2022/11/23
2ラッパー&3ボーカルの5人組、MADKIDが7枚目のシングル『Change The World』をリリースする。これまでになく爽やかでキャッチーな曲調で新境地に挑む今作への想い、そして2020年に所属事務所から独立して自分たちのクリエイティビティを大事にした制作環境を得るまでのことなど、じっくり語ってもらった。
――「Change The World」の作詞はLINさんとYUKIさんが担当されていますが、どんな制作でしたか。
LIN:この曲はTVアニメ『勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う』のオープニングテーマとしてのお話をいただいて。なるべく物語に寄り添えるようなものになったらいいなと思って作詞をしました。アニメのタイトルにもあるように主人公が勇者パーティーを追放されて、一度挫折を味わうんですけど、そこから色んな仲間に出会っていくという物語で。なるべく歌詞の内容が暗くならないように心がけつつも、タイアップで曲を書く場合はいつも物語を楽しみながら書いています。
YUKI:僕はある程度、形になった歌詞をLINにもらって、その内容を汲み取りながらラップの部分を書きました。
――これまでタイアップ曲を書き下ろしてきた経験も生かされている感じですね。
LIN:そうですね。もとからオタクだったので作品に対して考察したりは当たり前にやってきたので。そこまで特別な意識を持って取り組んでいるわけでもないです。アニメのオープニングテーマでも、曲を作られるミュージシャンによって、内容とはあまり付随しないような曲を書く方もいれば、寄り添って書かれる方もいる。そういうことは自分がこういう仕事をする前からインタビューを読んだりして、知っていたので。僕自身としては、今は全力で作品の世界を汲み取って歌詞にすることを心がけています。
――ご自身たちで気持ちがこもるフレーズや共感する部分があれば教えてください。
YOU-TA:やっぱりサビ頭の<誓いを胸に/希望を心に/抱いてFly to sky>ですね。アニメの中でも「誓いを胸に」という言葉が出てきたりするので本当に鍵になるフレーズなんです。そうした作品の大事なところがすごくわかりやすく歌詞に組み込まれているので僕らも表現しやすかったです。
SHIN:<きみのこと/この先もずっとずっと/守るって誓うよ>という自分が歌っている部分があるんですけど。こんなストレートな歌詞を歌えることが嬉しいです。これまで『盾の勇者の成り上がり』のタイアップ3曲はめちゃくちゃ激しい曲だったので、この爽やかでキャッチーな「Change The World」のミュージックビデオ撮影では久しぶりに笑顔で歌えたのも良かったですね。
――ミュージックビデオで全員が踊ってるシーンはどんなロケーションで撮影したんですか。
KAZUKI:ゴーカートのサーキット場です。今までにないくらい撮影はスムーズに行って。カメラも2台で撮ってくれたから、いつもより踊る回数も少なかったし、すぐ撮れちゃいました(笑)。
――この曲の振り付けのポイントは?
YUKI:最近はガツガツ系のダンスが続いていたんですけど、この曲は爽やかな曲調なので、ひとつひとつの動きを丁寧に綺麗に見せるようなダンスになっています。さっき言ったように歌いながら笑顔が出るような曲なので、今後ライブのセトリに入ってきた時にも親しみやすい曲になっていくんじゃないかなと思います。
―ーこれまでのMADKIDのイメージにはない曲もこうして出せるのは、今の自分たちに対する自信の表れでもあるんでしょうか。
YOU-TA:そうですね。どういう曲がきてもMADKIDらしく仕上げることができるっていう自信が今の僕たちの中にはあります。LINが作詞作曲編曲をやってくれたりと、クリエイティブな能力もあるし、全員でラップしたり、激しい曲も爽やかな曲もバラードもやるし、他のグループがやれないことをかなりやってるグループだなと思います。表現の幅は特にここ最近で広がったなという感じはしています。
――そしてM2の「Last Climber」はYOU-TAさん、YUKIさん、LINさんの作詞です。どんな制作でしたか。
YOU-TA:「Last Climber」は、もがきながらも前に進んでいくというメッセージを込めながら作詞しました。
――冒頭の疾走感と転調してからの爽快なメロディーが特徴的ですけど、歌っていてどうですか?
KAZUKI:難しかったっすね。僕個人的には「Change The World」より苦戦したけど、結果的には自分の味も出せたかなと。レコーディングの時はYOU-TAとLINがディレクションしてくれるので、話しながら自分で解釈しながら、落ちサビは特にしっくりくる歌を歌えたなと思います。
YOU-TA:KAZUKIはすごく綺麗な声なんですけど「Last Climber」は落ちサビのアコギ1本になるすごく大事なところで心が抉られるような声を引き出したくて、めちゃくちゃ良いテイクを残してくれました。普段のKAZUKIでは見れないような声を引き出すためのディレクションを今回はしました。
――メンバー間でボーカルディレクションがあるというのもすごいですね。
KAZUKI:僕らは最初からこの制作スタイルでやっています。
SHIN:そういう意味では僕も今回はYOU-TAとLINに助けられました。このシングルの制作時は歌に関して悩んでいる時期でもあったんですが、そこをふたりがクリアにしてくれて良いテイクを引き出してもらったので。
――Billboard JAPANではメジャーデビューした2018年にも取材をさせていただいています。当時とは環境も変わり、MADKIDは自ら道を切り拓いて進んでいっている稀有なグループだなと感じますがご自身たちではいかがですか。
YOU-TA:多分、めちゃくちゃ異質だと思います。2020年に独立しまして。僕らは僕らのクリエイティビティを売り出していくために自分たちでやった方がいいっていうのは結構前々から思っていたので。ちょうどいいかなと思うタイミングがあったので独立という形を取らせてもらって。
――YOU-TAさんは事務所の代表でもあるんですよね。
YOU-TA:とは言っても会社のお金まわり、経理のこととか雑務を僕がやっているだけで。まず、簿記の勉強からしましたからね(笑)。
――すごい!
YOU-TA:簿記はそんなに生かせてないですけど(笑)。だから社長として何か特別なことをやってるわけでもないですが、それぞれのメンバーに役割があって、僕が向いてるかなってことをやっただけで。まずは居場所作りとして、やっぱり自分たちの会社は必要だなと思ったんで立ち上げました。コロムビアさんとは一度セパレートしちゃったんですけど、もう1回みんなで頭下げに行って、また手を組んでやらせてもらうことができたので今こうして自分たちのやりたいことができています。
――独立するタイミングってやっぱり不安もありましたか。
YOU-TA:いや~、不安しかなかったですよ(笑)。でも誰ひとり文句言わずに、やるべきことをやってくれるメンバーがいるので、そういう意味では不安はなかったです。グループを結成した時から、自分たちで叩き上げでやってきて、周りの大人がやれと言ったことをやっているようなグループでは最初からなかったから。
YUKI:だから紆余曲折ありながらも今こうして足並みを揃えて活動ができていることも、今回のように新たなタイアップもいただきながら制作ができていることもありがたいです。僕たちは作詞作曲をするメンバーがいたり、YouTubeや舞台など色んな活動をしているメンバーがいたり、自分のやりたいことを羽を広げてやれる環境があるし、その中でも音楽をひとつの軸として成長していることが実感できています。コロナもあって先が見えないタイミングでしたけど、今の環境を選んで正解だったなと思いますし、めちゃくちゃ幸せです。
――MADKIDの今後のさらなる成功がひとつのダンスボーカルグループのスタイルとして確立できたらいいですよね。
YOU-TA:そうですね。僕はMADKIDがひとつのジャンルになれたらいいなと思っています。MADKIDはMADKIDだよねって言われるのがゴールというか、目標にしたい。本当にこういうグループってなかなかいないと思っているので、もっとそこを突き詰めて行きたいなと思っています。
――LINさんはどうですか。
LIN:自分はあんまり器用なタイプじゃないんで、自分ができることを精一杯やります。曲作りは、たまたまできるのでやっています。
YUKI:たまたまのレベルじゃないよ(笑)!
YOU-TA:LINの作る曲が心臓なんです。そこにメンバーそれぞれのエッセンスが加わってMADKIDの音楽になる。僕はもうLINと10年以上一緒にいて、10年前の曲のレベルも知っているんで、だからこそすごいなって今も思ってます。
KAZUKI:そうだね。知り合い同士でグループ結成して、20代のほとんどをMADKIDとしてやってきて。独立してから絆も更に固まりました。
――今後ファンの方に楽しみにしてもらいたい活動は?
KAZUKI:今年のクリスマスには男性限定のライブもありますので、MADKIDのことがちょっと気になってるんだけどなっていう方は無料なので来てください。ツアーでも男性のお客さんが増えてきて僕らとしても嬉しいので、ぜひ楽しんでいただけたら。
もちろんいつも応援してくれている女性のアクセルの皆さんにも感謝していますし、これからも色々な場所でライブをしていきますので、新しく興味を持って下さった女性の方もお待ちしています!
YOU-TA:そして来年1月よりNetflixで配信されるアニメ『伊藤潤二『マニアック』』のオープニングテーマをMADKIDが担当することになりました。それもまた大きなポイントになってくると思いますし、その先も色々と決まっていることもありますので、みんなで一緒に楽しんで行けたらいいなと思っています。これからも目の前のことをひとつひとつ一生懸命やって行きます。
Interview & Text by 上野三樹
Photo by 興梠真穂
◎リリース情報
シングル『Change The World』
2022/11/23 RELEASE
<Type-A(CD+DVD)>
COZA-1956 1,870円(tax in.)
<Type-B>
COCA-18053 1,430円(tax in.)
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