2021/11/13 12:00
今週はボーイズ・グループのファンにとって無視できないチャート結果が発表された。2021年11月10日公開のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で、BE:FIRSTの「Gifted.」が1位(【表1】)、INIの「Rocketeer」が2位(【表2】)となったからだ。それぞれ別々のオーディション番組から生まれたとはいえ、やはりライバルであることには変わりない。奇しくも同日にシングルCDのリリースが重なったことで、明暗が浮き彫りになった。
首位を獲得したBE:FIRSTは、ダウンロード、ストリーミング、ラジオのオンエア回数、動画再生数で4冠、2位のINIは、CD売上数、ルックアップ(PCによるCD読取数)、Twitterのつぶやき数で3冠となっており、これらのポイント集計の結果、僅差でBE:FIRSTに軍配が上がった。とはいえ、単純に勝ち負けを決めつけるのは早計だ。たまたまCDのリリースが被ったが、「Gifted.」は全くの新曲で今回が初チャートイン、「Rocketeer」は9月にすでに先行配信リリースされており、チャートインして7週目である。
とくにCDの売上数に関しては、しっかりと注目しておくべきだ。BE:FIRSTは210,544枚だが、INIは489,587枚と50万枚に届く勢いでBE:FIRSTの倍以上である。しかもINIのTwitterのポイントは、過去7週のうち6週で1位となっており、話題性の豊富さやファンの熱心さが伝わってくる。一方のBE:FIRSTは、初登場の強みを生かしてダウンロード、ストリーミング、ミュージック・ビデオの公開を統一して一気にポイントを稼ぎ、なおかつラジオをしっかりと押さえたことによる戦略勝ちといったところだろうか。少しでも抜けがあれば逆転していたであろうことは、誰しも想像できるだろう。そういった意味においては、Billboard JAPANの集計方法をうまく攻略したBE:FIRSTが一枚上手だったといえる。
ただ、今回の首位争いはあくまでもひとつの結果でしかないし、次週以降どうなるかは今後の展開次第でもある。それに短期の勝敗に一喜一憂するのではなく、長い目で見てどのように成長していくのかが、アーティストにとってもファンにとっても重要だろう。BE:FIRSTもINIもお互い切磋琢磨しながら、今後も精力的にヒットを飛ばし続けてもらいたいと思う。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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