2013/05/09
レッド・ツェッペリンが1973年に行った、伝説のマディソン・スクエア・ガーデン公演を完全再現するライブ【THE LED ZEPPELIN EXPERIENCE “ZOSO”】が、4月20日 クラブチッタ川崎で開催された。
コピー・バンドとしてではなくトリビュート・バンドとして18年間活動を続け、ツアーを千人規模でソールドさせるほどの存在。その初来日公演を、73年のマディソン・スクエアの空気を体感しようと大勢のファンが詰めかけた。
開演時間を少し過ぎて登場してきた彼らは雰囲気もきっちり当時のメンバーに合わせており、フロアから歓声が上がる。一曲目はもちろん「ロックン・ロール」から。おなじみのラディックのドラムセットから打ち鳴らされたイントロだけで興奮を隠せないところだが、ロバート・プラント役のマットから歌いだした途端、会場の空気が一変する。その歌声は“熱狂のライブ”そのものだったのだ。
映像でしか体感したことのなかったあのコンサートが本人ではないにしろ、目の前で繰り広げられる。妙な違和感と多幸感に包まれた観客達から「次はノー・クォーターだ!」「あの幻想シーンも再現するのか?」など声が聞こえてくる。セットリストの完全再現という訳ではないが、「ミスティ・マウンテン・ホップ」や「永遠の詩」を演奏している彼らを見ていると、トラブルを起こしたファンを退去させたり、勝手に作られたポスターを販売している輩たち、マネージャーのギャラ持ち逃げ騒動などライブシーン以外の映像が脳内に映し出されてくる。
その後もボンゾの強烈バスドラムと多彩なフィルインを完コピして見せたグレッグは「モビー・ディック」のソロで更に観客を圧倒し、ジョンジー役のアダムもマルチな彼の才能をキーボードや演奏できっちりと見せてくれる。やはりバンドの要であるボンゾとジョンジーのあのタイトなグルーヴを“熱狂のライブ”そのままにプレイしているこの二人が凄い。
そして、おなじみのレスポールとダブルネックのSGを巧みに奏でるジミー・ペイジ役のジョンがサウンドはもちろん立ち姿、弾き方、パフォーマンスがそのもの。テルミンを操る姿は存命アーティストにも関わらず本人が降臨しているようだった。
流石に幻想シーンまでの再現はされなかったが、「移民の歌」も披露されるなど、往年のファン達には大満足のセットとなったであろう本ライブ。「ハートブレイカー」からのアンコール「胸いっぱいの愛を」が披露され、2時間30分強鳴り続けたツェッペリンの音楽は終幕となった。
1973年はもちろん、2007年の再結成コンサートだって体感はできなかった人達ばかりなのだから、こうして、凄まじい再現力で当時の熱気を体感させてくれるバンドが人気を博すのも当然だろう。演奏がフィルムに見えてくるバンドなんてそうそういない。幸せな錯覚に陥る不思議で素晴しい一夜となった。
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