2021/12/25
比較的新しい楽曲のチャートインが多かった、2021年12月22日公開のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”。とはいえ、優里の「ドライフラワー」を筆頭に、BTSやback numberといったロングヒットの楽曲も根強く上位にとどまっている。今後こういったロングヒット勢の仲間入りをしそうなのが、マカロニえんぴつの「なんでもないよ、」だ(【表1】)。この曲は7週目のチャートインとなっており、現在は11位。まだまだポテンシャルの高い楽曲なのである。
「なんでもないよ、」は11月3日に配信限定シングルとしてリリースされている。リリース・タイミングである11月10日発表の“JAPAN HOT 100”では48位に初登場。2週目の11月17発表の“JAPAN HOT 100”で一気に14位にまで上昇した。内訳を見ると、やはりストリーミングが断トツに強い。ストリーミング回数だけだと、11月24日発表分以降は5週連続でベスト3内に入り続けており、12月8日発表分では首位となっている。彼らにとってストリーミングでの1位は今回が初めてだ。他にもYouTubeでの動画再生数やラジオのオンエア回数なども健闘しているが、目立つのはやはりストリーミングだ。
ただ、これだけ上位にチャートインすると、タイアップありきのイメージがあるかもしれないが、意外にも「なんでもないよ、」に限ってはノンタイアップだ。言い換えれば、楽曲の良さだけで評価されているといってもいいだろう。ひとつタイアップに近いことを挙げるとするならば、TikTokが「#秋の歌うま」というキャンペーンを行っており、そのアンバサダーとしてマカロニえんぴつが起用されたことが大きいかもしれない。これによって、「なんでもないよ、」のカヴァー動画をSNSにアップするユーザーが増え、それがストリーミングにつながっていったということではないだろうか。そして彼らは、まだ爆発的なヒット曲を出していないが、ネクスト・ブレイクの気運が非常に高いのも事実だ。ライブの動員もじわじわ増えていることもあり、注目度の高さでは他のバンドよりも一歩抜きん出ているといえるだろう。
こういったタイプのアーティストと楽曲は、ロングヒットになる可能性は非常に高い。カラオケの歌唱回数も42位まで上がってきていることもあり、メディアの露出や話題性によってはまだまだチャートの伸びしろはある。しかも、2022年1月12日にはニュー・アルバム『ハッピーエンドへの期待は』もリリースが控えているのだ。おそらくこのタイミングでプロモーションもピークを迎えることだろう。そう考えると、「なんでもないよ、」の粘り強さは、アルバムの売上やチャートにも直結してくるはずだ。ここでマカロニえんぴつが大きなブレイク・ポイントを迎えられるかどうかが、非常に楽しみでならない。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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