2022/08/22 10:00
2022年8月17日公開のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”は、トップの「新時代」を含めてAdoの楽曲が4曲も5位圏内にランクインという恐るべき結果となった。映画『ONE PIECE FILM RED』のタイアップ効果はもちろん、豪華作家陣が提供した楽曲という話題性も大きい。そんなAdoの楽曲のひとつ「私は最強」を手掛けたのは、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴だが、Mrs. GREEN APPLEも新曲「ダンスホール」が8位と健闘中だ(【表1】)。
この「ダンスホール」は、7月8日に発表されたミニアルバム『Unity』に収録された楽曲。ただ、この曲は5月24日に先行で配信が開始されている。6月1日公開のJAPAN HOT 100では初登場28位。ダウンロードでは11位、ストリーミングでは44位というまずまずの滑り出しだった。フジテレビ系『めざまし8』のテーマ曲という大型タイアップの効果も手伝って、ラジオのオンエアなどメディアでの取り上げ方もそれなりにあったとはいえ、6月29日公開のJAPAN HOT 100では45位まで下降している。
しかし、「ダンスホール」の底力はここからである。ミニアルバム『Unity』のリリースに先駆けて、6月28日にミュージック・ビデオが公開されたのだが、これがメンバー3人のキレッキレのダンスが見られるということで大きな話題となった。現時点ですでに900万回以上の再生数を記録している。こういった話題作りのうまさも手伝って、ダウンロードはV字回復し、ストリーミングもじわじわと上昇。7月13日公開分のJAPAN HOT 100では18位とついにベスト20入りし、さらに7月27日公開分で10位とトップ10入り。その後8月3日公開分から3週連続8位をキープしている。
もともと彼らはストリーミングに強いアーティストだが、ミニアルバムのリリースを基軸に、MVで巧妙に前煽りすることに成功したのが勝因といってもいいだろう。タイアップ、ライブ、夏フェスともともと話題に事欠かないとはいえ、ヒットにつなげるにはある程度の起爆剤が必要。そこをMVのダンスで大きくバズらせたのはお見事としか言いようがない。この勢いがどこまで継続していくかはまだ未知数だが、この様子だとまだまだ上位を狙えるチャンスはあるはずだ。Adoを筆頭に強豪がひしめくJAPAN HOT 100だが、Mrs. GREEN APPLEの次なる展開に期待したい。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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