄さや、最初にビルボードのステージに立った2021年を振り返って「当時は(客席と)ここまで近くなかった」「こうやって多くの人が会いに来てくださるまでライブを続けてきて良かった」と曲間MCで改めて感謝が伝えられた。

 今回の公演は事前にカバー曲のリクエスト募集「#降幡愛にカバーして欲しい曲」がTwitterで行われていたが、実際に採用された楽曲は当日まで秘密だった。降幡は2022年にカバーアルバムを2作リリースしているが、「新たなカバーを降幡愛バージョンで」という紹介からまず披露されたのは橋本潮の「ロマンティックあげるよ」だ。TVアニメ『ドラゴンボール』のエンディングテーマとして広く知られている楽曲で、本人も幼少期によくテレビで耳にしていたとのことだ。そこから一転して会場を大人な雰囲気に塗り替えたのは宇多田ヒカルの「First Love」だ。前曲とは対象的な低音が魅力的な歌唱にこちらも聴き惚れてしまう。この表現の振り幅もさすがだ。本人は「カラオケ的なテンションではなく、改めて皆さんに向けて歌うと緊張する」と話していたが、良い意味でその緊張にはこちらは気づかなかった。そして、「久しぶりの曲」という紹介から「OUT OF BLUE」のアコースティックバージョンが始まる。アコースティックギターとサックスによってよりメランコリックな音像にアレンジされたパフォーマンスが終わると、盛大な拍手が贈られた。

 再度MCに入ると、昨年はカバーを披露する機会が多く、改めてオリジナル曲の良さが伝えられて良かったことや、自分がライブで表現したいことが実際にできるようになってきていることに触れた。また、「自分も一人のアーティストとして少しずつ歩んでいるんだなとしみじみ感じました」「皆さんがいるから自分もいろいろなことに挑戦したいと思えています。皆さんがあってのこのステージがあるんだなと思っています。本当にありがとうございます」と感謝と愛、いや“LOVE”が伝わる真摯な言葉をファンに届けた。

 「まだ体力ありますよね?」という煽りからアップテンポな「Yの悲劇」が始まる。サックスの効いた横ノリのサウンドが心地よく、クラップや観客と合わせて繰り出すポーズの一体感が会場の熱量を上げていく。降幡も曲中に飛び跳ねていたのが印象に残っている。そこからマイクスタンドを手に取ると、ロックな疾走感のある「SIDE B」に突入。クールさと哀愁が漂うメロディ、そして町田によるハードロック調のギターソロが80年代の空気感を蘇らせる。そして、オールラストに選ばれたのは「CITY」。『Moonrise』から先行配信された楽曲で、実質的なデビュー曲だ。アップテンポなサウンドにどこかしっとりとしたメロディ。降幡のルーツである80年代のシティポップへの愛がそのまま伝わってくる。サビのポーズの一体感や、アウトロでは会原がパワフルなフェイクを披露するなど、ステージ上と客席の盛り上がりが最高潮に達した状態で本編は終わりとなった。

 すぐさまファンは手拍子でアンコールを求め、メンバーもすぐにそれに応える。まずはシングル収録曲の「ハネムーン」から。可愛らしさといじらしさに加え、余裕も感じる巧みな歌唱表現で魅せながら、ステージの端から端までまんべんなくファンとコミュニケーションをとっていく。「アンコール本当にありがとうございます!皆さん楽しんでますか?皆さんがそれぞれ私のことをすごく見てくれて、本当にこんなにうれしいことはないです」と再度感謝を伝えると、最後にスペーシーでデジタルな音像の「AXIOM」が披露される。クラップ、そして振り付けがステージと客席で完璧に揃い、まさしく会場が一つになった瞬間を見ることができた。

「ありがとうございました!“LOVE”注入!」

 バンドメンバーを先にもう一度紹介すると、降幡はゆっくりと客席を回り、ファンへ挨拶。最後に、「自分の“愛”という名前に恥じないように、このタイトルの“LOVE”のように私も皆さんに愛情をたっぷりと届けて行きたいと思いますので、引き続き降幡愛をどうぞよろしくおねがいいたします!」という言葉でステージを後にした。

Text:Haruki Saito
Photos:renzo masuda


◎公演情報
【Ai Furihata “Trip to LOVE”】
2023年2月18日(土)、19日(日)東京・ビルボードライブ東京

<セットリスト> ※18日 1st Stage

1. シークレット・シュガー
2. ラブソングをかけて
3. ルバートには気をつけて!
4. うしろ髪引かれて
5. パープルアイシャドウ
6. ロマンティックあげるよ
7. First Love
8. OUT OF BLUE
9. Yの悲劇
10. SIDE B
11. CITY
アンコール
12. ハネムーン
13. AXIOM

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