2022/10/31
テイラー・スウィフトの新作『ミッドナイツ』が、今年の週間最高ユニットを記録して1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
2022年10月21日にリリースされた『ミッドナイツ』は、前作『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』(2021年11月)から約1年ぶり、オリジナル・アルバムとしては『エヴァーモア』(2020年12月)から約2年ぶり、通算10枚目のスタジオ・アルバムで、Billboard 200では以下に続く通算11作目の首位を獲得した。
『フィアレス』 (2008年)
『スピーク・ナウ』 (2010年)
『レッド』 (2012年)
『1989』 (2014年)
『レピュテーション』 (2017年)
『ラヴァー』 (2019年)
『フォークロア』 (2020年)
『エヴァーモア』 (2020年)
『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』(2021年)
『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』(2021年)
『ミッドナイツ』(2022年)
Billboard 200の集計が始まった1956年から首位獲得数が11作を超えたのは史上6組目の快挙で、同11作をもつバーブラ・ストライサンドと並び女性アーティストの最多記録を更新した。
19作 ザ・ビートルズ
14作 ジェイ・Z
11作 ドレイク
11作 ブルース・スプリングスティーン
11作 バーブラ・ストライサンド
11作 テイラー・スウィフト
『ミッドナイツ』は、8月28日に開催された【MTVビデオ・ミュージック・アワード】の授賞式でリリースを告知し、その間リード・シングルを発売することなく10月21日に予定通り発表した。本作は、13曲の通常版をリリースした3時間後に7曲を追加したデラックス版「3AM Edition」を続けて解禁し、同日には1stシングル「アンチ・ヒーロー」もミュージック・ビデオと共にリリースしている。
『ミッドナイツ』の初動ユニットは1,578,000で、2015年12月12日付でアデルの『25』が打ち出した3,482,000以来、過去7年間での週間最大ユニットを達成した。1,578,000ユニットの内訳、アルバム・セールスが1,140,000、アルバム・ストリーミングが419,000、トラックによるユニットが19,000で、週間ストリーミング数は全20曲で5億4,926万回を記録している。
週間ストリーミングの史上最高記録は、ドレイクの『スコーピオン』(2018年7月14日)が打ち出した7億4,592万回、2番目が同じくドレイクの『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』(2021年9月18日)による7億4,367万回で、『ミッドナイツ』が今週記録した5億4,926万回は、それに続く史上3番目、R&B/ヒップホップ・アルバムを除く最高記録と、女性アーティストの週間最高ストリーミングをそれぞれ更新したことになる。自身の記録としても、前作『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』が初週で打ち出した3億323万回を大きく上回り、最高記録を更新した。
『ミッドナイツ』は、セールスでも様々な記録を更新している。まず、今週1,140,000枚を記録したことで、わずか1週で現時点での2022年最大の売上枚数を達成した。なお、10月27日の時点で最もセールスが高かったアルバムはハリー・スタイルズの『ハリーズ・ハウス』で、初登場した6月4日付からの総売上は633,000枚だった。1,140,000枚は、自身の『レピュテーション』が初週(2017年12月2日付)で記録した1,216,000枚以来、過去5年間での週間最高セールスとなる。
今週売り上げた1,140,000枚の内訳、161,000枚がデジタル・ダウンロードで、980,000枚がフィジカル・セールスによるものだった。980,000枚の内訳、CDが395,000枚、カセットテープが10,000枚で、半数以上の575,000枚をアナログ盤(LP)が占めている。
LPのみの週間セールスとしても史上最高記録を更新し、前述の『ハリーズ・ハウス』が初週で記録した182,000枚を大きく上回り、2022年最大の週間売上枚数を叩き出した。また、今年のLP総売上枚数としても 『ハリーズ・ハウス』の377,000枚を上回り、トップに立っている。CDのみの週間セールス(395,000枚)も今年の最高記録を更新し、『レピュテーション』が初週で記録した507,000枚以来、過去5年間の最高売上枚数を打ち出した。
MRCデータが集計をスタートした1991年から週間セールスが100万枚を突破したのは『ミッドナイツ』が通算22作目のアルバムで、そのうち5作をテイラーの作品が占めている。この記録は、バックストリート・ボーイズ、エミネム、イン・シンクを上回る歴代トップで、史上初の快挙となる。
1,047,000枚 『スピーク・ナウ』 (2010年)
1,208,000枚 『レッド』 (2012年)
1,287,000枚 『1989』 (2014年)
1,216,000枚 『レピュテーション』 (2017年)
1,140,000枚 『ミッドナイツ』(2022年)
なお、22作のうちアデルの『25』(2015年)が3週間ミリオンを達成しているため、通算記録としては24週ということになる。
『ミッドナイツ』は、CD、LPいずれも4つのバージョンがあり、アートワークや特典、ボーナス・トラックもそれぞれ異なる。公式ウェブサイトでは、発売前にサイン入りのCD、LPが予約可能で、Tシャツが封入された限定のボックスセットも購入できるようになっていた。 CDとLPは、異なる4つのカバーを組み合わせることで時計のデザインになる仕様になっており、4バージョンすべてを揃えるファンも多い。デジタル・アルバムもiTunes限定のものがあり、様々なマーケティング・アイデアが高セールスを記録した要因となっている。
昨今は、K-POPアーティストを筆頭に同様の手法で売上に繋げる傾向が高まっている。2022年は、その他レッド・ホット・チリ・ペッパーズやオジー・オズボーン、マドンナもバージョン違いのCDやLPを発売し、セールス増加に繋げた。
『ミッドナイツ』がNo.1デビューしたことで、先週1位に初登場したリル・ベイビーの『イッツ・オンリー・ミー』は2位にダウン。週間ユニットも前週から49%減少の110,000に下降したが、2週連続で10万ユニットをキープした。
バッド・バニーの『Un Verano Sin Ti』も先週の2位から3位に順位を下げたが、週間ユニットは67,000(7%減少)で安定している。『Un Verano Sin Ti』は、1位に初登場した5月21日付から9月17日付まで、18週連続でTOP2をキープした史上初のアルバムで、これまでの総ユニット数は2022年最高の291万に達している。なお、この記録はステレオ・アルバムとモノラル・アルバムの集計をひとつにした1963年8月以降のもので、それ以前の記録は含まれていない。
4位はモーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』 (43,000ユニット / 4%減少)、5位もザ・ウィークエンドの『ザ・ハイライツ』 (39,000ユニット / 1%減少)がそれぞれ同位キープして、6位にはアークティック・モンキーズの新作『ザ・カー』が初登場した。
『ザ・カー』は、2018年5月リリースの前作『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』から約4年半ぶり、7枚目のスタジオ・アルバムで、Billboard 200では以下に続く4作目のTOP10入りを果たした。
7位『フェイヴァリット・ワースト・ナイトメアー』(2007年)
6位『AM』(2013年)
8位『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』(2018年)
6位『ザ・カー』(2022年)
『ザ・カー』の初動ユニットは37,500で、その内訳アルバム・セールスが28,500、アルバム・ストリーミングが9,000 (1,176万回) をそれぞれ記録した。本国イギリス(UKチャート)では、デビュー・アルバム『ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット』(2006年)から前作『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』まで、7作連続で首位を獲得したが、本作ではテイラー・スウィフトの『ミッドナイツ』に阻まれ2位に初登場している。
続いて7位には、ヤング・ボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲインの新ミックステープ『Ma' I Got a Family』がデビューし、以下に続く通算12作目のTOP10入りを果たした。
スタジオ・アルバム
7位『Until Death Call My Name』(2018年)
1位『Top』(2020年)
1位『Sincerely, Kentrell』(2021年)
2位『The Last Slimeto』(2022年)
ミックステープ
1位『AI YoungBoy 2』(2019年)
2位『Still Flexin, Still Steppin』(2020年)
1位『38 Baby 2』(2020年)
10位『Until I Return』(2020年)
2位『Colors』(2022年)
6位『Realer 2』 (2022年)
7位 『Ma' I Got a Family』 (2022年)
コラボレーション・アルバム
10位『Better than You』(2022年)
Billboard 200には過去5年間で25作目のエントリーを果たし、そのうち2022年だけで最多となる5作をTOP10に送り込んでいる。
『Ma' I Got a Family』の初動ユニットは37,000で、全体の9割以上、36,000をアルバム・ストリーミングが占めた。週間ストリーミングは全19曲で5,254万回を記録している。
8位にハリー・スタイルズの『ハリーズ・ハウス』(32,000ユニット / 1%増加)を挟み、9位にはジージーとDJドラマのコラボレーション・アルバム『SNOFALL』がデビューした。初動ユニットは31,000で、その内訳アルバム・ストリーミングが28,000(3,845万回)、アルバム・セールスが2,500、トラックによるユニットは500をそれぞれ記録している。Billboard 200では、ジージーが通算11作目、DJドラマは自身初のTOP10入りを果たしている。
10位は、先週の6位からビヨンセの『ルネッサンス』がダウン。週間ユニットも前週の33,000から30,000に10%減少した。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは11月4日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『ミッドナイツ』テイラー・スウィフト
2位『イッツ・オンリー・ミー』リル・ベイビー
3位『Un Verano Sin Ti』バッド・バニー
4位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
5位『ザ・ハイライツ』ザ・ウィークエンド
6位『ザ・カー』アークティック・モンキーズ
7位『Ma' I Got a Family』ヤング・ボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン
8位『ハリーズ・ハウス』ハリー・スタイルズ
9位『SNOFALL』ジージー&DJドラマ
10位『ルネッサンス』ビヨンセ
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