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2022/11/04 18:00

<ライブレポート>Ms.OOJA、この先も歌い継いでいくヒットナンバー&名曲カバーを余すことなく披露

 Ms.OOJAが毎年開催しているバースデイ・ライブ【TADAIMA & Birthday Live Tour 2022】が、自身の40回目の誕生日となる10月28日に神奈川・Zepp KT Yokohamaで敢行された。

 2022年は、3月にデビュー10周年の集大成となる初の日本武道館ワンマン公演【Ms.OOJA 10th Anniversary Live“はじまりの時”】が、大喝采のなか終了。9月には、日本のスタンダート曲の数々をカバーしたアルバム『流しのOOJA 2 ~VINTAGE SONG COVERS~』を発表するなど、Ms.OOJAは精力的な活動を続けている。

 デビュー当時から彼女をフォローし続けている人から、最近のカバー曲の数々をきっかけに知った人まで、幅広い世代の観客で埋め尽くされた会場のステージに、彼女はチェックのスカートと今回のライブTシャツをアレンジしたコーディネートで颯爽と登場。デビュー曲である「It's OK」(2011年発表)と「JEWEL」(14年)を、まさに宝石のような輝いた笑顔で披露すると、会場からは歓声の代わりに(オフィシャル・グッズである)ペンライトのパープルの光が、鮮やかに包み込んだ。

 そして「毎年恒例になったバースデイ・ライブ。私のお祝いであるのですが、みなさんへの感謝を伝えるものにしたいです」と挨拶をして、R&Bテイストの「Cold Kiss」(21年)や、ロック・テイストな「Footprint」(16年)など、さらに会場をヒートアップさせる楽曲を披露してくれた。

 この2曲で観客との一体感が生まれると、柔らかな笑みを浮かべたMs.OOJA。「この公演前に、SNSで『ライブで聴きたい楽曲は何ですか?』と問いかけたのですが、リクエストいただいたものは(セットリストで選んだものと)ほとんど一緒で。(自分の判断は)あながち間違っていなかったなと思いました」と、彼女の魅力のひとつであるバラード曲を立て続けに披露。ラブソングでありながらも、これまで彼女を支え続けてきたすべての人への感謝の気持ち、つまり恋愛を超越した広大で深い愛が伝わってくるようなパフォーマンスだった。

 一連のバラード・ソングのなかで披露していた「30」(13年)は、10年前の30歳を記念して制作された楽曲。「10年が経過し、本日で40歳になった私が今後どういう楽曲を発表すべきなのか、考えているところです」と語りながらも、この特別な1年を振り返る。

 「特に印象的だったのが、日本武道館公演でした。今まで見たなかで最高の景色であり、幸せな瞬間でした。」

 その特別な武道館でのステージのオープニングとラストに披露した「Open Door」(22年)と、「はじまりの時」(21年)をパフォーマンス。特に、武道館公演の冒頭に歌った「はじまりの時」は、感動で胸がいっぱいになり、声を詰まらせる場面もあったため「リベンジするつもりで」臨んだという。その迫力のあるヴォーカルからは、10周年が新たな自身の音楽活動の始まりであるという強い意思を感じ取ることができた。

 自身のオリジナル曲のヒットパレードという構成だった第一部。それに続く第二部は、「アルバムの世界をそのまま感じてほしい」という思いから、『流しのOOJA 2 ~VINTAGE SONG COVERS~』を収録曲順に披露していくという構成に。

 第一部のシンプルなステージから一転、昭和の風情漂うカラオケ・バーをイメージしたようなセットが組まれ、そこにビロードのワンピースを着たMs.OOJAが登場。バーのオーナーのような官能的かつ凛とした佇まいで、シティ・ポップを代表する1曲として海外でも人気の高い竹内まりやの「プラスティック・ラブ」(84年)などを披露し、会場をあっという間に煌びやかな夜の世界へと導いた。

 「自分の幼少期、もしくは生まれる前にヒットした楽曲の数々を、愛をこめてカバーした作品です。その頃にタイムスリップした気分を味わってください」と、難解なメロディ展開を妖艶に歌いあげた八神純子の「みずいろの雨」(79年)、さらに手拍子で一体感を生んだ太田裕美の「木綿のハンカチーフ」(75年)など、時代を超えて盛り上がるスタンダード・ナンバーを次々と披露。

 「観客のみなさん、マスクをしていらっしゃるので表情は分かりませんが、その手拍子やペンライトで、思いが伝わってきました。最高です!」と、彼女自身もテンションが上昇したのか、続く中森明菜の「飾りじゃないのよ涙は」(84年)では、ジャズの要素を感じるグルーヴに身をまかせて、バンドメンバーと目を合わせながら心地良さそうにダンスしている姿が印象的だった。

 以降、松田聖子の「瑠璃色の地球」(86年)、テレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」(86年)など、バラード曲をパフォーマンス。40代を迎えたことで表現できる深みを感じさせる歌声に、会場は魅了されていた。そして第二部のラストでは、ザ・ウィークエンドが楽曲「アウト・オブ・タイム」(22年)でサンプリングし、世界中で話題を呼んでいる亜蘭知子の「MIDNIGHT PRETENDERS」(83年)を披露。これまでも数多くのシティ・ポップの名曲を歌っているだけあり、楽曲の持つアーバンな香りをモダンにアップデートさせていた。

 「今回収録させていただいたカバー曲は、どれも今の自分にしっくりくるものばかりでした」と語っていたが、オリジナル曲の持つ雰囲気を崩すことなく、彼女らしい表情を感じさせる楽曲の数々。「名曲」の新しい魅力を知ることができたステージであったと同時に、改めてこの最新アルバムを聴きたくなる内容でもあった。

 二部構成で行われた2時間に及ぶステージ。バンドメンバーが「Happy Birthday To You」(21年)を即興演奏するというサプライズなプレゼントも交え、ラストには「Ms.OOJAの代名詞といえる1曲」というバラード「Be...」をパフォーマンス。これまでを支えてくれたすべての人々への感謝とともに、これから迎える40代もさらに多くのリスナーへ心に響く音楽や歌声を届けていきたいという、真摯な思いも伝わってくるパフォーマンスだった。

 最後には観客に向かって投げキッスをしてステージを去ったMs.OOJA。彼女がこれまで発表してきた楽曲の数々は、それぞれの人生を振り返るアルバムのような存在になっているのだろう。終演後に見た観客の表情は、これまでの自分の歩みを反芻しながら、またこれから新たな歴史を彼女の音楽とともに刻んでいこうという、輝かしく頼もしい笑顔に満ち溢れていたのが、印象深かった。


Text by 松永尚久
Photos by Masanori Naruse

◎セットリスト
【TADAIMA & Birthday Live Tour 2022】
※2022年10月28日公演
1. It's OK
2. JEWEL
3. Cold Kiss
4. あなたが決めた今日なら
5. Footprint
6. 鐘が鳴る
7. 30
8. HIKARI
9. Open Door
10. はじまりの時
11. 六本木純情派
12. プラスティック・ラブ
13. 初恋
14. 恋におちて –Fall in love-
15. みずいろの雨
16. 木枯しに抱かれて
17. 木綿のハンカチーフ
18. 飾りじゃないのよ涙は
19. 恋人よ
20. 瑠璃色の地球
21. 時の流れに身をまかせ
22. MIDNIGHT PRETENDERS
23. Be...

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