2022/06/13
Billboard JAPANチャートは、単に売上だけでなく様々な要素を複合したチャートなので、楽曲によってヒットの要因も様々だ。そのためどんな楽曲がチャートを上昇するかわからないのが面白いところだが、すべての要素においてどこからどう見ても文句なしのヒットという楽曲もある。2022年6月8日公開のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で2位となったOfficial髭男dismの「ミックスナッツ」も、そんな一曲といえるだろう(【表1】)。
この曲はテレビアニメ『SPY×FAMILY』のオープニング主題歌のタイアップというアナウンスが3月18日に行われ、4月15日に配信リリースされている。告知解禁タイミングの3月23日公開の“JAPAN HOT 100”でもTwitter指標が10位と大きな話題になり、リリース・タイミングの4月20日公開の“JAPAN HOT 100”では総合6位で初登場している。ダウンロードとラジオ2位、同時にミュージック・ビデオが公開されたことを受けて、動画再生数では16位ということでなかなか良い結果だが、ストリーミングが43位と少々スロー・スタートである。
しかし彼らの本領発揮はここからだ。もともとストリーミングはホームといってもいいくらい強い彼らだけに、翌週の4月27日公開の“JAPAN HOT 100”におけるストリーミング回数では一気に首位を獲得、現在に至るまで7週連続1位となっている。ダウンロードも同週に1位となり、その後も首位から4位までを横ばいで推移中。ホラー映画仕立てのユニークなミュージック・ビデオは、YouTubeではすでに2,500万回以上も再生数を伸ばし、“JAPAN HOT 100”の動画再生数もトップ10内をキープ。最新の“JAPAN HOT 100”では3位まで上り詰めた。
さらに注目すべきなのがカラオケの歌唱回数で、5月11日公開分の72位から急勾配で上昇しており、最新の“JAPAN HOT 100”では12位まで到達した。これらはまだまだ伸びしろがあるのではないだろうか。どこを切っても盤石の安定感を感じさせる。
このように早くもロングヒットの様相を見せながら、この後の6月22日には『ミックスナッツ EP』のフィジカル・リリースが控えている。こちらも合算されれば圧倒的な強さとなるのは間違いない。「Pretender」以降数々のロングヒットをものにしてきたヒゲダンだが、さらなる記録的なヒットを生み出せるのか。今後の展開に期待したい。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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