＜ライヴレポート＞L’Arc～en～Ciel、結成30年の軌跡を辿るライヴを開催

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2022/01/21

　L’Arc～en～Cielが12月22日から26日までの4日間、国立代々木競技場第一体育館で【30th L'Anniversary TOUR】の千秋楽となるワンマン・ライヴを開催した。

　9月5日の大阪城ホール3Days公演を皮切りに、全国8か所19公演におよぶ結成30周年記念ツアーを走り抜けてきたL’Arc～en～Ciel。1991年にtetsuya（Ba）を中心に結成された彼らは、数々のヒット曲を世に送り出し、ワールドツアーも重ねながら国内外問わず人気を獲得してきた。メンバーのソロ活動もエネルギッシュで、各々得たスキルをしっかりとバンド活動にも昇華させている。そのため、様々な顔を持つ楽曲たちが時代時代に散りばめられているのだ。そんな彼らの“L'Anniversary”と題したアニバーサリーライヴは15周年、20周年、25週年と歴史を刻んできた。特に味の素スタジアムで開催された20周年記念ライヴでは始終降り続ける雨の中、hyde（Vo）が放った感謝と「止まない雨はない」というセリフがファンの心を釘付けにしたことはしっかりと覚えている。ここでは、そんな彼らの新たな歴史の1ページとなった30周年記念ツアーファイナルの地、国立代々木競技場第一体育館公演の初日の模様をレポートしていく。

　会場に入ると、メンバーが2000年代から現在まで聴いている楽曲をセレクトしたプレイリストが流れている。メンバーの趣味嗜好を知ることができる、前回のツアー【ARENA TOUR MMXX】でも取り入れられた試みだ。さらに、ステージ上のLEDビジョンには「#思い出のラルク曲」というハッシュタグで投稿されたツイートも映し出されている。Twitter上ではtetsuyaも参加していた。

　開演時間になり暗転し、オープニング映像が終わると、重く低いベースラインが聴こえてくる「get out from the shell」からライヴがスタート。思い返せば【L’Arc～en～Ciel LIVE 2014 at 国立競技場】の初日公演でもこの楽曲が1曲目に置かれ、それに沿った登場演出に度肝を抜かれた。そう、彼らのライヴの魅力の一つは、序盤から一気にオーディエンスの心を掴むところだ。今回はLEDビジョンがゆっくりと上がっていき、赤色のステージ上にメンバーが登場する。hydeのシャウト、ken（Gt）の鋭いギターソロ、tetsuyaの重厚な一音一音、yukihiro（Dr）のタイトなビートが美しく絡み合い、会場に響き渡っていった。そのまま「Caress of Venus」へと繋がりステージは熱を帯びていく。

　昨年、新型コロナウイルスの影響で一部公演が中止となった【ARENA TOUR MMXX】。hydeは「ここまで戻ってきた。嬉しいね」と喜びを語っていた。この季節に聴きたくなる1曲「winter fall」では、楽曲の雰囲気に合わせてオーディエンスが掲げるバットマラカスライトも青白く輝く。ライヴ当日はちょうど冬至で寒さも増してきており、”春の訪れ”が恋しくなる瞬間でもあった。「三十路になりました」と語った後に披露された「metropolis」もまた彼らの大人な雰囲気が漂う1曲。kenのワウサウンドがいつもより妖艶さを増していたのを感じた。そして「DAYBREAK'S BELL」では、yukihiroが刻む複雑なリズムのビートが地響きを起こすように会場全体に広がっていった。

　tetsuyaによるファズサウンドのベースソロが聴こえてきたということは「STAY AWAY」だ。オーディエンスのノリノリな手拍子も演奏の一部となって、一体感が生まれていく。そして「NEO UNIVERSE」から「CHASE」と流れるようにパフォーマンスしていき、段々とL’Arc～en～Cielの世界観へと導かれていく。ステージを真っ赤に染めた「花葬」から「EVERLASTING」としばらくkenが作曲した楽曲が続いた中盤戦。「EVERLASTING」のアウトロは、激しく降り続く雨の音と、kenとtetsuyaの哀愁感が漂うツインギターがマッチするシーンが印象深いものだった。そんななか、虹をかけるようにkenがギターソロを奏で「MY HEART DRAWS A DREAM」がパフォーマンスされ、オーディエンスの鮮麗なハミングをhydeが笑顔でまとめていく。

　その後はクリスマスが近いこともあり、特別に「Hurry Xmas」が届けられた。そのままの勢いで終盤戦は「Are you ready！？」というhydeの熱い一声から「Driver's High」「HONEY」「READY STEADY GO」とエンジン全開で駆け抜けていく。

　アンコールは、闇から光へと架け橋をかけるように前向きになれる楽曲「ミライ」で幕が開ける。オーディエンスのスマートフォンのライトとステージ中央に設置されたミラーボールによって会場は輝きを増していった。そして、最新曲「FOREVER」からインディーズ時代の楽曲「As if in a dream」へと展開していく流れは、この日のハイライトとして取り上げておきたい。kenのメロディアスなギター、tetsuyaの目まぐるしく移り変わるベースライン、そこにリンクするように刻むyukihiroのドラムとhydeの低音ボイス。いつ聴いても色あせることなく、むしろこの30年でより深みを増している楽曲の一つだ。思わずhydeも感慨深く「30年前からいい曲やってるな～」と語った場面もあった。そしてラストに「虹」を奏で、彼らはステージを後にした。

　今回のツアー最終日には、30周年を締めくくる【30th L'Anniversary LIVE】と題したライヴが2022年5月21日と22日に東京ドームで開催されることが発表された。結成31年目に突入し、この先彼らはどんな軌跡を残していくのだろうか、楽しみで仕方がない。

Text by Tatsuya Tanami
Photo by 石川浩章

◎公演情報
【30th L'Anniversary TOUR】
2021年9月5日（日）大阪大阪城ホール
2021年9月7日（火）大阪大阪城ホール
2021年9月8日（水）大阪大阪城ホール
2021年10月2日（土）福岡マリンメッセ福岡A館
2021年10月3日（日）福岡マリンメッセ福岡A館
2021年10月6日（水）愛知日本ガイシホール
2021年10月7日（木）愛知日本ガイシホール
2021年10月15日（金）愛知 Aichi Sky Expo（愛知県国際展示場）
2021年10月16日（土）愛知 Aichi Sky Expo（愛知県国際展示場）
2021年10月22日（金）千葉幕張メッセ国際展示場1～3ホール
2021年10月23日（土）千葉幕張メッセ国際展示場1～3ホール
2021年12月4日（土）埼玉さいたまスーパーアリーナ
2021年12月5日（日）埼玉さいたまスーパーアリーナ
2021年12月9日（木）神奈川横浜アリーナ
2021年12月10日（金）神奈川横浜アリーナ
2021年12月22日（水）東京国立代々木競技場第一体育館
2021年12月23日（木）東京国立代々木競技場第一体育館
2021年12月25日（土）東京国立代々木競技場第一体育館
2021年12月26日（日）東京国立代々木競技場第一体育館