2022/10/21
ジョン・ケイルが、オリジナル曲を収録したものとしては実に10年ぶりとなる最新アルバム『MERCY』をリリースすることを発表し、新曲「STORY OF BLOOD feat. ワイズ・ブラッド」をミュージック・ビデオと共に公開した。
本作『MERCY』で、ケイルは、アニマル・コレクティヴ、シルヴァン・エッソ、ローレル・ヘイロー、テイ・シ、アクトレスという音楽界で最も好奇心旺盛な若手アーティストたちを起用している。いずれも、ケイルの完成された世界観の中に入り込み、そこで彼が自らの世界をデコレーションし直すのを手伝う、才能溢れるミュージシャンたちだ。ケイルは今年3月に80歳を迎え、特にこの10年間は、多くの同業者がこの世を去るのを見守ってきた。それでも『MERCY』は、彼らこれまで積み重ねてきた長いキャリアの延長上で誕生した作品と言える。ケイルは常に、疎外感、傷、喜びといった古い考えを探求する新しい方法を探してきた。『MERCY』は、その満たされない心が見つけた新たな作品だ。
『MERCY』を構成する楽曲は、ケイルがディストピアの瀬戸際でよろめく社会を見ながら、何年もかけて書きためてきたものだ。トランプとブレグジット、コロナと気候変動、公民権、右翼の過激派、もしくは南極、北極付近で溶けている海氷の主権と法的地位についての考察であれ、アメリカ人の無謀な武装化であれ、ケイルはその日の悪いニュースを自分の言葉にする。今回のアルバム発表に先立ってリリースされた「NIGHT CRAWLING」で、(今もなお)豊かに生きている人生からの教訓も前面に押し出されている。
新曲「STORY OF BLOOD」では、ピアノの前奏が重厚なビートと眩い太陽のようなシンセサイザーに変わった後、ケイルとワイズ・ブラッドの歌声が、現代の喧騒の中でパートナーを探そうとする2つのファントムのように滑らかに交差し、“スウィング・ユア・ソウル”と二人は願いを込めて歌う。最後のパートで、ケイルはこの存在が自分だけのものでないことを思い出す。「私は朝には私の友人たちを、彼らを迎えに戻る。彼らを光の中に連れて行くんだ」。【エミー賞】受賞監督ジェスロ・ウォーターズによるミュージック・ビデオには、ケイルとワイズ・ブラッドが登場し、不穏と静寂が混在する。その深い色調と宗教的な雰囲気は、この曲のダークでスピリチュアルなムードを強調している。
「ワイズ・ブラッドの新作を聴いていて、ナタリーの清純なボーカルを思い出したんだ。“スウィング・ユア・ソウル”というパートと、他のいくつかの部分で彼女と一緒にハーモニーで歌うことができれば、きっと美しいものになるだろうと思った。しかし、彼女から得たものは、それ以上のものだったよ。彼女の声の多様性を理解してからは、まるで最初から彼女を想定して曲を書いていたかのように感じた。彼女の音域の広さと、音律に対する大胆なアプローチは、予想外の驚きだった。彼女がニコとそっくりに思う瞬間すらあるんだ」とケイルは話している。
『MERCY』は、2023年1月20日にCD、LP、デジタルでリリースされ、国内流通仕様盤CDには解説が封入される。
◎リリース情報
アルバム『MERCY』
2023/1/20 RELEASE
<トラックリスト>
1. MERCY feat. Laurel Halo
2. MARILYN MONROE'S LEGS (beauty elsewhere) feat. Actress
3. NOISE OF YOU
4. STORY OF BLOOD feat. Weyes Blood
5. TIME STANDS STILL feat. Sylvan Esso
6. MOONSTRUCK (Nico's Song)
7. EVERLASTING DAYS feat. Animal Collective
8. NIGHT CRAWLING
9. NOT THE END OF THE WORLD
10. THE LEGAL STATUS OF ICE feat. Fat White Family
11. I KNOW YOU'RE HAPPY feat. Tei Shi
12. OUT YOUR WINDOW
Photo: Madeline McManus
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