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2021/10/05 18:00

<ライブレポート>【オフコース・クラシックス・コンサート2021】初日公演が開催 マスターピースたちが現代に響き渡る珠玉の一夜

 【オフコース・クラシックス・コンサート2021】の初日公演が10月3日、東京・上野の東京文化会館 大ホールにて開催された。

 優れたシンガーの歌声とクラシック・アレンジを通して、オフコースの代表曲を「今」に響かせる――。オフコースのデビュー50周年企画盤『オフコース・クラシックス』(2019年)の発売記念コンサートとしてスタートした【オフコース・クラシックス・コンサート】も、今年で3年目を迎えた。昨年・2020年は当初予定されていたツアー形式での開催が、コロナ禍の影響により東京公演とそのライブ配信のみという限定的な形での開催となってしまったが、今年・2021年には晴れて東京/福岡/名古屋/大阪/横浜の5会場を巡るツアーが実現するに至った。

 東京フィル・ビルボードクラシックスオーケストラの面々と、指揮を務める音楽監督・服部隆之が舞台に登場し、コンサートの幕開けを飾ったのは「NEXTのテーマ-僕等がいた」。印象的なバスドラムのパターンとともに、器楽曲としてアレンジされた名曲が壮麗に鳴り渡る中、舞台後方のスクリーンを彩るのは日本武道館の空撮映像。オフコースのライブ映像作品『1982.6.30武道館コンサート』のオープニングを想起させる演出に、長年のオフコースファンが多数詰め掛けた客席の熱気も静かに高まっていく。

 稲垣潤一/辛島美登里/さかいゆう/佐藤竹善(SING LIKE TALKING)/鈴木雅之/中川晃教/中島美嘉/NOKKO/三浦祐太朗/Ms.OOJA/矢井田瞳という総勢11名のシンガーが、各公演ごとに異なるラインナップで登場し歌声を聴かせる【オフコース・クラシックス・コンサート2021】。東京公演では辛島美登里・佐藤竹善・鈴木雅之・中川晃教・中島美嘉・矢井田瞳の6名が出演した。

 この日の参加シンガーの中で唯一3年連続出演となる佐藤竹善が、ムーディーなジャズアレンジの「愛を止めないで」を豊潤に歌い上げると、「初めて出会った記憶がないくらい、幼い頃から自然にオフコースの曲が家で流れていた」と話していた矢井田瞳が「眠れぬ夜」に涼やかな響きを与える。オフコースのデビューシングル曲「群衆の中で」が昔から好きだったと語り「R&Bとソウル・ミュージックの申し子と思われてますけど、実はフォークソング大好き」と明かすのは鈴木雅之。かつて自身のシングルでもカバーしていた「私の願い」を情感豊かに響かせていった。

 辛島美登里は「冷たいのに惹かれる、ちょっとイジワル」と小田和正の詞世界に触れながら「秋の気配」を伸びやかに披露。ヴィヴァルディあたりを彷彿とさせるバロック調アレンジの「でももう花はいらない」のオーケストラ演奏を経て、中島美嘉は「言葉にできない」をひときわドラマチックな神秘性とともに熱唱してみせた。その背後のスクリーンには、またしても『1982.6.30』を彷彿とさせるような、目映いばかりに一面に咲く向日葵の映像。音楽のみならず演出面でも「オフコースのいた時代」を描き出していこうとする制作側の意欲が、コンサートの随所から窺えた。

 休憩を挟んでの2部構成で開催される【オフコース・クラシックス・コンサート2021】、第2部は西村貴行のアルトサックスが歌メロを奏でた「愛の唄」でスタート。原曲にはなかったシンフォニックな展開、さらには激しいバンドサウンドをも大胆にフィーチャーした「生まれ来る子供達のために」を中川晃教が高らかに歌い上げる。そして、この日二度目の登場となる中島美嘉は、「I LOVE YOU」の歌の世界をしなやかな躍動感とともに体現してみせた。

 古き佳き映画音楽のような響きをまとったインストアレンジの「潮の香り」に続き、同じく鈴木康博作曲の「いくつもの星の下で」をエモーショナルに歌った中川晃教。「歌い継いでいくことの大切さ、シンガーとしての心構え」を切々と語っていた中川の言葉は、オフコースの名曲を新たな形で「その先」へつなげる【オフコース・クラシックス・コンサート】の核心に触れるものだった。

 「君住む街へ」を歌う前に「洋楽だと思って聴いてました、日本語なのに」と“オフコースとの出会い”を語るのは佐藤竹善。小田和正から「服部隆之さんによろしく」とメールをもらったことを明かす佐藤に、「自分が小田さんとお会いしたのは一回きり。人づてに話は聞くんだけど、いつ会えるんだろう? いつか小田さんが告知なしでここに出て来られて、1曲歌ってくださったら、この企画は終わるんだろうなあ」と服部が応じる――といったMCに、会場の空気がいっそう和んでいく。

 最後は「さよなら」「Yes-No」「YES-YES-YES」と立て続けに名曲を披露。随所にアカペラを交えたしっとりとしたアレンジが、鈴木雅之の豊かな歌声と響き合った「さよなら」。辛島美登里の溌剌としたボーカルと晴れやかなアンサンブルで客席一面のクラップを巻き起こした「Yes-No」。原曲でも印象的な音の隙間と広がりを、オーケストラとバンドサウンドの共鳴、さらに矢井田瞳の渾身の熱唱で壮大な音像へと結晶させた「YES-YES-YES」……。時代を超える音楽のマスターピースが、コンサートという生の表現を通して改めて現代に響き渡る珠玉の一夜。カーテンコールで舞台に勢揃いした服部とシンガー/演奏者たちに、惜しみない拍手が降り注いだ。

 【オフコース・クラシックス・コンサート2021】はこの後、10月10日:福岡/サンパレスコンサートホール、10月24日:名古屋/愛知県芸術劇場コンサートホール、12月10日:大阪/ザ・シンフォニーホールの各公演を経て、12月12日:横浜/神奈川県民ホールにてツアーファイナルを迎える。


文:高橋智樹
撮影:Masanori Naruse


◎公演情報
【オフコース・クラシックス・コンサート2021】
2021年10月10日(日)福岡・サンパレスコンサートホール
2021年10月24日(日)愛知・愛知県芸術劇場コンサートホール
2021年12月10日(金)大阪・ザ・シンフォニーホール
2021年12月12日(日)神奈川・神奈川県民ホール

OPEN 17:00 / START 18:00
※大阪公演のみ OPEN 18:00 / START 19:00

演奏予定曲目 ※公演によって異なります
「NEXTのテーマ-僕等がいた」
「眠れぬ夜」
「私の願い」
「秋の気配」
「時に愛は」
「いくつもの星の下で」
「さよなら」
「生まれ来る子供たちのために」
「言葉にできない」
「Yes-No」
「YES-YES-YES」
「愛を止めないで」
「愛の唄」
「愛の中へ」
「でももう花はいらない」
「I LOVE YOU」
「潮の香り」
「君住む街へ」

出演
・音楽監督 / 指揮:服部 隆之
・全出演アーティスト(50音順):
福岡:稲垣潤一 / 佐藤竹善(Sing Like Talking) / 中川晃教 / 中島美嘉 / NOKKO / 矢井田 瞳
名古屋:稲垣潤一 / さかいゆう / 中川晃教 / 中島美嘉 / Ms.OOJA / 矢井田 瞳
大阪:稲垣潤一 / 辛島美登里 / 佐藤竹善(Sing Like Talking) / NOKKO / 三浦祐太朗 / Ms.OOJA
横浜:辛島美登里 / さかいゆう / 佐藤竹善(Sing Like Talking) / NOKKO / Ms.OOJA
※オフコースの出演はございません
・管弦楽:
東京・横浜:東京フィル・ビルボードクラシックスオーケストラ
福岡:九州交響楽団
名古屋・大阪:京都フィル・ビルボードクラシックスオーケストラ

チケット:12,000円(tax in.)
※全席指定
※未就学児入場不可

https://offcourse-classics-concert.jp/