2022/02/02 12:00
2022年、安全地帯がデビュー40周年を迎える。時代の変化を乗り越え、長く活動を続けてきた5人のメンバーから矢萩渉(g)と六土開正(b)にインタビューを行い、40周年への感慨やバンド結成秘話をはじめとするエピソード、約11年ぶりとなる新曲「愛の戦友」への思い、さらに、ソロとしてデビュー35周年を迎え、ビルボードクラシックスのオーケストラ公演でも挑戦を続ける玉置浩二のステージに溢れる“歌のチカラ”について語ってもらった。
──デビュー40周年おめでとうございます。まず今の心境からお聞かせください。
六土:いろいろあったけれど、時間が経つのは早いなと思います。40年前から聴いてくれているファンの人もいて、それがずっと続いているのは、自分たちがやってきたことが、たぶん間違っていなかったんだなって。そう捉えています。
矢萩:若い頃は、1年後ってすごく先のことに思えたけど、今はもうあっという間に来ますからね。時間が過ぎるのは一瞬です。
──今まで応援してくれていたファンに対しては、どんな思いでいらっしゃいますか?
六土:ライブでは、お客さんがいることでプレイが変わってくる。みんな、俺たちに「勇気をもらいました」って言うけど、本当は違う。逆ですよね。
矢萩:会場のファンの人たちから作り出されるエネルギーを感じると、こっちのほうが力をもらっています。僕たちも含めて、みんなのいろんな思いが渦巻いて、そのすべてが交差する特別な空間ですよね。そういう経験をさせてもらっている僕たちのほうが有り難いです。いろんな人が来てくれて、それぞれストーリーがあると思うんですけど、その人たちがいないとライブは成り立たない。そういう意味では、お客さんが主役だって感じますね。
──デビュー当時、安全地帯を40年間続けていることを想像していましたか?
矢萩:20歳や30歳の時は考えられませんでしたね。その頃は、自分の50歳、60歳ってあんまり想像できなかったから。
六土:俺たちの場合は、ザ・ローリング・ストーンズがずっとやってるから、あそこまではまだできるだろう、みたいな感覚はありますけどね。
──アマチュア時代、玉置さん、矢萩さん、六土さんは同じ北海道の旭川を拠点にしながら、それぞれ別のバンドで活動し、その後、矢萩さんが六土さんの「六土開正バンド」に参加されたそうですね。現在の安全地帯はどのように結成されたのでしょうか?
矢萩:もともと玉置とギターの武沢(侑昂)が同じ中学で出会って安全地帯を結成したんです。僕と六ちゃん(六土)は別のバンドをやっていて、旭川の楽器店に出入りしていたんですけど、その楽器店に玉置と武沢も出入りしていて、そこで知り合ったんです。それで、高校を卒業後、一緒に安全地帯としてやり始めました。
六土:うちのバンドが3人、当時の安全地帯が5人で、その2つがそのまま合体して、8人でやっていたこともありました。旭川に合宿所みたいなものを作って、そこで練習したり。それで、東京に出てくる時に今の5人になったんです。
──別のバンドにいた当時、安全地帯というバンドにどんな印象を持っていましたか?
矢萩:地元の公園で行われていた野外ライブで初めて見たんですけど、コーラスやギターのパフォーマンスがすごいな、というのが第一印象でした。安全地帯は、その当時の中学の時からオリジナル曲をやっていたんです。僕らはコピーをやっていて、「やっぱりオリジナルをやらなきゃ」と思って自分で作るようになったり、いろんな変化があった時に彼らが現れたので、一緒にやることに全く抵抗はありませんでしたね。
──誘ったのはどちらですか?
矢萩:最初は玉置が僕に言ってきたんです。
六土:当時、俺たちは外国のバンドのコピーをやっていて、向こうも俺たちを見て羨ましいと思っていたみたいです。それがあったから、お互いに「一緒にやろうか」ということになったんじゃないかなと思います。
──デビュー翌年の1983年には「ワインレッドの心」が大ヒットし、80年代はかなり多忙だったと思います。そんな中、メンバー間で軋轢などが生じたことはありませんでしたか。
六土:俺たちはアマチュアの頃からずっと一緒にいたから、その点はたぶんクリアできていると思うんです。自然とそういう関係性になってきているんですよね。
矢萩:でもやっぱり波はありますよ。上がったり、落ち込んだり、活動の方針が違ってきたり。だから一旦、休止しようとか。そういうこともありながら、今に至るわけです。
──なるほど。実際に活動休止もありながら、2010年には完全復活。この頃の思い出はありますか?
矢萩:昔からずっとレコーディングで使っていたスタジオが伊豆にあるんですけど、復活後の一番最初の曲作りはそこから始まったんです。その時にできたのが、復活第一弾シングルにもなった「蒼いバラ」という楽曲で。それが、僕にとっては一番印象深いですね。
六土:録音技術のデジタル化が進んでいて、ちょっと圧倒されましたね。タイムスリップした感じでした。
──メンバーが集まった時の雰囲気はどうでしたか。
六土:全然変わらないですね。それまでも、2~3年くらい離れていた時期は何度かありましたけど、別にそんなに……。
矢萩:そもそも、普段から音楽以外で付き合いはないですからね。例えば、「映画行こうよ」とか、そういうのはないですから(笑)。
六土:ホントだよね。ないよね(笑)。
メモリアル・イヤーの幕開けとして1月には2017年の日本武道館公演を完全収録した『ALL TIME BEST「35」~35th Anniversary Tour 2017~LIVE IN 日本武道館』をCDとレコードでリリース。さらに安全地帯として約11年ぶりとなる新曲「愛の戦友」が2月25日にリリースされる。
──安全地帯の約11年ぶりのシングル「愛の戦友」は、玉置さんが作詞・作曲を手がけている楽曲ですね。
矢萩:重厚なロックナンバーで、なおかつポップスや、ある種の歌謡曲的なところも凝縮された曲です。実際に録音したのは、実は10年前、『安全地帯XIV~The Saltmoderate Show~』(2013年発売)というアルバムを制作していた時で、この曲も作っていたんです。
六土:この曲は、歌の関係でキーを2回ぐらい変えたんです。なので、その都度、録音をやり直さないといけなくて、すごく時間が掛かって大変だったのを覚えています。それなのに、アルバムには入らなかった(苦笑)。
矢萩:そのアルバムが、遊びが多くてわりとポップな作品だったので、「こういう本格的なロックの曲はちょっと入れられない」という玉置の意見でした。当時は、いろんな音を入れてアレンジが豪華になりすぎていたんですけど、今回は、それを全部そぎ落としてすごくシンプルにしました。プログラミング的な音はちょっと入っていますが、演奏としてはメンバー5人のバンドサウンドになっています。その後、ドラムの田中裕二が体調を崩して、今、療養中なんですけど、そういう意味で、5人で録った音を、今こうやって出せるというのは感慨深いです。
──象徴的かつ意味深い楽曲ですね。
六土:そうですね。ずっと印象に残っていた曲でもあります。
矢萩:当時、玉置が弾き語りで歌ったデモテープを聴かせてくれて、その時は「こういう展開でいくんだ」ってびっくりしたことを覚えてます。
──40周年を記念したライブの開催にも期待が高まっていますが、おふたりのお気持ちはいかがですか?
矢萩:前向きに考えたいと思ってます。
六土:ライブはいつでも全然OKです!
──これまでのライブで印象に残っているエピソードはありますか?
矢萩:玉置のソロの時、河口湖ステラシアターでライブをやって、それに参加したんです。その当時、玉置がドラマの仕事ですごく忙しかったので、バンドメンバーも本番2日前に会場に入ればいいということで、2日前に1日だけバンドで練習をして、前日に玉置が来て、リハーサルで1~2回だけ歌って本番をやりました(笑)。その“嵐の3日間”っていうのが思い出に残ってますね。
六土:当日はゲストがたくさんいたんです。かまやつ(ひろし)さんとかイルカさん、財津和夫さんもいて。でも、帰りの時間に高速が渋滞して帰れなくなって、リハーサル室に使える小ホールみたいなところにみんなが集まって、そこでミニコンサートが始まったんです。かまやつさんが出て歌ったり。財津さんは「青春の影」とかを歌ってました。
矢萩:確か、河口湖のホテルがお客さんでいっぱいで泊まれなかったんです。でも、当時は若かったので、夜中に帰るのも全然平気でしたね。
──玉置さんが2015年から行っているビルボードクラシックスのオーケストラ公演には、矢萩さんと六土さんも何度か足を運ばれているそうですね。ご覧になってどんな感想をお持ちになりましたか?
矢萩:僕は初演の2015年から、東京公演は全部観ています。もちろんいつも素晴らしいんですけど、最初に始めた頃は、いろんなことをやりながら試行錯誤していたというか。すごくトライをして、どんどん進化してきた感じはありますね。
六土:曲の感じが指揮者によって変わるんだな、と思いました。大友直人さんが指揮をされていた東京ガーデンシアター公演(2021年7月20日)は、声がすごく出ていて良かったという印象があります。
──安全地帯やソロを含むバンドスタイルのライブで、共にステージに立ってきたお二人にとって、オーケストラの演奏で歌う“ボーカリスト・玉置浩二”はやはり違いますか?
矢萩:バンドになると、もうちょっと遊びが入ったり。そういう意味ではちょっと違いますよね。
六土:俺たちとやっている時は、こっちに預けたりすることもできるけど、クラシックスは、その点では大変なんじゃないかなと思います。
矢萩:クラシックスの時は、自分で全部責任を負わなきゃいけない。丁寧に丁寧に歌っているというか、それを全部こなしている感じですよね。そうやって歌い切っている姿を、「やっぱりすごいな」って思いながらいつも観ています。
──【billboard classics 玉置浩二35th ANNIVERSARY LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2022 “Arcadia -理想郷-”】と題した新シリーズのツアーも開催されますが、ずばり玉置浩二×ビルボードクラシックスの魅力とは?
矢萩:オーケストラの中に玉置が入って、歌って、コンサートを終える……。僕の印象ですけど、そこに物語があるというか。ステージに挑んでいく姿や立ち姿も含めて、それだけで世界が成り立っていて、すべてがその時間の中に凝縮されている。いつだってすごいから、今回もきっとすごいですよ。
Interview:水白京
Photo:板橋淳一
◎公演情報
【阪急交通社 presents billboard classics 玉置浩二35th ANNIVERSARY LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2022 “Arcadia -理想郷-” Special 2 days in 河口湖ステラシアター】
2022年6月11日(土)・12日(日)
OPEN 16:00 / START 17:30(予定)
山梨・河口湖ステラシアター(山梨県南都留郡富士河口湖町船津5577)
※全天候型可動式屋根付き野外音楽堂
ソリスト:玉置浩二
指揮:大友直人 管弦楽:群馬交響楽団
公演公式サイト
チケット:13,000円(全席指定・税込)
※特製ブックレット付 ※未就学児入場不可
チケット販売スケジュール ※お一人様1公演につき4枚まで
◎ローソンチケット先行:2月7日(月)15:00~2月20日(日)23:59
◎ビルボードライブ「Club BBL」会員先行:2月7日(月)~2月20日(日)23:59
◎各プレイガイド先行:2月25日(金)10:00~
◎一般発売:4月30日(土)10:00~
チケット取扱いプレイガイド
・キョードー東京
・チケットぴあ 【Pコード】:211-382
・ローソンチケット 【Lコード】:72718
・イープラス
・河口湖ステラシアター 電話予約:0555-72-5588(火曜・祝翌日休館)※一般発売初日は電話予約のみ
◎ツアー情報
【billboard classics 玉置浩二35th ANNIVERSARY LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2022 “Arcadia -理想郷-”
(1)2022年2月26日(土)東京・東京国際フォーラム ホールA ※完売
(2)2022年3月2日(水)大阪・フェスティバルホール ※完売
(3)2022年3月3日(木)大阪・フェスティバルホール ※完売
(4)2022年3月24日(木)北海道・札幌文化芸術劇場hitaru ※完売
(5)2022年4月8日(金)熊本・熊本城ホール メインホール ※完売
(6)2022年4月12日(火)愛知・愛知県芸術劇場大ホール ※完売
(7)2022年4月23日(土)東京・東京文化会館 大ホール ※完売
(8)2022年4月24日(日)東京・東京文化会館 大ホール ※完売
(9)2022年5月10日(火)福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール ※完売
(10)2022年5月28日(土)兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール ※完売
(11)2022年5月29日(日)兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール ※完売
主催:ビルボードジャパン(阪神コンテンツリンク)
【札幌】北海道新聞社、道新スポーツ、エフエム北海道、道新文化事業社
【河口湖】河口湖ステラシアター、山梨日日新聞社、山梨放送
企画制作:ビルボードジャパン(阪神コンテンツリンク)
特別協賛:【河口湖】株式会社阪急交通社
協賛:【大阪】大和ハウス工業株式会社
後援:米国ビルボード、【熊本】TKUテレビ熊本、【福岡】九州朝日放送
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