2022/11/18
Official髭男dismの「ミックスナッツ」がヒットしたのは、楽曲の良さやヒゲダン自体のパワーはもちろんだが、人気アニメ『SPY×FAMILY』の主題歌に選ばれたことも大きな要因だ。テレビ東京系列で放映されているこのアニメは、老若男女問わず人気が高いため、タイアップの効果は抜群。そして10月から始まった第2クールのエンディング・テーマに抜擢されたのが、2022年11月16日公開のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で14位を記録しているyamaの「色彩」だ(【表1】)。
この曲はアニメの放送と同じく10月1日に発表され、翌日10月2日に配信がスタートした。さらに10月3日にはミュージック・ビデオを公開するなど立て続けに話題作りを行った。その結果、10月12日公開のJAPAN HOT 100では16位という好スタートを切っている。ダウンロードが非常に強く3位、ラジオのオンエア回数も10位とプロモーションが充実していることが伝わる結果だ。通常のリリースだとこのまま緩やかに下降してもおかしくはないが、この「色彩」はいったん20位台に下がったがほぼ横ばいで推移している。ダウンロードが根強く、ストリーミングがじわじわと上昇してきたこともチャートでの健闘の後押しをしている。
そして、11月9日にCDシングルとしてリリースされたことにより、再び20位以内にカムバックしたというのが現在までの流れだ。面白いことに、このタイミングでラジオのオンエア回数や動画再生数も急上昇している。やはりフィジカルのリリースがあることによって、プロモーションにもダイレクトに影響することがこのグラフを見るとよくわかる。逆にダウンロードやストリーミングは大きな変化がないということは、配信をベースに考えるとある程度ロングヒットのレールに乗ったといってもいいだろう。
では「色彩」のチャート・アクションは今後どうなるのだろうか。CDセールスはここから一気に上昇するということはないかもしれないが、ストリーミングや動画再生数に関してはまだまだチャンスはある。さらにはまだ圏外であるカラオケの歌唱回数なども入ってくれば、トップ10入りも夢ではない。yamaは一昨年のデビュー曲「春を告げる」で、JAPAN HOT 100の7位まで上昇した実績がある。今回の「色彩」も大型タイアップの波に乗って、タイミングの良いプロモーションを実施できれば、「春を告げる」を超えるヒット曲になれる可能性は大いにあるだろう。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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