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2022/03/08

【米ビルボード・ソング・チャート】グラス・アニマルズ「ヒート・ウェイヴス」、チャートイン59週目で遂に首位獲得

 グラス・アニマルズの「ヒート・ウェイヴス」が様々な記録を打ち立てて1位を獲得した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。

 グラス・アニマルズは2010年にイギリスのオックスフォードで結成され、2012年にデビュー。米ビルボード・チャートに初めてランクインしたのは2014年で、地道な活動を経てこの「ヒート・ウェイヴス」でブレイクを果たした。同曲のヒットを受け、今年の4月に開催を予定している【第64回グラミー賞】では<最優秀新人賞>にノミネートされている。

 「ヒート・ウェイヴス」がリリースされたのは2020年6月で、1年9か月という長い期間を経て今週ようやく首位に到達した。初登場から首位を獲得した今週までのランクイン期間は59週で、2019年12月に35週でトップに立ったマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」を大きく上回る、歴代最長記録を更新した。1位を獲得した曲としては59週が最長記録だが、1位を獲得していない曲を含めると、59週チャートインした歴代23曲目のタイトルとなる。

 その他、1位に到達するまで25週を超えたタイトルは以下の8曲がある。()は達成年。

59週 グラス・アニマルズ「ヒート・ウェイヴス」(2022年)
35週 マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」(2019年)
33週 ロス・デル・リオ「恋のマカレナ」(1996年)
31週 ローンスター「アメイズド」(2000年)
30週 ジョン・レジェンド「オール・オブ・ミー」(2014年)
27週 クリード「ウィズ・アームズ・ワイド・オープン」(2000年)
26週 ヴァーティカル・ホライズン「エヴリシング・ユー・ウォント」(2000年)
25週 UB40「レッド・レッド・ワイン」(1988年)

 上記8曲中、「ウィズ・アームズ・ワイド・オープン」と「エヴリシング・ユー・ウォント」を除く6曲は、チャートに初登場した後一度100位圏外にランクダウンして、再びランクインした後1位を獲得した。「ヒート・ウェイヴス」も、2021年1月16日付で100位に初登場した後、2週チャート圏外に落ちてから翌2月に再ランクインを果たした。

 100位に初登場した曲が1位を獲得したのは「ヒート・ウェイヴス」が史上11曲目で、その他には以下の10曲がある。()は達成年。

グラス・アニマルズ「ヒート・ウェイヴス」(2022年3月)
ウィズ・カリファ「シー・ユー・アゲインfeat.チャーリー・プース」(2015年4月)
ウィズ・カリファ「ブラック・アンド・イエロー」(2011年2月)
クリス・ブラウン「キス・キスfeat.T-ペイン」(2007年11月)
UB40「好きにならずにいられない」(1993年7月)
ヴィッキー・ローレンス「ジョージアの灯は消えて」(1973年4月)
パーシー・スレッジ「男が女を愛する時」(1966年5月)
スティーヴ・ローレンス「ゴー・アウェイ・リトル・ガール」(1963年1月)
ハイウェイメン「漕げよマイケル」(1961年9月)
マーク・ダイニング「ティーン・エンジェル」(1960年2月)
ウィルバート・ハリソン「カンサス・シティ」(1959年5月)

 なお、最新の米ビルボード・アルバム・チャート“Billboard 200”で8週目の首位を獲得している映画『ミラベルと魔法だらけの家』のサウンドトラックは197位に初登場した作品となっており、当週はHot 100で100位に初登場した楽曲、さらにはBillboard 200での初登場順位が197位以下の作品が、初めて同時にチャートを制することとなった。両チャートにおいて、初登場1位を獲得する作品が定期的にある中、稀なケースとなっている。

 「ヒート・ウェイヴス」がTOP10にランクインしたのは登場42週目の2021年11月13日付で、TOP5には51週目の2022年1月15日付に到達し、今週(2022年3月12日付)59週目で1位を獲得した。Hot 100以外では、2021年3月から4月にオルタナティブ・エアプレイ・チャートで3週、ポップ・エアプレイ・チャートとアダルト・ポップ・エアプレイ・チャートでは、今年の1月から2月にどちらも2週間首位をマークしている。昨今ヒット要因のひとつとなっているTikTokでは、2021年の夏にトレンド入りしてヒットに繋げた。

 オルタナティブ・エアプレイ・チャートで先に1位を獲得した曲がHot 100でも1位を獲得したのは、2019年にビリー・アイリッシュが「bad guy」で達成して以来約2年半ぶりで、その前にはロードの「ロイヤルズ」が2013年に両チャートを制している。グループとして両チャートで1位を獲得したのは、2012年にファン.が「ウィー・アー・ヤング」で記録して以来で、その前はニッケルバックの「ハウ・ユー・リマインド・ミー」が達成した2001年まで遡る。

 オルタナティブ・エアプレイ・チャートの集計が始まったのは1988年9月で、それから34年間でHot 100と両チャートで1位を獲得したのは、「ヒート・ウェイヴス」を含めて以下の10曲しかない。

グラス・アニマルズ「ヒート・ウェイヴス」(2021年から22年)
ビリー・アイリッシュ「bad guy」(2019年)
ロード「ロイヤルズ」(2013年)
ファン.「ウィー・アー・ヤングfeat.ジャネール・モネイ」 (2012年)
ゴティエ「サムバディ・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ノウfeat.キンブラ」(2012年)
コールドプレイ「美しき生命」(2008年)
ニッケルバック「ハウ・ユー・リマインド・ミー」(2001年から02年)
クレイジー・タウン「バタフライ」(2001年)
ベアネイキッド・レディース「ワン・ウィーク」(1998年)
シネイド・オコナー「愛の哀しみ」(1990年)

 「ヒート・ウェイヴス」はフロントマンのデイヴ・ベイリーが単独で書いた曲で、ソングライターとプロデューサーのクレジットが一人のみの曲が1位を獲得したのは、2014年の3月から10週をマークしたファレル・ウィリアムスの「ハッピー」以来、約8年ぶりの快挙。その前には、ウィル・アイ・アムが単独で手掛けたアッシャーの「OMG」が、 2010年5月から6月に4週間1位を獲得している。グループとしては、米マサチューセッツ州出身のロック・バンド=ボストンのトム・ショルツが書いた「アマンダ」が 1986年11月に1位を獲得して以来の記録となる。

 イギリス出身のアーティストがHot 100で1位を獲得するのは、昨年末から今年初頭にかけて10週をマークしたアデルの「イージー・オン・ミー」に続く2022年2曲目の快挙で、今週はTOP10にエド・シーラン、エルトン・ジョン、デュア・リパを含む5組の英国アーティストがランクインしている。

 名前に「グラス」が含まれるアーティストによる首位獲得は、1972年にヒットしたルッキング・グラスの「ブランディ」以来約50年ぶりで、歴代2曲目。タイトルに「グラス」が含まれている楽曲では、ジョン・フレッド・アンド・ヒズ・プレイボーイの「ジュディ・イン・ディスガイズ(ウィズ・グラッシーズ)」(1968年)、ブロンディの「ハート・オブ・グラス」(1979年)、ピンクの「レイズ・ユア・グラス」(2010年)の3曲がある。

 1位は獲得していないが、「グラス」と動物に関連する名前のアーティストのヒット曲では、1986年に最高2位を記録したグラス・タイガーの「ドント・フォゲット・ミー 」がある。同様に、タイトルに「ヒート」が含まれる曲では、1963年に最高4位を記録したマーサ&ザ・ヴァンデラスの「ヒート・ウェイヴ」が挙げられる。タイトルではなくアーティスト名に「ヒート」が含まれるケースでは、同英国出身のR&Bグループ=ヒートウェーブが、1977年から78年に「ブギー・ナイツ」(2位)や「オルウェイズ・アンド・フォーエバー」(18位)、「グルーヴ・ライン」(7位)などのヒットを輩出している。

 「ヒート・ウェイヴス」は、今週6,670万回(3%減少)を記録してエアプレイ・チャートで2位をキープ。デジタル・ソング・セールス・チャートでは23位から25位にダウンしたが、ストリーミング・ソング・チャートでは前週から若干数増加の1,480万回を記録して、6位から5位に最高位を更新している。 ロック&オルタナティブ・ソング・チャートとオルタナティブ・ソング・チャートでは、それぞれ24週目に首位獲得週を更新した。

 先週までに通算5週1位をマークした「秘密のブルーノ」は、「ヒート・ウェイヴス」の上昇により2位にダウンしたが、週間2,630万回(12%減少)を記録してストリーミング・チャートでは9週目の首位をキープした。売り上げは8%減少したが、デジタル・ソング・セールス・チャートでは5位から4位に上昇。エアプレイは、前週から12%増加の890万回に上昇している。

 1位の「ヒート・ウェイヴス」同様、「秘密のブルーノ」もリン=マニュエル・ミランダが単独で書いた曲で、ソングライターのクレジットが一人のみの曲が1位、2位を独占したのは、マッチボックス・トゥエンティの「ベント」(ロブ・トーマス作)と、ヴァーティカル・ホライズンの「エヴリシング・ユー・ウォント」(マット・スキャンネル作)がランクインした2000年7月29日付以来、約22年ぶりとなる。

 ゲイルの「abcdefu」は、先週に続き今週も3位をキープ。先週から27%増加の10,500を売り上げて、セールス・チャートでは3週目の首位を獲得し、6,130万回(6%増加)を記録してエアプレイ・チャートでは5位に、1,280万回(4%減少)を記録して、ストリーミング・チャートでは9位から8位に順位を上げている。

 続いて4位には、先週5位にランクインしていたコダック・ブラックの「スーパー・グレムリン」が上昇し、最高位を更新した。R&B/ヒップホップ・ソング・チャートとラップ・ソング・チャートでは、それぞれ7週目の首位をキープしている。今週ポイントが上昇したのは、同曲が収録された新作『Back For Everything』のリリース効果によるもので、本作は今週のBillboard 200で2位に初登場した。

 続いて5位には、ザ・キッド・ラロイ&ジャスティン・ビーバーの「ステイ」が先週の6位から上昇。アデルの「イージー・オン・ミー」は4位から6位にダウンしたが、週間6,780万回(8%減少)を記録してエアプレイ・チャートでは15週目の首位をキープしている。エアプレイ・チャートで15週以上首位を獲得したタイトルは、集計が始まった1990年12月以降「イージー・オン・ミー」を含めて6曲しかない。

 先週7位に上昇したジャスティン・ビーバーの「ゴースト」は今週も同位をキープし、アダルト・ポップ・エアプレイ・チャートでは5曲目の1位となった。続いて8位、9位もエド・シーランの「シヴァーズ」と「バッド・ハビッツ」がそれぞれキープして、2週連続でTOP10に2曲を送り込んでいる。

 10位も、先週に続きエルトン・ジョン&デュア・リパの「コールド・ハート(プナウ・リミックス)」が同位をキープした。同曲は、ダンス/エレクトロニック・ソング・チャートで21週目の首位をマークしている。


Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは3月11日以降掲載予定となります。

◎【Hot 100】トップ10
1位「ヒート・ウェイヴス」グラス・アニマルズ
2位「秘密のブルーノ」カロリーナ・ガイタン、マウロ・カスティーリョ、アダーサ、レンジー・フェリズ、ダイアン・ゲレーロ、ステファニー・ベアトリス、エンカント・キャスト
3位「abcdefu」ゲイル
4位「スーパー・グレムリン」コダック・ブラック
5位「ステイ」ザ・キッド・ラロイ&ジャスティン・ビーバー
6位「イージー・オン・ミー」アデル
7位「ゴースト」ジャスティン・ビーバー
8位「シヴァーズ」エド・シーラン
9位「バッド・ハビッツ」エド・シーラン
10位「コールド・ハート(プナウ・リミックス)」エルトン・ジョン&デュア・リパ

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