2021/11/18
2021年11月17日に4時間生放送でオンエアされた、日本テレビ系・年末の音楽の祭典『ベストアーティスト2021』に桑田佳祐が出演し、20周年を迎えた番組の大トリに相応しい熱唱を披露した。
2001年に放送開始された『ベストアーティスト』は、歌と共に一年を振り返り、「その年の日本」を描く音楽番組だ。5年ぶりの出演となる桑田は、21時台と22時台の2回に渡って登場することが告知されていた。貴重なテレビ番組出演で、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか? 歌唱前には、これから歌う曲の予告とばかりに、総合司会の櫻井翔にコブラツイストを伝授して悶絶する姿が映し出され、ますます弾けたステージングへの期待が高まった。
21時台のステージに登場した桑田は、「9月からツアーを回らせてもらってるんですけど、(最初は)あんまり声が出なかったんですよ。1年以上人前で歌っていないと、“歌唱体力”みたいなものが落ちるんだなって初めて知りました。やっぱり、お客さんの前でツアーをやらせていただくと、歌い方を思い出したというか、だいぶわかってきました」と、久々のツアーについて実感を込めて語った。
そして、櫻井に「日本の歌謡曲へのリスペクトを込めた新曲」と紹介されて始まったのは、9月15日に発売されたEP『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』のオープニングを飾る「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」。画面いっぱいに映し出されたミラーボールからカメラが引いていくと、昭和の歌番組テイストなステージセットで軽やかにステップを踏みながら桑田が歌い出す。ホーンセクション、コーラスも加わった大編成のバンドによる華やかな演奏で、イントロも歌メロも一度聴いたら口ずさめるほどにキャッチーだ。ゴールドのスーツと細いタイでキメた桑田は、身振り手振りを交えながら、カメラ目線多めにソウルフルに熱唱。間奏になるとギタリスト2人に挟まれてひざまずきながらブルースハープを披露するなど、サービス満点のエンターテイナーぶりを見せた。終盤は金の紙吹雪、カラフルなテープが一面を埋め尽くし、さらにラストに桑田が<I can’t get you out of my mind>とシャウトすると一斉に金テープが放たれるなど、ゴージャスな演出もあり大いに盛り上がった。
22時台には番組の大トリとして登場して、民放共同企画「一緒にやろう」応援ソング「SMILE~晴れ渡る空のように~」をテレビ初歌唱。衣装もチェンジして、空色のスーツと花があしらわれたシャツが、爽やかな楽曲のイメージと合っている。曲が始まると桑田とバンドメンバー全員で両手を頭上に掲げてハンドクラップをしながら、テレビ画面の向こう側にいる多くの人々を巻き込んでいく。穏やかな中にも静かに湧き上がる強さを感じるこの曲は、2021年の我々をいろんな場面で応援してくれた。<私とあなたが 逢うところ ここから未来を 始めよう>と歌われる部分は、久しぶりに桑田に会うことができるツアー中の今聴くと、これまでと違った聴こえ方がしてグッときた。また、<気まぐれな運命(さだめ)にも 心折れないで でなきゃモテないじゃん!!>と語り掛ける歌詞は、先ほど歌った明るくも悲しい失恋の歌「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」の主人公を励ますアンサーソングにも聴こえるから面白い。曲の後半、拳を握った右腕を突き上げて、<Woh oh oh oh…>を歌う桑田に、再び紙吹雪が降ってきて、4時間生放送のフィナーレは心地良い余韻で締めくくられた。桑田佳祐らしい最高に楽しいエンターテイメントと優しさに溢れた歌声に、明日への活力をもらえた人も多かったのではないだろうか。現在行われている全国10か所20公演を巡るアリーナ・ツアー【LIVE TOUR 2021「BIG MOUTH, NO GUTS!!」】を幸運にも鑑賞できる人は、日本を代表するエンターテイナー・桑田佳祐の真髄を思う存分味わってきてほしい。
Text by 岡本貴之
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