2022/11/01
JO1が、10月22日および23日に【2022 JO1 1ST ARENA LIVE TOUR ‘KIZUNA'】を東京・有明アリーナにて開催した。
デビュー2年目にして、彼らにとって念願の初全国ツアーとなった同公演。9月3日および4日の愛知・AICHI SKY EXPO ホールA公演を皮切りに、大阪・丸善インテックアリーナ大阪、神奈川・ぴあアリーナMM、福岡・マリンメッセ福岡A館、そして追加公演である東京・有明アリーナをまわる、約1か月半・全13公演のツアーを大団円で締めくくった。本稿では、ツアー千秋楽となった10月23日公演の模様を独自レポートする。
開演時刻と同時に会場が暗転すると、ステージ両脇のモニターにオープニングムービーが流れ始める。観客もいよいよ始まる、という高揚感に胸を高鳴らせていると、大きな破裂音とともに紗幕が落とされ、11人が登場。横一列にずらりと並ぶその姿に思わず息をのむと、大平祥生の「This is, JO1!」との迫力たっぷりの煽りに続いて、最初の曲「Move The Soul」がスタートした。今回のツアーの醍醐味のひとつである、ステージ上の生バンド演奏によってより引き立つ重低音のビートに、身体を揺らさずにはいられない。
そのまま、ボーカル組のウィスパーボイスとラップ組の低音ボイスの対比が美しい「Born To Be Wild」に続いたあとは、雰囲気を一気にハードに変える。自動制御されたペンライトが真っ赤に染まった「Algorithm」では、普段柔らかい歌声を聴かせることの多い金城碧海と與那城奨の、クールな低音ボイスがセクシーに響く。冒頭のラップパートで見せた川西拓実のワイルドな表情と、ソロパートで抜かれて、歌詞にある〈虎と兎の関係〉にかけ、自らを表す絵文字でもあるウサギの手振りをしてみせる木全翔也の愛嬌が印象的だった「YOLO-konde」、長方形のセンターステージを活かした横に広がるフォーメーションが見事な「Walk It Like I Talk It」の、計5曲を一息に披露した。
前方ステージへ移動し、「Go to the TOP! JO1です!」と全員でお決まりの挨拶を決めたあとは、一人ひとりの自己紹介へ。突然「小学生からのあだ名は『ぼんぼん』」と告白して笑いを誘った鶴房汐恩、「KIZUNAツアーオーラス、キターッ!」と、愛してやまない仮面ライダーフォーゼの決め台詞をもじって叫んだ豆原一成、「JAM? 昨日、僕の夢に出てきましたか? なんかドキドキしたんですよね。出てくる時は言ってくださいね!」と独特の感性でJAM(JO1ファンの総称)へ語りかける佐藤景瑚と、個性と愛嬌あふれる一幕を披露した。
「続いての曲は……チャインアライト」と、肝心の曲名を甘噛みしてメンバーの笑いを誘った川西の曲紹介を挟むと、優しく明るい音像と、またたく光を表現するような手を揺らす振りがキュートな「Shine A Light」へ。木全の〈ねえ 気づいてる?/JAMを回る惑星〉との粋なアドリブに、会場のテンションも上がってくる。流れ星や宇宙を模したバック映像と、青や白に瞬くペンライトが壮大な雰囲気を作り上げていた。
続く、冬ソング「僕らの季節」では、白くちらちらと光るペンライトがまさに雪のようで、一気に曲の世界へ会場ごと引き込まれる。ラスト、〈約束する君の手を離さない〉という歌詞のところでバックモニターに抜かれた白岩瑠姫の凛々しくも優しい表情が、歌詞の力強いメッセージを表現しているように感じられた。
ステージが暗転すると、モニターに突如VTR『KIZUNAタロットの館』が映し出される。川尻蓮が扮するタロット占い師が、館に訪れたメンバーの悩みを占いで解決していく……という内容で、「派手な髪型にしたい(佐藤)」には「白がいい。“白髪ダンサー”って言ったら売れる」、「喉のケアをどうしたらいいでしょうか(河野純喜)」には「毎朝8杯の水を飲むこと。毎朝だよ!」、「JAMのみなさんにたくさん会いたい(大平)」には「君の母親がいちばん身近にいるJAM。お母さんと会う機会を増やせば、おのずとJAMにもたくさん会える」と次々アドバイスをしていき、メンバーも「すごい……」「深い……」と感嘆の声を上げる。その様子に観客も笑顔になっていると、最後に與那城が「今後、JO1はどうなっていくのか、占ってください!」と相談。それに川尻が「君たちはまもなく、バラバラになってしまう!」と断言。その後、「……15分くらいね」と付け足されると、ふたたび暗転し、ユニットコーナーがスタートした。
最初は、川尻、鶴房、與那城が登場し「Running」を歌唱。迫力ある低音ラップが持ち味の鶴房が、澄んだハイトーンを響かせるギャップが魅力的だ。切なく上品な歌声の川尻、優しく包み込むような與那城の声も持ち味が生きる。大平、川西、木全、河野の「Get Inside Me」は、センターステージをぐるぐる回りながら、客席を目いっぱい見渡して楽しげに歌うさまがなんともさわやかな一曲。最後は4人のアカペラで締め、その美しいハーモニーに自然と拍手が巻き起こった。
そして金城、佐藤、白岩、豆原の「KungChiKiTa」が始まると、白岩が「Are You Ready!?」と客席を熱く煽り、一気にボルテージを上げる。ハードな重低音が響くヒップホップ曲だが、どんどん上がる客席の熱量に応えるように、メンバーも時にがなるような声で何度も客席を煽りつつ、気迫たっぷりのステージを見せた。
衣装を着替えた川尻、鶴房、與那城がハンドマイクを片手に登場すると、MCパートに。先の「Running」曲中で「声が裏返っちゃった……」と語る與那城は、「(ステージ)裏に戻ったら、メンバー大笑い!」と、愛されリーダーぶりが窺えるエピソードを披露。そして続々と他のメンバーも集まってくるなか、佐藤が與那城のパートを真似しながら登場し、鶴房に「そうやっていじるのはいいけど、歌詞間違ってます」と冷静につっこまれる一幕も。
MCでひと通り盛り上がったあとは、「Be With You (足跡)」を全員でハイチェアに腰掛け披露。座っていても、情熱がこもった力強い歌唱と美しいハーモニーに心を奪われる。続く「ZERO」では、“なにものでもなかった僕たちが、JAMのみんなと出会って完成されるっていう幸せを歌った曲”と、以前與那城がイベントで語っていたテーマを表現するように、曲中で「ありがとう!」と観客へ声をかけたり、手を振ったりと、JAMへの感謝を全身で表現していた。そして金城が「大好きなJAMへ、僕たちから心を込めて」と語りスタートしたのは「流星雨」。花道に並んで、客席を優しく見つめながらパフォーマンスするキラキラとした姿に、サビ頭の〈夢は叶った〉という歌詞がいっそう突き刺さってくる。
JO1からの大きな愛を感じられるパフォーマンスに胸を打たれていると、VTR『KIZUNA CM制作』が流れ始める。佐藤と大平が、ツアーの魅力を伝えるCM制作に試行錯誤していく内容だが、最年少ながらおじいちゃんに扮した豆原、逆に最年長ながら幼稚園児に扮した與那城、香水のCMを思わせるようなファッショナブルな表情を見せた白岩、トレーニング中の逞しい姿を披露した河野など、メンバーのパフォーマンス中とはまた違う一面を捉えたCMに、会場も大興奮。
そして、VTR中で豆原扮する会長が「(CMに)無限の可能性を入れてほしい」と言い残すと、最新シングル『MIDNIGHT SUN』のリード曲「SuperCali」がスタート。黒とレザーを基調としたクールな衣装と低音が響くサウンド、そして重心を落として立体的な構造を見せるパワフルながらも複雑な振り付けが、曲の妖しい雰囲気をより引き立てていた。
「無限大」では、バックダンサーも加わって大人数での群舞を披露。曲中ではメンバーが掛け声を入れているのも聴こえてきて、なによりJO1自身がこの瞬間を全力で楽しんでいるのがひしひしと感じられる。そして、木全の「いくぞ有明!」とのコールで始まった「La Pa Pa Pam」では、会場を底から揺らすような低音に、それを突き破るようなまっすぐ響くボーカルが映えていた。
ステージ後半戦にもかかわらず、一切疲れを見せない11人。特に河野は観客から上がった拍手に「ダメですねえ! 弱い!!」と大きな声で観客を叱るように煽り、会場の笑いを誘った。観客と手振りでの掛け合いを楽しんだあとは、佐藤が「あの曲、いっちゃいます」とおもむろにジャケットの胸ポケットから薔薇の花を取り出し、「Rose」へ。狂おしいほどに惹かれてしまう相手をバラの花に喩えたというテーマの通り、真っ赤な照明のなか、一糸乱れぬ情熱的なダンスから目を離せない。続けて、ギターが際立つハードロック風アレンジが映えた「Speed of Lights」「OH-EH-OH」でステージと客席のテンションが一体となってくると、河野の叫ぶようなロングトーンで幕を開ける「GrandMaster」では、すっかり会場の体感温度も上昇し、ジャケットを脱ぐメンバーもいるほどだ。
MCでは、金城に「景瑚くん、いつアレ(薔薇)仕込んでるんですか?」と質問された佐藤が「やろうと思ったら出てくる。胸の中にいる花は、JAMじゃないかなって……」とボソボソ答え、会場はなんとも言えない空気に。それに白岩も「うまく言えてないな!」とつっこみ、会場にはどっと笑顔が溢れた。また、白岩が「昨日の夜公演に、僕のとっと(祖父)とかっか(祖母)が来てたんですけど。僕の家族に、大切なJAMを見てもらえて嬉しかったです!」と語ると、会場からは喜びの拍手が巻き起こった。
その幸せな雰囲気のなか歌われたのは「REAL」。ペアでの振り付けが多いからか、これまでよりも11人の距離が近く感じる振り付けに、彼らの深い絆を感じる。少ししんみりしていると、曲終わりではなぜか川西が河野を肩車。メンバーから「なんそれ!」とツッコミが入るお茶目な姿をみせ、本編を締めくくった。
会場が大きな拍手に包まれていると、バンド演奏がスタートして再度幕が上がり、與那城がマスターを務める「KIZUNA’s BAR」のコーナーがスタート。腕を交差させてお互いにグラスを飲ませ合う河野と鶴房、客席から登場した金城にステージ上から飲み物を飲ませる木全、「僕に釣られてみる?」とふたりで仮面ライダー電王・ウラタロスの決め台詞をコピーした豆原と大平、白岩の肩を抱いて「12時過ぎても……帰さないよ……?」と客席に囁く與那城と、次々と繰り広げられるメンバーの“ケミ”寸劇に、観客も興奮を表すようにペンライトを振って応えた。
そして「あのさ、俺……やっぱJAMがいないとダメだわ」との白岩のキラースマイルが決まったあとは、「Dreaming Night」からアンコールがスタート。色とりどりのパステルカラーに光るペンライトが、曲の持つハッピーな雰囲気をより盛り上げる。そのまま、シンセサイザー際立つアレンジで、よりシティポップ感が増した「Touch!」、恋のウキウキ感を表現する「STAY」、声が出せないJAMの代わりに、メンバーがコール&レスポンス部分を大きな声で歌った「My Friends」、声の代わりに振り付けで客席とコミュニーケーションを取り、会場全体がひとつになった「Run&Go」と、計5曲をメドレー形式で披露した。
曲が終わると、一人ひとりからの挨拶の時間に。川尻は「“千秋楽”って言葉、皆さんご存じですか? こういうライブとか興行のオーラスのことを言うんですけど、なんで千秋楽って言うのか、ライブが始まる前に瑠姫と奨くんと話してて、3人とも知らなかったんです。本番直前に調べました。そしたら、諸説あるんですけど、“千秋”って言葉には“待ち焦がれる”って意味があるらしくて。僕は次、みんなに会える日を待ち焦がれています。みんなにも僕たちを待ち焦がれてもらえるように、僕たちも今日一生懸命ライブをがんばりました」「僕が【KIZUNA】ツアーを始めて、皆さんに言いたいことが、ずっと初日からあって……僕らは、オーディション番組出身なんですよ。視聴者の皆さんが投票をしてくれて、デビューすることができた11人なんです。言ってしまえば、オーディションに出るまでは何もなかったんです。そんな、何もなかった僕に……幸せや、こんな素敵な時間をくれて、本当にありがとうございます」と、涙で言葉を詰まらせながら語る。
続く金城も、「ちょうど1年前くらいにライブがあったとき、僕はちょっと出れてなくて。ぶっちゃけたことを言うと、数か月間誰とも連絡を取ってなくて、ちょっと閉ざしてたときがあったんですよ。……で、徐々に、みんなのおかげで、メンバーのおかげで、徐々に立ち直ることができて。数か月後にみんなと会って、『未完成』の試写会に初めてみんな行ったんです。そのときに『やっぱこのメンバーじゃないとダメやな』と思ったし」「映像と、みんなが歌う『飛べるから』を聴いて、最初から涙が止まらんくて。監督ともお休みするまでに話して、本当に僕たちっていろんな人に愛されてるなってすごく思って。そういう人たちを裏切らないように、期待を超えられるように、僕たちはこれからも、無理せずにですけど、がんばっていけたらなと、そのときに心に誓いました。いつもJAMがいてくれるからこそ、JO1だし、金城碧海なのかなって本当に思います。いつもありがとうございます」と、同じく涙を浮かべた。
白岩は、「僕は、今回のツアーが始まる前に体調を崩しまして。3回あったリハーサルの最後の1回しか出れなくて、それに出れてなかったら、最初の愛知公演に立ててなかったんです。それに立てて、全公演、皆さんの前でステージに立てたことが、まずホッとしています。僕は、本当に幸せですよ」「JO1とJAMの思い出がまた増えたなって思うんですけど、皆さんはいかがですか? 楽しかったですか?」と、微笑みながら観客に呼びかける。
佐藤は「もうすぐハロウィンですよね」とおもむろに切り出すと、「クリスマスも来ますし、お正月が来て、また夏が来て……ずっと一緒ですよね? 僕ももう24ですよ……今までは歳を取ることが嫌だったんですけど、最近は楽しくなってきて、『来年何があるかな』とか考えるようになって。25歳、もっとライブできたらいいなって思ってるんです。30歳になっても40歳になっても、一緒にいてください。お願いします。僕のクリスマスを全部あげます。そしたら、僕はクリぼっちになることはないですよね? みんなもそうですよ?」と、彼らしい個性的なワードセンスでJAMへの変わらない愛情を誓った。
最後を任された河野は、すでにこれまでのメンバーの言葉を聴いて涙腺が緩んでいる様子。「僕も蓮くんの話、感動しました。全員ね……ほんまにダメダメ人間でした……」と語り始め、メンバーも「俺たちの何を知ってんねん!」と笑う。「でも昔から、歌うこと大好きでした……ずっと歌ってて。すれ違う人にも、俺の歌聴かしたろとか思ってて……」と、幼少期からの夢を思い返し涙ぐむと、「この夢が、ほんまに実ってよかったなって思います。けどまだ、夢の途中なんで。もっともっと高いところ目指して頑張ります」と力強く宣言。そして、「実は今日、お父さんとお母さん……来てないです……!」と、最後はユーモアで会場を沸かせ、挨拶を締めくくった。
そして、会場全員での写真撮影の準備をしていると、突然「Happy Birthday to You」のメロディが流れ出し、10月25日に27歳になる與那城の誕生日を祝うコーナーに。川尻が運んできた背の高い箱を開けると、中には特大ケーキ……ではなく、ちんまりとした手乗りサイズのケーキが登場。戸惑う與那城に、「ボケです!」と改めてケーキを取りに川尻がはけると、大平が「おめでとう」と書かれたスローガンを取り出し、会場のJAMも同じものを持っていることを伝える。その瞬間に與那城は思わず泣き出してしまい、メンバーから「ここで泣くの!?」とつっこまれつつも「27歳、みんなに支えられてここまでやってこれました。まだまだJO1の旅は続きますので、応援よろしくお願いします!」と、客席へ頭を下げた。
写真撮影を終え、金城の「みんな悩みがあるけど、今日のこの瞬間は、みなさん幸せでいませんか? 今日感じた“KIZUNA”を胸に、明日からも歩いていけますか!?」との言葉から披露されたのは、アルバム『KIZUNA』のリード曲「With Us」。先ほどの挨拶では涙を見せていたメンバーも笑顔を浮かべ、JAMへのこれまでの感謝、そしてこれからも一緒に歩いて行こうという約束を、心から楽しそうに、どこまでもまっすぐに歌い上げていた。
アンコール後も鳴り止まない拍手に再度メンバーが登場すると、與那城が「ファイナルということで……もう1曲くらいやりましょうか!」と宣言し、ダブルアンコールがスタート。JAMにそっと寄り添い、背中を押す応援歌「君のまま」を歌唱し、3時間半のステージを終えた。
2020年3月にデビューしたJO1は、まさにその活動をコロナ禍に翻弄されてきた。初めて有観客ライブを千葉・幕張メッセで開催できたのが、デビューから1年8か月も後のこと。その公演も金城の休養期間と重なり、11人全員が揃っての有観客公演は今回が初めてとなった。JO1とJAMにとって、このツアーはただの“初めての全国ツアー”にとどまらないほどの大きな意味を持つものだったにちがいない。ステージ上のメンバー、そして彼らを見つめる観客のキラキラした目を見て、私はそれを心から実感した。高みを目指し続けるJO1と、彼らとともに歩むJAMの揺るぎない“KIZUNA”がある限り、彼らの旅はどこまでも続いていくことだろう。
Text by Maiko Murata
(C) LAPONE ENTERTAINMENT
◎公演情報
【2022 JO1 1ST ARENA LIVE TOUR ‘KIZUNA’】
2022年10月23日(日) 東京・有明アリーナ
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