2021/11/22
テイラー・スウィフトの『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』が1位に初登場した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
本作は、2012年10月にリリースした4枚目のスタジオ・アルバム『レッド』を再録音したアルバムで、4月24日付チャートでNo.1デビューを飾った『フィアレス(テイラーズ・ヴァージョン)』に続き、原盤、再録盤いずれも首位を獲得するという快挙を達成した。なお、『レッド』のオリジナルは2012年11月から2013年1月にかけて計7週を、カントリー・アルバム・チャートでは16週間1位をマークする大ヒットを記録している。
テイラーは、今年だけで『エヴァーモア』(1月2日、16日、6月12日)、『フィアレス(テイラーズ・ヴァージョン)』(4月24日)、そして本作『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』(11月27日)の3作を首位に送り込み、2ndアルバム『フィアレス』が初めて1位を獲得した2008年11月29日付チャートからわずか13年間で首位獲得数を通算10作目に更新した。
テイラー・スウィフト No.1獲得アルバム
『フィアレス』 (2008年)
『スピーク・ナウ』 (2010年)
『レッド』 (2012年)
『1989』 (2014年)
『レピュテーション』 (2017年)
『ラヴァー』 (2019年)
『フォークロア』 (2020年)
『エヴァーモア』 (2020年)
『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』(2021年)
『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』(2021年)
10作のNo.1アルバムをもつアーティストは、テイラーを含めて以下の5組がいる。歴代トップはビートルズの19作で、10作は4位タイ記録。女性アーティストとしては9作で並んでいたマドンナを抜き、11作をもつバーブラ・ストライサンドに次ぐ単独2位に記録を更新した。
19作 ビートルズ
14作 ジェイ・Z
11作 ブルース・スプリングスティーン
11作 バーブラ・ストライサンド
10作 エルヴィス・プレスリー
10作 ドレイク
10作 カニエ・ウェスト
10作 エミネム
10作 テイラー・スウィフト
昨年リリースした8thアルバム『フォークロア』(2020年8月8日)から、前述の『エヴァーモア』(2020年12月26日)、『フィアレス(テイラーズ・ヴァージョン)』(4月24日)、そして本作『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』(11月27日)までの4作が首位を獲得した期間は68週(約16か月)で、ソロ・アーティストが4作の首位を獲得した期間としては、Billboard 200が発表された1956年3月以降の最速記録となる。なお、これまでの最速記録は1974年から75年にかけてエルトン・ジョンが打ち出した以下の69週間だった。
『カリブ』(1974年7月14日)
『グレイテスト・ヒッツ』(1974年11月30日)
『キャプテン・ファンタスティック』(1975年6月7日)
『ロック・オブ・ザ・ウェスティーズ』(1975年11月8日)
デュオやグループの記録を含む4作の首位獲得最速記録は、ザ・モンキーズが『恋の終列車』(1966年11月12日)、『アイム・ア・ビリーバー』(1967年2月11日)、『ヘッドクォーターズ』(1967年6月24日) 、『スターコレクター』(1967年12月2日) で記録した55週(約13か月)で、未だその記録は破られていない。
『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』の初動ユニットは605,000で、そのうちアルバム・セールスが369,000、アルバム・ストリーミング(SEA)が227,000、トラックごとのユニット(TEA)が9,000だった。週間ストリーミングは全30曲で合計3億323万回を記録し、女性アーティストとしては2019年2月23日付チャートでアリアナ・グランデの『thank u, next』が記録した3億710万回に次ぐ、史上2番目に高い記録を打ち出した。なお、『thank u, next』は『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』の半数以下のわずか12曲でこの記録を達成している。
カントリー・アルバムにカテゴライズされる作品としては、今年の1月23日付チャートでモーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』が打ち出した2億4,018万回を上回る、歴代最高の週間ストリーミング記録を更新。『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』の収録曲数も同30曲だが、『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』はそれに1億回近く差をつけトップに立った。
カントリー・アルバムの週間セールス記録では、2013年8月31日付チャートでルーク・ブライアンの『クラッシュ・マイ・パーティ』が記録した528,000以降、約8年の間の最高記録で、2014年12月にチャート編成が行われて以来の最大売上枚数となる。なお、これまでの2021年の週間最高セールスは、6月12日付チャートで前述の『エヴァーモア』が記録した192,000だったが、今週自身がその最高記録を塗り替えたことになる。
また、週間セールス369,000のうち114,000枚がアナログ盤による売り上げで、LPのみの週間セールスとしてもその『エヴァーモア』が記録した102,000枚を上回る歴代最高記録を更新した。なお、この記録はMRCデータが集計をスタートした1991年以降のもので、それ以前の記録は含まれていない。
『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』は、オリジナルの16曲にデラックス・エディションのボーナス・トラック4曲、当時 iTunes限定でリリースされた「ローナン」、そして豪華ゲスト陣が参加した未発表9曲の計30曲で構成されている。最終曲の「オール・トゥー・ウェル (テン・ミニット・ヴァージョン)」は、自身が監督を務めたショート・フィルムの再生数も好調で、今週発表のソング・チャート“Hot 100”で上位にデビューする可能性が高い。その他、スターバックスで期間限定のコラボ・ドリンクを発売する等、様々なプロモーションが行われている。
テイラーに阻まれNo.1デビューを逃したが、2位にはブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによるコラボレーション・プロジェクト=シルク・ソニックのデビュー・アルバム『アン・イヴニング・ウィズ・シルク・ソニック』が初登場した。ブルーノ・マーズは『ドゥー・ワップス&フーリガンズ』(2010年 / 3位)、『アンオーソドックス・ジュークボックス 』(2012年 / 1位)、『24K・マジック』(2016年 / 2位)に続く4作目、アンダーソン・パークは『ベンチュラ』(2019年 / 4位)に続く2作目のTOP10入りにして自己最高位を更新している。
『アン・イヴニング・ウィズ・シルク・ソニック』の初動ユニットは104,000で、そのうちアルバム・セールスが42,000、アルバム・ストリーミングが60,000、トラックごとのユニットは2,000だった。週間ストリーミングは、わずか9曲で8,260万回と好記録を打ち出している。本作からは、デビュー曲「リーヴ・ザ・ドア・オープン」がソング・チャート“Hot 100”で1位を2週(4月17日、5月22日)記録し、2ndシングル「スケート」が14位、3rdシングル「スモーキン・アウト・ザ・ウインドウ」は先週8位に最高位を更新し、アルバムのプロモーションに繋げた。
続いて3位にデビューしたのは、日本でも高い人気を誇る韓国のガールズ・グループ=TWICEの『Formula of Love: O+T=<3』。TOP10入りは6月26日付チャートで6位に初登場したミニ・アルバム『Taste of Love』に続く2作目で、最高位更新とグループ初のTOP3入りを果たした。初動ユニットは66,000で、そのうちアルバム・セールスが58,000、アルバム・ストリーミングが8,000とセールスが全体の9割近くを占めた。高セールスを記録した理由として、パッケージの異なるCDのリリース、 Hot 100で初めてランクインした「The Feels」(10月16日 / 83位)のヒット等が挙げられる。週間ストリーミングは、1,200万回を記録した。
先週1位に初登場したサマー・ウォーカーの『Still Over It』は、新作の登場により4位にダウン。週間ユニットも61%減少の64,000まで大幅に下降した。以下、ドレイクの 『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』(57,000ユニット / 8%減少)が3位から5位に、モーガン・ウォレンの『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』(45,000ユニット / 5%増加)は5位から6位に、エド・シーランの『=(イコールズ)』(38,000ユニット / 25%減少)は4位から7位にそれぞれランクダウンし、8位には米テネシー州出身のカントリー・シンガー=ジェイソン・アルディーンの新作『メーコン』がデビューした。
本作『メーコン』は、2019年11月にリリースした前作『9』から2年ぶり、10作目のスタジオ・アルバムで、デビュー・アルバム『ジェイソン・アルディーン』(2005年 / 37位)を除く9作連続のTOP10入りを果たした。
37位『ジェイソン・アルディーン』(2005年)
4位『リレントレス』(2007年)
4位『ワイド・オープン』(2009年)
2位『マイ・カインダ・パーティー』(2010年)
1位『ナイト・トレイン』(2012年)
1位『オールド・ブーツ、ニュー・ダート』(2014年)
1位『ゼイ・ドント・ノウ』(2016年)
1位『リアビュー・タウン』(2018年)
2位『9』(2019年)
8位『メーコン』(2021年)
『メーコン』の初動ユニットは37,000で、そのうちアルバム・セールスが19,000、アルバム・ストリーミングは16,000、トラックごとのユニットは2,000をそれぞれ獲得した。週間ストリーミングは全15曲で2,162万回を記録している。本作からは、キャリー・アンダーウッドとデュエットした先行シングル「If I Didn't Love You」がHot 100で15位、カントリー・ソング・チャートで2位、カントリー・エアプレイ・チャートで自身24曲目(キャリー・アンダーウッドは16曲目)の1位を獲得している。
9位には、9月11日付チャートで1位に初登場したカニエ・ウェストの『Donda』が先週の13位から浮上。11月13日に新曲を追加したデラックス盤がリリースされ、ユニット数が46%増加の37,000に上昇し再ランクインを果たした。ドージャ・キャットの『プラネット・ハー』(35,000ユニット / 5%減少)は6位から10位に順位を下げたが、ユニット数は安定している。
Text: 本家 一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートは11月26日以降掲載予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『レッド(テイラーズ・ヴァージョン)』テイラー・スウィフト
2位『アン・イヴニング・ウィズ・シルク・ソニック』シルク・ソニック
3位『Formula of Love: O+T=<3』TWICE
4位『Still Over It』サマー・ウォーカー
5位『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』ドレイク
6位『デンジャラス:ザ・ダブル・アルバム』モーガン・ウォレン
7位『=(イコールズ)』エド・シーラン
8位『メーコン』ジェイソン・アルディーン
9位『Donda』カニエ・ウェスト
10位『プラネット・ハー』ドージャ・キャット
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